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プロパンガスの圧力 と ゴールド保安認定事業者

LPGを運ぶには、タンカーで原油国からは、一度に大量のガスを運ぶため、-42℃の低温で液体にして輸送されます。
一方、プロパンガスを、ボンベで消費者まで運ぶには、圧力を上げて液体にして運びます。それでは、家庭に運ばれるプロパンガスボンベの圧力はどのくらいでしょうか。高い圧力でガスコンロを使っても、大丈夫でしょうか?

そのような高い圧力で設置されているガスボンベに対し、地震が起きたらどうなるでしょうか?
もし、地震などでガスが漏れても、マイコンメータで遮断されなければ、普通のガス消費者は、異常が起きているかどうかは分かりません。
ガスを安全に使うために、監視センターの制度が作られ、消費者宅でのガスの異常をいち早く発見し、通報又はガスを止めてしまうことで、消費者の安全・安心を守ろうとしています。そのような制度を広め維持していく担い手が、保安認定事業者です。

ここのコラムでは、プロパンガスの圧力についてと保安認定事業者について、ご紹介します。

1.プロパンガスの圧力とは?

(1)都市ガスの流通経路

都市ガスは、プロパンガスと同じように産油国からLNGを輸入し、工場から一般家庭までガスを供給しています。図1は、都市ガスの流通経路と都市ガスの圧力のイメージを描いた図です。

図1からわかるように、プロパンガスと都市ガスが一般家庭に持ってこれるまでの大きな違いは、

  • 都市ガスはLNG受入時は、高圧で貯蔵されますが、そこからガス導管を使って消費者へ送ります。
  • 都市ガスの圧力の形態は、高圧・中圧・低圧の3つの形態を、それぞれの形態に応じたガス導管で運ばれます。
  • 高圧から中圧、中圧から低圧へと圧力を変える仕組みは、ガバナと呼ばれる圧力バルブです。
  • 中圧の都市ガスは工場などで、低圧の都市ガスは一般消費者で使われます。

(2)プロパンガスの流通経路

それでは、プロパンガスでも高圧・中圧・低圧という仕組みはあるのでしょうか。図2は、プロパンガスの流通をイメージした図です。

プロパンガスは、輸入されたガスのLPG貯蔵タンクから、海上と陸上を使って、販売所に運送されます。LPガス販売所からは、工場や一般消費者に向けて、ローリー車、ボンベなどで配送されます。都市ガスは導管ごとに高圧・中圧・低圧と分けられていますが、LPガスの場合は、圧力の区分がなく、液化された状態でユーザーのもとに運ばれます。

(3)プロパンガスボンベの圧力とは

それでは、LPガスには、高圧・中圧・低圧は、ないのでしょうか。はじめに、プロパンガスボンベの圧力について、図3で紹介します。

図3左図は、プロパンガスボンベのイメージです。ボンベには、液化されたプロパンが8割程度入っていて、残り2割は気体のプロパンガスです。このボンベの状態は、気液平衡状態ですので、ボンベの圧力は、その時の温度のプロパンの蒸気圧力となります。気体は常に液体に凝縮し、液体は気体に蒸発しようとするのに対し、気液平衡とは、液体の蒸発と気体の凝縮が止まって、平衡している状態です。

蒸気圧力は、図3右図で紹介するように、温度とともに上昇しLPガス成分によっても変わります。ボンベの中身をプロパンとした場合、蒸気圧と温度の関係は、グラフの赤線のように変化します。もし、20℃でボンベが搬入されたなら、ボンベの圧力は、おおよそ0.78MPaです。このボンベが夏場に温度が40℃まで上がれば、その時のボンベ圧力は、約1.3MPaです。

(4)プロパンガスの高圧・中圧・低圧とは?

それでは、LPガス、高圧・中圧・低圧についてご説明します。図4は、LPガスの圧力調整をイメージした図です。

図4上図は、ボンベから一般家庭のガス機器にガスを供給するイメージです。

  • ボンベの圧力は、0.7MPa~1.3MPaで高圧です。
  • 一方、家庭用ガス機器の圧力仕様は、2.3kPa~3.3kPaとなっていて低圧です。
  • プロパンガスの圧力を高圧から低圧に変える機器が、ガス調整器です。
  • 調整器はいろいろな種類がありますが、2本のボンベを切り替えて圧力を調整できる自動切替調整器が一般的です。

図4下図は、バルク貯槽から工業用のガス機器にガスを供給するイメージです。

  • 工業用や窯業用のガス機器の仕様は、ガス圧力が中圧で作られていることが多く、0.07Mpa程度で使われます。
  • バルク貯槽圧力は、0.7MPa~1.3MPaで、高圧に対し、工業用の圧力仕様0.07Mpaは、中圧です。
  • ガス圧力を高圧から中圧に変える調整器が、二段式一次用ガス調整器です。
  • 通常は、二段式二次用ガス調整器とともに使われる場合が多く、このときは低圧ガス機器に使われます。

プロパンガスでも、都市ガスと同じく高圧・中圧・低圧の区分があります。しかし、都市ガスは、それぞれの圧力のガスを供給する導管があります。対して、プロパンガスの場合は、高圧のガスを供給し、それを調整器で圧力を変えて、中圧・低圧の機器に供給する方式です。

2.プロパンガスの認定事業者

(1)LPガス集中監視システムとは?

