プロパンガス暖房はコスパがいい!?

ご家庭の暖房に使う熱源には、電気、ガス、灯油などがあります。どれを使うかによって選択することで、少しでも節約できれば生活が豊かになりますよね!ここでは、いろいろある熱源を使った暖房のコスパを説明していきます。

プロパンガス​ガスファンヒーターのサイズ

まずはプロパンガスファンヒーターのサイズをみていきましょう。ガスファンヒーターのサイズは20号、35号、50号の3種類に分けられます。そのサイズと適応する部屋の大きさの目安を確認しましょう。(下図参照)

ガスファンヒーターのサイズと部屋の広さの目安
サイズ名称 集合住宅(コンクリート) 木造住宅
20号(小型) 9畳(15.0m2)まで 7畳(11.5m2)まで
35号(中型) 15畳(25.0m2)まで 11畳(18.0m2)まで
50号(大型) 21畳(34.5m2)まで 15畳(25.0m2)まで

※「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」によって1畳当たり1.62平米と決められています。

プロパンガスファンヒーターは大型になると35m2ぐらいまでの部屋を暖めることができます。

「都市ガスに比べて料金が高い」
「事故の危険性が大きい」
「プロパンガス=詐欺」

などのネガティブな意見がウェブなどで目にします。そのような偏った意見だけに惑わされることなく、正確な情報を得ることによって業者選びやサービスプラン選びなどの時に役に立てましょう!

プロパンガスファンヒーター1か月の料金をみてみよう

サイズごとの平均的な料金

ご家庭の財布事情を圧迫する光熱費。その光熱費を1円でも安くすることで少しでも余裕が欲しいものですね。そのためにはしっかりと「なぜこの金額になるのか?」という事を意識することが大切です!そのために1か月にかかるヒーターの料金を算出することで、節約する方法がわかるかもしれません!プロパンガスファンヒーターの各大きさの仕様から平均的な料金を算出してみます。今回、算出するにあたってノーリツの

GFH-2404S
GFH-4005S
GFH-5802S

上記モデルを参考にみていきましょう。

プロパンガスファンヒーターの仕様
  型式 ガス消費量(強) ガス消費量(弱) 消費電力
20号(小型) GFH-2404S 2.45kW(0.175kg/h) 0.59kW(0.042kg/h) 13/9W
35号(中型) GFH-4005S 3.85kW(0.275kg/h) 1.05kW(0.075kg/h) 15/10W
50号(大型) GFH-5802S 5.81kW(0.415kg/h) 1.05kW(0.075kg/h) 17/10W

プロパンガスファンヒーターの仕様に基づいて、それぞれ1日8時間使った場合のガス料金を算出してみましょう。

プロパンガスの消費量が仕様ではkWで表されているので、ガスの体積量(m3)に換算します。
1kWhの熱量が、どれだけのkcalとなるか単位換算します。

  • 1MJ=239kcal=0.278kWh
  • 1kWh=(239/0.278) kcal=860kcal

プロパンガスの発熱量は、24,000kcal/1m3 ですので、プロパンガス 1m3 のkWh換算値は、24,000/860=27.9 kWhとなります。

従って、20号のガス消費量強、消費量弱は以下のようになります。

  • 消費量強 : 2.45/27.9=0.0878 m3
  • 消費量弱 : 0.59/27.9=0.0211m3

ガス料金を算出してみよう!

プロパンガスの 1 m3 当りの価格を450円として計算すると、一日当たり8時間運転するとして計算します。

20号のガス消費量強で、8時間運転
  → 0.0878 m3 ×450円×8時間=316円
20号のガス消費量弱で、8時間運転
  → 0.0211 m3 ×450円×8時間=76円

ガスファンヒーターのスイッチを入れて運転を始めると、初めの30分くらいは能力の最大で運転しますが、設定温度に達した後は、外気温や人の出入りによって強から弱の間で運転することになります。強と弱の中間で運転すると仮定すると、一日当たりのプロパンガスのコストは、196円/1日となります。

同様にして、35号と50号についても計算してみましょう。(下図参照)
なお、ファンヒーターを動かす電気代もわずかに掛かりますが、時間当たり、19円×(13÷1000)kW×1時間=0.25円程度になります。

プロパンガスファンヒーター サイズごとの一日当たりのガス料金
  ガス消費量(強)で使用 ガス消費量(弱) ガス消費量(中間)
20号(小型) 316円 76円 196円
35号(中型) 497円 135円 316円
50号(大型) 749円 135円 442円

※1日8時間当たりで計算

シーズン当たりのガス料金を計算してみよう

20型のプロパンガスファンヒーターはマンションなどでは8畳の部屋、一戸建てでは6畳の部屋で使用されることが多いと思います。そこで、20型のガスファンヒーターで1年に使うガス料金を計算してみます。

