プロパンガスコンロとは?仕組みと節約術を解説

キッチンで使うコンロは、なくてはならない調理用品の一つです。普段、料理やコーヒーのお湯沸かしに使っているコンロも、ガスで使うものが主流でしたが、そのガスコンロと同じ性能を備えたIHコンロが普及しています。
ガスコンロを使うか、電気コンロにするかは、ライフスタイルに合わせればいいことですが、「どちらがお金的には得だろうか?」という点はとても気になりますね。
このコラムでは、ガスコンロとIHコンロについて、性能や掛かるお金を比較しています。 どちらが得かはご自分のライフスタイルに合わせお考え下さい。

コンロの種類と基礎知識

プロパンガスコンロの種類や基礎知識

まずはガスコンロの基礎知識として種類と特徴をご紹介します。

種類 据え置きタイプ ビルトインタイプ
サイズ
(コンロの横幅)
コンパクトサイズ(56cm) 標準サイズ(60cm)
標準サイズ(60cm) ワイドサイズ(75cm)
特徴 コンロ台の上に設置するタイプです。
バーナーは、強火力と標準の2つです。
システムキッチン内に組み込むタイプです。
バーナーは、強火力2つと小火力1つ、計3つです。
価格 5万円から15万円 10万円から30万円
設置注意点 ガスの元栓とコンロはガスホースでつなぎます。 ガス管にコンロの接続は有資格者が必要です。

電気コンロ(IH)の種類や基礎知識

続いて電気コンロをみてみましょう。

分類 電気コンロ IHクッキングヒーター
タイプ 卓上型 据え置き型 ビルトイン型
特徴 ヒーターで加熱するコンロで、卓上型が多い。火力は、0.6kW~1.5kW。 食卓に置いて使える大きさで、電源も100Vで使用できます。 火力は1.4kWが多い。 コンロ台の上に設置するタイプです。 バーナーは、強火力(3kW)と標準(1.4kW)の2つです。 システムキッチン内に組み込むタイプです。 バーナーは、強火力(3kW)2つと小火力(1.5kW)1つ、計3つです。
販売価格 5,000円~5万円 1万円~5万円 5万円~15万円 10万円~30万円

IHコンロ共通の留意点

  • 電磁誘導加熱式のコンロで、コンロ上の鍋などを発熱させる構造です。(図1にイメージを紹介します)
  • IH式コンロは鍋などの底の金属に電流が流れ発熱します。そのため、底が丸いものはコンロとの接触面積が小さく、十分に加熱しません。
  • 鍋などの金属の素材は、鉄やステンレスで、銅やアルミは使えません。金属でない土鍋も使えません。 最近はどの金属でも使えるIHが発売されています。
  • 鍋などの底は平らなものを選ぶ必要があります。
  • 鍋底の形状が丸いものは、発熱しないか、熱効率が下がります。

注意!都市ガス用コンロはプロパンガスでは使えません。

ガスコンロの種類には使用するガスによる分類があります。

  • プロパンガス
  • 都市ガス

の2つのガスです。それぞれのガスは混合成分が異なるためコンロのバーナーの構造が異なります。しかし、ガスコンロの機能と仕様は同じです。

例えば、バーナーの火力は最大 4.20kWと表示されていて、つまみを最大とすれば、プロパンガス用も都市ガス用も4.20kWの火力で燃焼します。

ここで違うのが、プロパンガスと都市ガスの熱の消費量です。プロパンガスは1m3当たりの熱量が24,000kcalに対して都市ガスの熱量は10,750kcalです。そのため、コンロのつまみが最大であっても、都市ガスコンロの流れる量はプロパンガスコンロに比べて、約2.2倍多く流れます。
もし都市ガス用のコンロにプロパンガスをつなげば、都市ガスを流した時は4.20kWであるものが、約9倍の燃焼力となって非常に危険です。

プロパンガスコンロと電気(IH)コンロとのコスト比較

プロパンガスコンロの1ヶ月のガス代金

初めに、ガスコンロの仕様書の例をご紹介します。

ガスコンロ仕様(ハーマン製)

トッププレートサイズ 75cm
項目 品番 DW36S2
ガス消費量 ガス種類 LPガス(kW(kg/h))
全点火 10.6(0.757)
左バーナー 4.20(0.301)
右バーナー 4.20(0.301)
小バーナー 1.28(0.092)
グリルバーナー 2.28(0.163)
コンロ部 熱効率 左バーナー 56.2
右バーナー 56.2
小バーナー 51.6
エネルギー消費効率(%) 55.6
グリル部 エネルギー消費効率(Wh) 231

