わたしたちが普段使用しているガス。生活に欠かせないエネルギーですね。現在日本国内一般家庭に供給されているガスには都市ガスとLPガスの二種類があります。
主な成分は都市ガスがLNGといって液化天然ガスで、LPガスはプロパンですね。LPガスをプロパンガスと呼んだりしますが、この主な成分に由来しています。
LPガスの主な成分であるプロパンガスの液化についてみていきましょう!ガスが液体になる~!?
プロパンガスが液体になるとき
プロパンガスの液化
ご存知の方もいるかと思いますが、プロパンガスは液体なんです。
プロパンガスはその特性上、液体にすることが可能で、気体から液体になる現象を液化と呼びます。え?ガスは気体じゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、それはその通りです。普段ご家庭でガスコンロや給湯器で使用する場合などは気体のガスを燃焼させて利用しています。言っていることが真逆になっているようですが、どちらも正解なんです。
普段気体で使用しているプロパンガスは簡単に液体になります。
どのように液化させるのかと言うと、気体のガスに圧力をかけたり低温にすることで液体にします。
LPガスとは・・・
LPガスとはLiquefied Petroleum Gas の略称で、頭文字をとってLPGやLPガスと呼ばれています。日本語では液化石油ガスと呼ばれています。また、LPガスの主な成分がプロパンなのでプロパンガスとも言われいます。
一方、都市ガスで使用しているガスはLiquefied Natural Gasの頭文字でLNGと呼ばれています。液化天然ガスです。
- Liquefied(…を)溶かす、 溶解させる、 液化する)
- Petroleum(石油)
- Gas(ガス)
つまり、プロパンガス=LPガスは石油ガスを液体化したもののことを指しています。気体で生成されたプロパンガスを液体にして運搬・供給しています。
圧力と低温
圧力をかけるといったって低温にするって言われたってピンときませんね。低温で液体化してしまうならば、秋田や青森、果ては北海道などの北国ではプロパンガスはえきかしてしまうではないか、とも思ってしまいますね3。もう少し具体的に液化をみてみましょう!
プロパン | |
化学式 | C3H8 |
圧力(液化) | 約8気圧 |
温度(液化) | -42.09℃ |
プロパガスは常温の場合、約8気圧をかけると液化します。また、普段わたしたちが生活している常圧の場合は -42.09℃の低温にすることで液化します。液化することによって体積は1/250まで小さくなります。
北海道のある地域では冬場に-20℃あたりを超える日などがありますが、-42℃までは下がりません。関東地方などは冬は人間にとってはとても寒いですが、プロパンにとってはまだまだ暑いぐらいですね笑。
蒸発と蒸発熱
液化とは逆に、液体になっている物質が気体になることを気化(蒸発)と呼びます。プロパンも液体から気体に気化します。普段でも蒸発するという言葉はよく使います。
液体が蒸発するときには熱が必要となります。これを気化熱(蒸発熱)といい、プロパンの場合は、
425.6kJ/kgの蒸発熱となります。
一般家庭の場合のほとんどはガスボンベへ充填されているガスを使用します。ガスボンベの中では気体と液体のプロパンがともに存在しています。その液体のプロパンがボンベの中で蒸発し気体として滞留しています。このボンベの中で蒸発するときに熱が奪われるため、ガスボンベの表面に水滴や結露が起こることがあります。
プロパンガスの定義
液化石油ガスの定義
炭素数三の炭化水素(プロパン、プロピレン等を指し…)または炭素数四の炭化水素(ブタン、ブチレン等を指し…)を混合したものを主成分とするもの
[高圧ガス保安法液化石油ガス保安規則(液石則)]
なんで液体にする必要があるの?