東京で暮らしていると仮定して、暖房を使用する時期を11月~4月までの6ヶ月間と仮定します。この計算から分かることは1年に支出する暖房料金です。
東京の1年の平均気温を見てみましょう。

東京の1年間の平均気温
  最高気温 最低気温
11月 17℃ 9℃
12月 12℃ 4℃
1月 10℃ 2℃
2月 10℃ 2℃
3月 13℃ 5℃
4月 19℃ 10℃

プロパンガスヒーターの能力一杯で使う時期は12月~2月、それに対して11月と3月~4月はヒーター能力の中間で使うこととします。

12月~2月のガス料金計算(能力一杯)
  → 316円×30日×3ヶ月=28,440円

11月と3月~4月のガス料金計算(能力中間)
  → 206円×30日×3ヶ月=18,540円

上記料金の合計 : 28,440円+18,540円=46,980円

計算でちょっと注意することを挙げておきます。
もし、一人暮らしのサラリーマンで夕方部屋に戻ってから暖房を4時間程度しか使わないという人であれば、ガス料金は半分になります。 さらに、地域によってプロパンガスの単価が違いますので単価が2/3ほど安くなれば、暖房料金も2/3となります。

石油ファンヒーターとエアコンのコスパはどう?

続いて石油ファンヒーターとエアコンの暖房費用を出して、プロパンガスファンヒーターと比べてみましょう。

石油ファンヒーターの1か月の燃費

石油ファンヒーターは「コロナ FH-SR3318Y」を使ったときの灯油料金を出してみましょう。
コロナFH-SR3318Yの仕様は以下になります。

コロナFH-SR3318Yの仕様
使用燃料 最低気温
燃料消費量 最大 3.30kW(0.321 L/h)
最小 0.63kW(0.061 L/h
油タンク容量 5.0 L
暖房のめやす 木造 9畳まで
コンクリート 12畳まで
定格消費電力 点火時最大 650 W
燃焼時 21 W

石油ファンヒーターを1時間動かしたときに掛かるコストの計算は、灯油の単価(1リットル当たりの価格)×燃料消費量(L/h)となります。
灯油の単価は、資源エネルギー庁の給油所小売価格調査(ガソリン、軽油、灯油)から東京の4月平均の店頭価格を持ってきます。リッター当たりの価格は、
1,670円÷18L=93円/L
です。

石油ファンヒーターの燃料消費量最大で運転したときに、一日8時間使ったとすると、

0.321 (L/h)×93円×8時間=239円/1日
燃料消費量最小で運転したときは、同様に
0.061 (L/h)×93円×8時間=45円/1日

ガスファンヒーターでガス料金を計算したときのように、燃料消費量を最大と最小の中間で運転したと仮定しますと、1日の灯油の料金は、

0.191 (L/h)×93円×8時間=142円/1日

です。したがって、1ヶ月あたりに暖房で使う灯油の料金は、

142円×30日=4,260円/1ヶ月

となります。なお、参考に最大消費時と最小消費時での変動幅は7,170円~1,350円/1ヶ月です。

エアコンの1か月の電気代

一方電気を使うエアコンはどうでしょうか。比較参考のためにみてみましょう。エアコンは「白くまくん RAS-AJ22H」を使ったときの電気料金を算出します。白くまくんRAS-AJ22Hの仕様です。

コロナRAS-AJ22Hの暖房時の仕様
適応部屋の大きさ 6畳程度
定格 能力 2.2(0.2~3.9) kW
消費電力 470(160~1,175) W
低温 能力 2.8 kW
消費電力 1040 W

エアコンを1時間動かしたときに掛かるコストの計算は、電気単価(1kWh当たりの価格)×消費電力量(kWh)です。

次に、電気の単価は、東京電力の電気料金体系から求めます。電気料金も、東京電力と関西電力では差がありますが、ガスや灯油を関東の価格を元に算出したので、東京電力の料金を参考とします。料金体系は次のようになります。

1段目は、0~120kWhで、20円/1kWh
2段目は、120~300kWhで、26円/1kWh

ここでの計算では、料金体系1段目の価格20円を使います。

エアコンの1日8時間の電気料金は、
20円×470 W×1時間÷1000×8時間=75円/1日
です。
したがって、1ヶ月の暖房エアコンに掛かる料金は、
75円×30日=2,250円/1ヶ月
となります。
なお、参考に、エアコンの最大消費時と最小消費時での変動幅は、5,625円~765円/1ヶ月です。

電気料金は基本料金と使用電力量料金の合計ですが、一般的には暖房以外で使う電気料金の方が多いと思われます。したがって、エアコンの1か月の電気代に基本料金は含んでいませんが、暖房エアコンがメインの電気料金という生活の方は、さらに基本料金千数百円を加える必要があります。