1ヶ月のガス代金を求めるための前提を立てよう

ビルトインタイプのプロパンガスコンロを1日あたり、強火で1時間使うという前提で考えてみましょう。強火とは、鍋の底全体を炎でおおう、とWEB上では書かれていますが、定量的な表現はありません。 IHクッキングヒーターの取扱説明書では、最大火力を10段階に分けて8~10が強火です。そこで、IHクッキングヒーターの最大火力3.0kWの9段階目、2.7kWを強火として計算を進めます。

表3から2.7kWhは、バーナーの64%程度ですので、ガスコンロとしては、強火と言えるかどうかわかりませんが、次節以降で、IHクッキングヒーターとの1ヶ月の代金の比較を行うため、2.7kWhを強火とします。

プロパンガスの消費量を計算してみよう

2.7kW のプロパンを1時間使いますので、ガスコンロのガス消費量は、

2.7 kW ×1 h=2.7 kWh

ここで、現実として夕食時などは、3口あるバーナーは全部使って調理することでしょう。しかし、弱火で長時間調理することも多く、平均として強火で1時間とします。

さて、1 kWh=860 kcalですので、ガスコンロを強火で1時間使った時に、調理に必要とする熱量は、2.7×860=2,322 kcal です。

表3の仕様書から、コンロ左バーナーの熱効率が56.2%ですので、2.7 kW のプロパンを1時間とした調理の熱量 2,322kcalに対し、44.8%の熱量が調理に使われず排熱します。そのため、調理のためにさらに熱量が必要となり、調理が終わるまでにコンロから出る総熱量は、2,322÷0.562=4,132 kcalです。

プロパンの発熱量は 24,000 kcal/m3 ですので、調理で使うプロパンのガス量は、1日当たり

4,132/24,000=0.17 m3

となります。

プロパンガスの1ヶ月当たりのランニングコストは?

関東地区のプロパンガス料金は、551円/m3 (注記1)ですので、1日当たりのガス料金は、
0.17×551=95円
です。
したがって、プロパンガスコンロで使う1ヶ月のガス料金は、
95円×30日=2,845円
です。
この金額には基本料金は含んでいません。ほとんど調理でしかガスは使わないことであれば、基本料金を加えた方がよいでしょう。

もし、外食が多く、家での調理でコンロを使う時間は1日平均30分程度ということであれば、2,845円÷2=1,422円がガス代金です。

注記1

プロパンガスの料金は、石油情報センターの2,019年4月の関東局平均で算出しています。ただし、関東の料金は、基本料金4,536円~841円、10m3当たりの価格10,044円~3,888円と場所によって大きな差があります。さらに、地域ごとでも差がありますので、実際にどれだけかかるかは、お住まいのエリアのプロパンガスの料金を参考に算出してください。

例えば、住んでいる地域のガス単価が、300円であれば、1ヶ月のガス料金は、2,845円×(300÷551)=1,550円と計算できます。

都市ガスのコンロの場合は?

ガスコンロに都市ガスを使用したときは、4,132 (kcal)/10,750 (kcal/m3)=0.384 (m3)のガス量となります。都市ガスの価格は、東京地区でおおよそ150円/m3ですので、1ヶ月の料金は、
0.384×150円×30日=1,730円
です。

電気コンロ(IH)の1ヶ月の電気代

IHクッキングヒーターの仕様を、三菱の製品を例としてみてみましょう。

IHクッキングヒーター仕様(三菱製)
項目 CS-G318M
定格電圧 AC200V
効率 IH約90%(鉄ホーロー鍋)
RH約75%
熱源口数 3口
ヒーター配置 IH 3.0 kW IH(インダクションヒーター)
  IH 3.0 kW IH(インダクションヒーター)
  中央 RH 1.2 kW RH(クイックラジェントヒーター)
  グリル SH 1.6 kW SH(シーズヒーター)

IHクッキングヒーターの電気量

前項で紹介したプロパンガスコンロの1か月あたりのガス料金を、IHクッキングヒーターの場合にはどうなるか見てみましょう。調理の前提は、ガスコンロと同じ条件とします・すなわち、2.7kWの熱量で1時間調理するという前提です。

IHクッキングヒーターのの熱効率は、仕様書から約90%ですので、必要な熱量は、

2.7÷0.9=3 kW
となります。これで1時間調理しますので、電気量は、3 kWh です。

IHクッキングヒーターの1ヶ月の電気代

東京電力のスタンダードプランでの1kWh当たりの電気料金は、120kWhまでは、約20円、121~300kWhでは約26円です。ここでの試算では、20円とします。