プロパンは比較的簡単に液体になることがわかりました。そこでフツフツと疑問がわいてきます。シンプルでストレートな疑問です。
「そもそも気体で回収されるプロパンをなぜ液体にするのか?」
という疑問です。 たしかに気体で回収され使用するときも気体なのに、わざわざ液化させるのでしょうか。それには運搬・供給と密接にかかわる大きなわけがあります。
プロパンガス供給プロセス
まずはプロパンガスの供給方法をみてみましょう。
- 産油国で作ったプロパンガスを液化しタンカーで1次基地に運ぶ
- 国内で作られたプロパンガスも液体化し1次基地に運ぶ
- 1次基地に貯蔵されたガスを常温してで2次基地に運ぶ
- 2次基地でタンクローリーに移し替える
- 全国各地にある3次基地へと運ばれる
- 3次基地でボンベに充填し各家庭へ
上記のようなプロセスによって、原油国で作られたプロパンは日本の一般家庭までとどけられています。まず、アラブなどの原油国で分離・回収されたプロパンを日本まで運搬する必要あります。決して近い距離ではなく、ロシアのようにパイプラインが繋がっているわけでもありません。つまり、専用の船で運んでくる必要があるため、少しでも体積を減らして一度により多くのガスをもってくる方が効率的といえます。
1章でも触れたとおり、プロパンは液化することによって1/250まで体積を少なくすることができます。一度にたくさんのガスを運ぶために液化し専用船に詰めて運んでくるのですね。
また、プロパンを液化し体積を少なくすることは、外国からの運搬の効率だけではありません。わたしたち一般の家庭まで運ぶときにもとても効率的になりますね。
プロパンガスの生産方法
運搬や供給のために液化するプロパンはどのような生産方法があるのでしょうか。
- 油田の内部に滞留しているガスから分離・回収
- 天然ガスから分離・回収
- 原油の精製過程で分離
現在日本で利用されているプロパンガスのほとんどは上記3つの方法で生産されています。油田で石油を採掘する過程でガスも分離・回収されています。このようなガスは石油随伴と呼ばれています。②は天然ガスが採取される過程で分離・回収されています。天然ガス随伴ですね。③は原油精製過程で分離され採取されます。
日本で使われているガスの約30%を「は原油精製時及び化学製品の生産時に発生する国内生産分」でまかなっています。残りの70%は随伴ガスとなっています。
プロパンガスの成分について
液化すると可搬性が劇的にアップするプロパンですが、どのような成分になっているでしょうか。
プロパンガスの原料が知りたい!
プロパンガス(LPガス)は成分の80%以上がプロパン・ブタンのガスです。主成分がプロパンの場合はプロパンガス、ブタンの場合はブタンガスとも呼ばれます。プロパンガスの成分はプロパンだけではなかったんですね。LPガスは決まった量のプロパンとブタンを混ぜ合わせて製品となっています。
日本国内では、JIS及び液化石油ガス法によって成分や比率等厳格に定められています。
JIS規格
種類 | 項目 | 組成(mol%) | 主な用途 | |||
エタン+ エチレン |
プロパン+ プロピレン |
ブタン+ ブチレン |
ブタジエン | |||
1種 | 1号 | 5以下 | 80以上 | 20以下 | 0.5以下 | 家庭用燃料 業務用燃料 |
2号 | 60以上 80未満 |
40以下 | ||||
3号 | 60未満 | 30以上 | ||||
2種 | 1号 | ― | 90以上 | 10以下 | ― | 工業用燃料 工業用原料 自動車用燃料 |
2号 | 50以上 90未満 |
50以下 | ||||
3号 | 50未満 | 50以上 90未満 |
||||
4号 | 50未満 | 90以上 |
液化石油ガス法
名称 | プロパン・プロピレン 含有率 |
エタン・エチレン 含有率 |
ブタジエンの 含有率 |
相当JIS規格 |
い号 | 80%以上 | 5%以下 | 0.5%以下 | 1種1号 |
ろ号 | 60%以上 80%未満 |
5%以下 | 0.5%以下 | 1種2号 |
は号 | 60%未満 | 5%以下 | 0.5%以下 | 1種3号 |
日本LPガス協会(Japan LP Gas Association):LPガスの概要:LPガスの規格日本LPガス協会
ガスの混合割合が違うわけ
一口にプロパンガスと言っても、上記のように原料の割合によってさまざまなガスがあります。その理由として、再液化減少や気化してしますことがあげられます。蒸気圧は温度によってかわってくるため寒い地域や熱い場所など、それぞれに合った割合のガスが必要とされます。
寒い地方では配管の中で液体に戻ってしまうケースも考えられますね。このようなことを防ぐためにもさまざまな割合のガスが存在しています。
身近なものでは、ご家庭で普段使っているプロパンガスの中身は圧力をかけて液体化したガスで、100円ライターや卓上コンロ用のガスなどはブタンが主な成分です。圧力をかけて液化したブタンを使用しています。
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