エコジョーズ徹底解説!
給湯器には、電気、石油そしてガスと、色々なエネルギー源で動作する給湯器が出ています。
どの給湯器も高い効率があって、ユーザーに配慮した使い易さを売りにしています。
ガスの給湯器も、従来のガスを燃焼させる給湯器から、熱効率を大幅に上昇させた製品エコジョーズが2002年から販売されました。
以来、各メーカーとも、給湯器をエコジョーズに買い替えてもらおうと、活発な販売活動が行われたようです。
このコラムでは、エコジョーズについて、どうして効率が高くなるかの構造や、気になる価格やランニングコストについてご紹介します。
1.エコジョーズとは
(1)エコジョーズの使い方
図1では、ガス給湯器を設置したときの、必要機器の配置と配管がどのように接続されるかについて、ご紹介します。
エコジョーズの本体は、図1では壁掛け用として描いていますが、地面に置くタイプ、屋内タイプなど、家の環境に合わせて選べますが、配管・配線が少しずつ異なります。
(2)エコジョーズの構造
図2では、エコジョーズ給湯器と従来型のガス給湯器について、ご紹介します。
図の左側が、従来のガス給湯器で、右側の図がエコジョーズです。
- 従来のガス給湯器は、ガスを燃焼させて、燃焼ガス中を水の配管が通り、熱湯として供給されます。排気の温度が200℃と、非常に高くなっていて、燃焼効率は80%です。
- 一方、エコジョーズは、ガスを燃焼させて、燃焼ガス中を水の配管が通りますが、熱交換器を2段階にして、温めた水をさらに排ガス中を通すことで熱湯に変えることが、特徴です。
- 排気の温度は80℃と大きく下がり、熱効率が95%と非常に高い効率です。
- 2つの給湯器を比べると、熱効率が80%と95%と違うことで、燃焼させるガス量を下げることができ、省エネもそうですが、ガス料金が下がることが大事な点です。
(3)エコジョーズの構造説明
図3では、エコジョーズの構造について紹介します。
- エコジョーズには、一次熱交換器と二次熱交換器の2系統があります。
- 一次熱交換器では、ガスの燃焼温度と配管中の流体との熱交換を行います。
- 二次熱交換器では、一次熱交換器でやや温度が低くなった燃焼ガスと、配管中の流体との熱交換を行います。
- 給水がエコジョーズに入ってくると、低い温度の給水は二次熱交換器で温められます。
- 暖められたお湯は、そのまま一次熱交換器中を通りますので、高いガス燃焼温度で熱せられ、お湯として給湯されます。
- 二次熱交換器で燃焼ガスに含まれる水蒸気は、冷やされてドレン化(液化)されます。酸性分が含まれているため、中和器で普通の排水として、ドレン管を通して排水口へ排水されます。
- エコジョーズから出る排気の温度は80℃と低く、熱効率95%とという理由が分かります。
2.エコジョーズに掛かるお金
(1)ランニングコスト
(A)前提
ガス給湯器を使ってどのくらいの出費になるか、1ヶ月のガス料金を計算してみましょう。
まずは給湯器を使う前提条件です。計算の前提として4人家族として、給湯器のサイズは24号とします。20号や16号でも、使うお湯の量が同じなら、ガス料金は変わりません。
ただし、シャワー、お風呂わかし、炊事などを同時に使用すると、サイズが小さいとお湯の出が悪くなるなど、不満が出る可能性があります。
計算の前提としては、令和元年の東京都の冬場とします。水温は平均10℃、洗い物はお湯を使い、洗面もお湯を使います。4人家族で、ふろは毎日沸かします。
使用量の表から4人から5人家族として、1日の水の量は680Lを沸かします。
実際に使うときは、風呂は追い焚きや足し湯が使われますが、計算ではそれを省いて進めます。
家族数 | 使用目安量 | 合計量 | ||||
お風呂 (42℃) |
シャワー (42℃) 80L/1人 |
洗面・ 台所 (42℃) |
||||
5~7人 | 1回 | 200L | 7回 | 560L | 280L | 1040L |
4~5人 | 1回 | 200L | 5回 | 400L | 200L | 800L |
3~4人 | 1回 | 200L | 4回 | 320L | 160L | 680L |