プロパンガス用・都市ガス用ファンヒーターの違い

​プロパンガス用と都市ガス用の違い

一般家庭に供給されるガスには、プロパンガスと都市ガスがあります。プロパンガスは、ボンベを設置して使うもの、都市ガスは配管を引いて使うものと外見上の違いがあります。

2つのガスの最も大きな違いは、ガスの成分が異なることです。プロパンガスは、化学気体の「プロパン」や「ブタン」が主体となるガスです。一方、都市ガスは、化学気体「メタン」が主体となるガスです。

そのため、2つのガスでは、発熱量が違い、燃焼させる器具のノズルの形状が異なるなどがあって、都市ガス用のガスファンヒーターは、プロパンガス用には使うことができません。

​全然違う!プロパンガスと都市ガス

プロパンガスと都市ガスを比較してみましょう。

  プロパンガス(LPG) 都市ガス  
料金区分 自由料金 公共料金 プロパンガスは自由に設定できるため、販売業者によって価格が異なります。
料金単価(基本料金は含みません) 450円/1m3 150円/1m3 東京においての比較です。都市ガス、プロパンガスともに、地域・期間・販売業者で差があります。 価格には、さらに基本料金が上乗せされます。 プロパンガスの価格は、石油情報センターから公表されています。
導入時コスト 無償 距離によって10~30万円 プロパン用器具は、業者が貸し出すところが多いようです。
熱量 24,000Kcal/1m3 10,750Kcal/1m3 プロパンの熱量は都市ガスの2.23倍
災害時の復旧 長くても1週間 1ヶ月程度 プロパンはボンベの運搬ができれば復旧が可能です。
主な原料 プロパン
ブタン(液化ガス)
エタン
ブチレンなど
メタンが主原料の天然ガス
(メタン約89.5%%
エタン約5.5%
プロパン約3.5%
ブタン約1.5%)
一般家庭用プロパンガスの主成分は、プロパンで95%以上です。工場用のものは、ブタンが主に混合されます。
重さ 空気より重く下に溜まる 空気より軽く上に溜まる ガス検知器の設置時は、ガスの特性に応じた設置が必要です。
供給方法 ボンベ 導管(地中埋設) 下図にて配送方法を紹介します。

​知ってるだけで得をする!プロパンガス暖房節約レシピ5選!

プロパンガスファンヒーターを使う時に、暖房費用を節約できるヒントを紹介します。

​①ガス会社を見直す

プロパンガスは販売業者によって異なります。例えば、適正価格を主張して販売を行う業者では、250円/1m3 で販売するところもあります。ガス器具のメンテナンスなどのサービスがこれまでと同じかなどチェックして、ガス会社変更の検討も有効と思われます。

②プロパンガスファンヒーターの設定温度を下げる

プロパンガスファンヒーターの暖房負荷は、室内外温度差に比例します。室内外温度差は、(設定温度-室外温度)と言えますので、設定温度を下げることで、暖房負荷を下げることが可能です。
例えば、設定温度22℃、外気温度5℃として使っているときに、設定温度を20℃に下げることで、約12%の暖房負荷を下げることが可能で、ガス料金も下がります。

​③エコ機能を活用する

暖房機を使っているとき、設定温度20℃で使っていても、部屋の温度が上がって22℃になってしまうことがあります。そうすると暖房機を止めるなどしますが、こまめに調整することはできません。
プロパンガスファンヒーターの中には、エコ機能を搭載したものがあります。この機能は、部屋が暑くなると自動的に設定を変えて暖房負荷を下げ、寒くなると設定を戻すような働きをします。

​④省エネ型ホームに変える

新しい住宅では、省エネ型として断熱材を施した住まいが増えています。暖房負荷は、
必要暖房負荷[W]=Q値×室内外温度差×1.2(係数)×床面積
で計算され、このQ値が総熱損失係数言って、省エネ型住宅では小さな値となるように住まいの工夫がされています。
しかし既存の住宅ではそれも無理ですので、窓などに断熱材を張るなどの工夫でプロパンガスを節約してみてはいかがでしょうか。

⑤エアコンと共存する

そこでガスヒーターとエアコンを併用するということも節約術の一つです。要は、いいとこ取りの節約術ということでしょうか。ただし、設置費用とメンテナンス費用を含めて、長期的に経済的かどうかチェックすることが大切です。

まとめ

プロパンガスを使った暖房は高くつくと考えられがちですが、ガス栓さえ用意すればすぐに設置が可能、すぐに温まるなどメリットも多くあります。さらに、ガスファンヒーターにはエコ機能のような節約機能や安全を考えた機能もあります。
そうした機能と経費を含めて考えて暖房機を入れれば、豊かな生活が約束されるでしょう。

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