CNGって何?CNGとLPGの違い

燃料として利用するガスにはさまざまな種類があり、近年ガスはクリーンなエネルギーとしても注目されていますね!炊事や湯沸かしなど生活で利用しているガスは都市ガスやプロパンガスがほとんどですが、今回はCNGについての基礎知識とCNGとLPGの違いについて詳しく解説します!

CNGとは何?

CNGという言葉をご存知でしょうか。あまり聞き覚えがない人もいるのではないでしょうか。CNGってなによ。

CNGとはズバリこれ!

わたし達が日常よく利用しているガスは主にLPGやLNGですが、それだけでなくCNGというガスがあります。CNGとは圧縮天然ガスのことで「Compressed Natural Gas」の頭文字をとってCNG(圧縮天然ガス)と呼ばれています。

CNG
CNGとは圧縮天然ガスのこと。
Compressed Natural Gasの略。

CNGとは天然ガスを圧縮してできたガスのことなんですね。天然ガスといえばLNGも天然ガスです。一体どこが違うのでしょうか。それは、LNG(液化天然ガス)は液化しているのに対して、CNGは液化せず圧縮している状態のガスのことです。

天然ガスは液化するためには超低温にする必要があるため、大規模な設備や膨大な資金が必要となります。一方、圧縮天然ガスは大それた設備がなくても圧縮できるので、小・中規模のガス田などで輸送などの用途に利用されています。また、その経済的な面から陸間輸送などにも圧縮天然ガスが利用されています。

最近では、大規模な液化プラントなどを設置する必要がないCNGは、一般的なトラックや車の燃料としてだけでなく、CO2の排出も少なくクリーンなエネルギーとしても注目されています。大規模な液化プラントを動かしたり圧縮したりする過程で多くのCO2が排出されてしまうのです。この排出を減らすだけでも大きなCO2削減となります。

圧力

圧縮天然ガスはどの程度圧縮されているのでしょうか。

●約20~25メガパスカル

CNGは約20〜25MPで圧縮されています。その時体積は約1/250に減少します。同じ天然ガスであるLNGの体積は液化時で約1/600となります。液化にくらべるとやや圧縮率が低い気がしてしまいます。しかし上記でも触れたように液化させるためには大規模なプラントや設備が必要なためコストが掛かりますが、CNGは比較的簡単に体積を減らすことが可能なので、どちらにも利点があります。

MEMO
1気圧≒100kPaとなります。1気圧とは1cm²に約1kgの力が掛かっている状態なので、1メガパスカル(mPa)は10気圧で1cm²に10kgの重さが掛かった状態です。

CNGの主成分

CNGの主な成分はLNGと同じく化石燃料の炭酸水素ガスのメタンやブタンです。化石燃料が体積している層にその多くが埋まっています。

天然ガスを圧縮したものがCNGですので、成分はLNGと同じになります。

CNG(LNG)の化学式

メタン エタン
分子式 CH4 C2H6

CNGとLPGの重さの違い

CNGの主な成分はメタン、LPGはプロパンが主成分の石油ガスです。重さの違いをみてみましょう。

重さ

メタン プロパン
ガス比重 空気より軽い 空気より重い
液比重 0.43 0.15

ガス比重は空気を1として計算します。空気との単位体積では、メタンは空気より軽いですね。CNGも同じようになります。プロパンは空気より1.5倍ほど重くなっています。

液比重は水を基準に重いか軽いかをはかります。液比重が1より大きければ水に沈み、1よりも少なければ水に浮きます。上図のようにプロパンもメタンも水に浮きます。ガスの漏洩などが起こった場合に重さはとても重要です。プロパンやメタンでは滞留する場所が違ってきます。

  • メタン → 空気より軽いので空気中に放つと上へ上昇
  • プロパン → 空気より重いので下に滞留

CNGの利用

CNG(圧縮天然ガス)はさまざまな利用方法があります。

CNG車

CNGは近年クリーンエネルギーとしても注目されています。その利用の1つとしてCNG車(天然ガス自動車)があります。

CNG車
天然ガス自動車とは圧縮天然ガスを燃料とするエンジンを搭載した車。NGV(天然ガス自動車-Natural Gas Vehicle)とも呼ばれている。
クリーンエネルギーのためガソリンやディーゼルに変わるエネルギーとして脚光を浴びている。
【エンジンの仕様】
オットーサイクルエンジン(点火プラグで混合気に着火)