2~3人 | 1回 | 200L | 3回 | 240L | 120L | 560L |
1~2人 | 1回 | 200L | 2回 | 160L | 80L | 440L |
表1 家族数とお湯の使用量例
(B)プロパンガスを使ったエコジョーズの場合
設置型式によっては1~2万円程度の差があるものもあります。 エコジョーズがあるものと、ないものの価格差は、24型フルオートで次のような価格差です。
冬場にお湯を沸かす前提として、水温10℃を42℃まで加熱すると考えます。 680 (ℓ)の水を、42℃-10℃=32℃、加熱するために必要な熱量は、1 (ℓ)の水を1℃上げるために必要な熱量は、1kcalです
- 必要な熱量:680(ℓ)×32(℃)×1(kcal)=21,760kcal
- プロパンガス使用量:21,760 ÷24,000=0.91 m3(1日当たり約0.9 m3 )
エコジョーズ給湯器を使えば、効率が95%になりますので、
- 0.91÷0.95=0.95 m3
(エコジョーズは効率95%ですので、0.95m3となりますが、エコジョーズでないときは、0.91÷0.80=1.14 m3)
の使用量となります。プロパンガスの単価を450円/m3 としますと、1ヶ月に給湯のために掛かる経費は、
- 0.95(m3)×450円×30日=12,825円
メ参考のために、春場と秋場に同じ条件で使ったらどうなるか、見てみましょう。
春場の水温は17℃と仮定しますので、冬場の水温5℃の差から、
(42℃-17℃)÷(42℃-10℃)=0.78
すなわち、8割程度のガス量で済みます。1ヶ月のプロパンガス料金は、
- 12,825 円×0.78=10,000円
(C)都市ガスを使ったエコジョーズの場合
今度は都市ガスを使った時はどうなるかについて見てみましょう。
冬場にお湯を沸かす前提として、水温10℃を42℃まで加熱すると想定します。
680 (ℓ)の水を、42℃-10℃=32℃、加熱するために必要な熱量は、1 (ℓ)の水を1℃上げるために必要な熱量は、1kcalです。
- 必要な熱量:680(ℓ)×32(℃)×1(kcal)=21,760 kcal
都市ガスの熱量は、11,000 kcal/m3 です。680(ℓ)の水を沸かすために必要な都市ガスの体積量は、
- 21,760÷11,000=1.98 m3(給湯のために約2.0 m3 の都市ガスを使用)
エコジョーズ給湯器を使えば、効率が95%になりますので、
- 使用量:1.98÷0.95=2.08 m3 /1日=62.5m3/月
都市ガスの単価は、東京ガスとして、145円/m3(0~20m3)、130円/m3(20~80m3)と想定。 - 給湯1ヶ月に掛かる経費:(20(m3)×145円)+(42.5(m3)×130円)=8,425円
ガス料金は、基本料金が加わりますが、ここでは基本料金は省きました。
都市ガスが使われる割合は給湯に70%近く使われるという統計もありますので、基本料金を加えた方が実際的かもしれません。
参考のために、春場と秋場に同じ条件で使ったらどうなるか、見てみましょう。
春場の水温は17℃と仮定しますので、冬場の水温10℃の差から、
(42℃-17℃)÷(42℃-10℃)=0.78
すなわち、7.8割程度のガス量で済みます。1ヶ月の都市ガス料金は、
- 8,425円×0.78=6,572円
となります。
(D)プロパンガスと都市ガスのエコジョーズ給湯器
表2 プロパンガスと都市ガスのエコジョーズの比較
項目 | エコジョーズ (プロパンガス) |
エコジョーズ (都市ガス) |
1ヶ月平均料金 (年間の水温17℃) |
10,000円 |
6,572円 (145円/m3(0~20m3)、130円/m3(20~80m3)) (給湯680リットル・東京都での使用) |
年間料金 | 120,000円 | 78,864円 |
本体価格 | 10~30万円 | 10~30万円 |
設置費用 | 4~6万円 | 4~6万円 |
耐用年数 | 10~15年 | 10~15年 |
表2で注意することは、地域によって、ガスの単価が異なることです。