図5では、LPガス集中管理システムについてご紹介します。

集中監視システムは、消費者のマイコンメータと集中監視センターの間を無線や電話回線で接続し、消費者のLPガスの利用状況を監視するシステムです。この監視システムが活躍する場面は、次のようなものが想定できます。

①マイコンメータからの情報収集
  • ガスコンロを消し忘れて長時間使用の状態
  • ガス管の接続部が外れ、ガスの流出が起こったとき

監視センターでは、この状況を把握すると、消費者へ確認連絡し、対応します。

②消費者からの連絡対応
  • ガスコンロを消し忘れたまま外出した
  • ガス漏れが起きている
  • 監視センターでは、遠隔遮断操作により消費者のマイコンメータを作動させてガスの緊急停止を行います。
  • 保安センターや販売事業者へ出動要請を行います。
  • 販売事業者は、要請に応じて緊急出動して、漏れ箇所の確認や、修理などを行います。

(2)認定液化石油ガス販売事業者制度とは?

認定液化石油ガス販売事業者制度を紹介します。

「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」では、認定事業者の制度があります。 認定事業者制度は、消費者にLPガス集中監視システムを導入してもらい、LPガス保安の高度化に取り組むLPガス販売事業者を認定する制度です。認定事業者に認定されると、インセンティブの恩恵を受けられます。

認定事業者には、次の2つがあり、インセンティブに差が出ます。

①ゴールド保安認定事業者
契約消費者のうち、認定対象者の割合が、70%以上であること。
②保安認定事業者
契約消費者のうち、認定対象者の割合が、50%以上であること。

(3)保安認定事業を認定されることで得られるメリットとは?

表1では、保安認定事業を認定されることで得られるインセンティブ(メリット)を紹介します。 事業者にとってのメリットを大きく分けると、
a.専任作業主任者の人員数を減らすことができる
b.全消費者のところに30分以内に到着できる事業所配置を緩和できる
c.供給設備の保安点検周期を長くできる(保安点検回数を減らせる)
です。

表1 認定により得られるメリット比較
専任作業主任者の数 緊急時の出動条件 供給設備の保安点検
ゴールド保安認定事業者 (特例あり)
一般消費者等の数が、認定対象消費者の数に1/3を掛け、一般消費者等の数との和から算出する。
例:全消費者1800戸のうち、認定対象消費者1,500戸のとき、 1500×1/3+300=800戸として、専任者を算出すると、 1人必要でよい。
認定対象消費者から60km以内に、事業所か保安機関を設置する。 認定対象消費者でないときは、30分以内に到着できる場所に、事業所か保安機関を設置する。

10年に1回以上
ただし、 4年に1回以上となっている点検・調査項目は5年に1回以上

ゴールド保安認定事業者 (特例なし)
同上 認定対象消費者から40km以内に、事業所か保安機関を設置する。 認定対象消費者でないときは、30分以内に到着できる場所に、事業所か保安機関を設置する。 10年に1回以上
ただし、 4年に1回以上となっている点検・調査項目は4年に1回以上
保安認定事業者
1000戸までは、専任は1人、1000~3000戸では専任は2人、3000~5000戸では3人、以降2000戸増えるごとに1人増員となる。
例:全消費者1800戸のうち、認定対象消費者1,500戸のときでも、1500戸対象とするので、専任主任者は2人必要となる。
同上 4年間に1回以上
一般販売事業者 (保安認定なし)
同上 消費者へ30分以内に到着できる場所に、事業所か保安機関を設置する。 同上

**表1のなかで、ゴールド保安認定事業者の特例あり・なしの特例とは、次のa~cのどれかが当てはまる場合を特例措置としています。
a.CO警報器(一酸化炭素警報器)が設置され、CO検知によりガスを遮断する
b.一般消費者の湯沸かし器・ふろがま・ストーブなどの燃焼器に不完全燃焼防止装置がある
c.燃焼器すべてが屋外に設置されている

(4)保安認定事業のメリット

以上では、保安認定事業者に認定されることでの、販売事業者のメリットを見てきました。この制度は、次のように消費者にも、販売事業者にも、双方にメリットがある制度です。

①消費者のメリット

LPガス集中監視システムによるメリット

  • a.高度化した安全性
    ・LPガスの利用状況を見守ることで、事故の未然防止ができます。
    ・ガス器具の消し忘れやガス漏れが起きたとき、遠隔操作で遮断できます。
  • b.警報器と連動したガスの遮断
    ガス警報器、CO警報器によって、異常感知したときにガスを遮断できます。
  • c.検針の効率化
    自動検針により正確なデータを得ることで、業務の効率化につながります。
  • d.ガス切れ防止と配送の効率化
    ボンベのガス残量をチェックし、ガス切れを防止でき、配送作業のムダが省けます。
  • e.ガスの見える化
    監視センターで収集したマイコンメータからの情報を、消費者のパソコン・スマホなどで表示が可能です。

②プロパンガス販売事業者のメリット

  • a.専任作業主任者の人員数を減らすことができます。
  • c.供給設備の保安点検周期を長くできます。
  • d.保安点検人件費、配送人件費、燃料費などの削減が図れるます。
  • e.配送や事務作業の合理化ができます。

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