CNGとは環境性能が高いエネルギーです。CNG車はこのCNGを燃料とする車なので低公害な車です。二酸化炭素の排出量はディーゼル車やガソリン車と比べて1~2割ほど少なく、窒素酸化物(NOx)や炭化水素(HC)の排出量も比較的少ない車です。黒煙や粒子状物質(PM)にいたっては全く排出することがありません。近年問題になっている粒子状物質(PM)も排出しないのでとてもクリーンです。

排気ガス

  削減率
SOx(硫黄酸化物) 100%
黒煙 100%
NOx(窒素酸化物) 60~70%
CO2(二酸化炭素) 20~30%

上記のように硫黄酸化物や黒煙が100%削減できるようになります。このようなことから世界的に普及していく動きを見せています。

フランス、イギリス政府が7月、2040年までに国内のガソリン車およびディーゼル車の販売を禁止すると発表した。

参考

世界で普及進む天然ガス車 日本も政策で後押しを日本経済新聞 電子版

CNG燃料を補給するには

CNG車の燃料を充填するには、ガソリン車と同じように天然ガススタンドでCNGを充填します。日本国内には300ヶ所の天然ガススタンがあります。下記のサイトから全国のスタンドを検索することができます。

参考

天然ガススタンド検索天然ガススタンド検索

また、下記サイトより全国の天然ガススタンドの住所をPDFでご確認できます。

参考

天然ガススタンド一覧PDF天然ガススタンド一覧PDF

CNGの価格

CNGの単価は一律ではないため、各スタンドで異なってきます。利用する前にしっかりと価格を確認しましょう。

プロパンもクリーンエネルギーでエコロジー!

プロパンガスも他の化石燃料と比べて二酸化炭素の排出量が少なく、環境負荷の小さいエコエネルギーです。

二酸化炭素排出原単位

  炭素排出係数
(t-C/TJ)
指数
石炭(一般炭) 24.42 1.28
A重油 19.32 1.02
原油 19.03 1.00
ガソリン 18.77 0.99
灯油 18.71 0.98
LPガス 16.38 0.86
都市ガス 13.80 0.73
[出典:総合エネルギー統計(2014年11月改定値)]

CNGとLPGの原料や成分の違いって?

冒頭で触れたようにCNGは圧縮した天然ガスで、LPGは液化したプロパンガスのことを指しています。

CNGとLPGの原料

CNGは圧縮した天然ガスを使用しています。その圧縮天然ガスの主な成分はメタンで、化石燃料が体積している層に多く存在しています。

一方、プロパンガスは80%以上の主な成分にプロパン・ブタンを持つ石油ガスです。主成分がプロパンの場合はプロパンガス、ブタンの場合はブタンガスとも呼ばれます。ちなみに、LPGとは液化した石油ガスのことで、Liquefied Petroleum Gasの略でLPGと呼ばれています。

液化石油ガスの定義
炭素数三の炭化水素(プロパン、プロピレン等を指し…)または炭素数四の炭化水素(ブタン、ブチレン等を指し…)を混合したものを主成分とするもの [高圧ガス保安法液化石油ガス保安規則(液石則)]

プロパンガスの液化

CNGは圧縮していますがLPGは液化したプロパンガスのことです。プロパンガスは-42℃または、1メガパスカル=約10kgf/cm²の圧力をかけると液化します。天然ガス田などから採取された副生ガスから不純物を取り除き液化させ体積を減らした状態にすることで可搬性が各段に上ります。

まとめ

CNGは圧縮天然ガス、LPGは液化石油ガスで、その成分から採掘方法、圧縮率からすべてにおいて大きな違いがあります。同じガスとはいえ全く違うものですね。近年注目されているCNG車は、日本ではまだまだ広く知られておらず主に海外で普及しています。その理由はさまざまですが、CO2を削減できクリーンなエネルギーであれば大いに普及して欲しいところです。

3 Comments

LN7

LNG(液化石油ガス)と説明がありますが、LNG(液化天然ガス)の間違いですよね。修正されたほうが良いかと思いますよ。

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ファトマグ編集部

ファトマグのご利用誠にありがとうございます。
ご指摘いただきました内容につきまして修正いたしました。

よりよいコンテンツをご提供できるように細心の注意を払い制作してまいります。
今後ともファトマグを宜しくお願い致します。

返信する
まつ

CNGの主成分はメタンやエタン。
プロパンの液比重は0.51。
フランス、イギリス政府の発表は2017年7月。
が正しいと思います

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