表2から、プロパンガスと都市ガスを使った時のエコジョーズの違いは、結局は、1年に掛かるコストだけです。
(2)本体価格と設置費用
エコジョーズの本体価格について、16号から24号まで、オートやフルオートなどの型式で分けて一覧した表を、表3で紹介します。
表3 エコジョーズのサイズ別の本体価格(参考)
16号
型式 | 販売方式 | 価格 (円) | 備考 |
給湯専用 | メーカー |
172,000 | 標準リモコン含む |
ネット | 126,346 | 取替工事込み | |
オート | メーカー | 334,000 | 標準リモコン含む |
ネット | 187,200 | 取替工事込み | |
フルオート | メーカー | 377,800 | 標準リモコン含む |
ネット | 206,100 | 取替工事込み |
20号
型式 | 販売方式 | 価格 (円) | 備考 |
給湯専用 | メーカー |
177,700 | 標準リモコン含む |
ネット | 128,800 | 取替工事込み | |
オート | メーカー | 329,000 | 標準リモコン含む |
ネット | 198,500 | 取替工事込み | |
フルオート | メーカー | 412,900 | 標準リモコン含む |
ネット | 216,900 | 取替工事込み |
24号
型式 | 販売方式 | 価格 (円) | 備考 |
給湯専用 | メーカー |
190,700 | 標準リモコン含む |
ネット | 135,200 | 取替工事込み | |
オート | メーカー | 389,000 | 標準リモコン含む |
ネット | 206,600 | 取替工事込み | |
フルオート | メーカー | 434,900 | 標準リモコン含む |
ネット | 225,400 | 取替工事込み |
*価格元のメーカーやネット販売の会社名は省いていますが、メーカー、ネットとも同じような価格帯です。ネット販売には、製造年は新しくありませんが、本体75%引きというものもあります。
(3)工事価格
ネット販売の場合、工事費込みとしての価格を出していますが、次のような内容です。
標準工事費用の例を挙げてみましょう。
- 給湯器機器の交換取付け
- ガス・給水・追い焚き管の接続
- リモコンの接続工事
- 元の給湯器などの撤去・処分費用
- 点火などの試験試運転費用
以上の費用は、場所や機器によって異なりますが、3万円から5万円くらいが相場です。
注意点は、旧来型のガス給湯器から、エコジョーズに変えるときは、ドレン配管を接続し、排水口まで敷設する作業が発生して、追加工事として1万円程度余計に負担が増えます。
3.エコジョーズのメリット・デメリット
前章の区分に従った給湯器の価格表を以下に紹介します。
(1)メリット
- 熱効率が高いため、ガス代が節約できます。
- 二酸化炭素の排出量が少なく、環境にやさしい。
(2)デメリット
- 導入費用が従来機と比べ高くなります。
(24号フルオートでエコジョーズ:43万円、従来機:34万円) - ドレン排水の工事が必要になります。
- ドレン用の中和器を数年~10年単位で、取替が必要です。
取替費用は1万円~2万円程度。 - ドレン配管が引ける場所のため、設置場所が限定されます。
まとめ
ガス給湯器について、構造、本体の価格と1ヶ月におよそどれだけのガス料金がかかるか見てきました。
給湯器には、ガス、電気、石油、さらには電気とガスのハイブリッド型など、効率を上げてユーザーに対して、ランニングコストの安さを訴える給湯器が広く行き渡っています。
エコジョーズを選択の検討するにしても、1人暮らしの人と4人家族では、ライフスタイルが全く違いますから、どのような給湯器をを選ぶかは必ずしも同じにはなりません。
結局は、ご自身のライフスタイルに照らし合わせて検討されるのが、ベストです。
また、エコジョーズの効率からガス代の節約に貢献すると紹介しましたが、お風呂の設定温度を下げる、こまめにお風呂のふたをするなど、ガス代の節約する方法を積み重ねることで、ガス代の本当の節約につながるのでしょう。
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