1日当たりの電気料金 = 3 kWh×20=60円
1ヶ月当たりの電気料金 = 60円×30日=1,800円

です。ただし、この金額には基本料金は含まれていません。

プロパンガス/電気 各コンロのコスト比較

前章までに、プロパンガスコンロとIHクッキングヒーターの1ヶ月当たりの料金を計算しました。この料金とコンロに掛かる経費を下図で紹介します。コンロの形態は、ビルトインタイプとします。

ガスコンロと電気コンロの比較
  ガスコンロ(プロパン) 電気コンロ
(IHクッキングヒーター)
ガスコンロ
(都市ガス)
前提条件
(1日あたり)
2.7 kW の熱量を必要とする料理を、1時間調理します。
1ヶ月の使用量 5.1 m3 3 kWh 11.5 m3
1ヶ月の料金
(基本料金除く)
2,845円 1,800円 1,730円
コンロ代金 10~30万円    
設置費用 2万円
(コンロ取替とガス管工事のみとします)
5万円
(コンロ取替と専用回線工事のみとします)
2万円
(コンロ取替とガス管工事のみとします)
備考 プロパンガスの従量料金を551円/m3とします。 200V電源がなければ新規設置が必要です。  

知って得する!プロパンガスコンロの節約術!

【節約術1】コンロの炎が鍋の底からはみ出さないように!

0℃の水1リットルを沸騰させる場合、強火から中火とすることでプロパンガスの節約ができます。その量は、1日3回沸かすとして、1年で1.03m3の節約となります。金額で567円程度です。
さて、20℃の水1リットルを中火2.1kWでお湯を沸かすと、約2分40秒で沸騰します。
日々の調理で、強火でなくともよいときに中火に小まめに調整を積み重ねれば、大きな節約となりますね!

参考

家庭向け省エネ関連情報 ガスコンロ 省エネ行動と省エネ効果資源エネルギー庁

【節約術2】コンロに鍋などを乗せるときのポイント

鍋の底の水分をふき取ってから加熱

鍋の底が濡れたままコンロにかけると、水を蒸発させるために水に熱量が加えられ、無駄なガスを消費します。そのため、鍋の底の水分をふき取ることで、ガスの節約ができます。

コンロに乗せる鍋などは平たい方が効率的

コンロに乗せる鍋の底は平たい方が、丸いものに比べてバーナーの炎が当たる面積が広いため、熱効率が良いと言えます。

参考

統一省エネラベル等の印刷・製品の省エネ性能情報「省エネ型製品情報サイト」省エネ型製品情報サイト

【節約術3】古いガスコンロは新しくするとどれだけ得?

新しいガスコンロは省エネ法によって熱効率が55%以上などバーナーごとに決められています。それに対して、古いガスコンロは43%程度の熱効率です。この熱効率差でどれだけの節約ができるか見てみましょう。

2章でプロパンガスコンロの1ヶ月のガス代金について紹介しました。このときは、熱効率を56.2%として計算しましたが、ここでは古いコンロとして熱効率を43%として比較してみましょう。
経費を2.7 kW のプロパンを1時間とした調理の熱量に対し、実際に調理に必要な熱量は、2,322/0.43=5,400 kcalです。
プロパンの発熱量は 24,000 kcal/m3 ですので、調理で使うプロパンのガス量は、5,400/24,000=0.23 m3 となり、効率56.2%の新しいコンロに比べ、0.23-0.17=0.06 m3 節約できます。この金額は33円ですので、1ヶ月当たりでは990円の節約が可能です。

【節約術4】バーナーが汚れたときは掃除

バーナーが汚れていると目詰まりを起こし熱効率が落ちます。掃除することで燃焼効率が掃除する前に比べてアップします。

長年コンロを使用していると、燃焼に不具合がでることがありますが、原因の一つは、バーナー部の詰まりや汚れによるものです。これは自分で清掃することも可能ですので、清掃方法が記載されている取扱説明書を参考に掃除すれば安心です。
他に、バーナーキャップの劣化も熱効率を悪くしますので、取り換えることで熱効率が向上します。

【節約術5】プロパンガスの会社を変える

ガスの節約術は突き詰めるとガスの単価を下げることです。
プロパンガスは地域で大きく差がありますが、同じ地域でもプロパンガス会社によって異なります。特に、適正価格をうたう販売業者では、250~300円/m3 で販売する会社があります。
契約条件や料金体系などをチェックし、ガス会社変更の検討もガス節約術の1つです。

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上手に節約しよう!!

プロパンガスコンロについて、基本的なことと1ヶ月のガス料金を紹介しました。加えて、IHクッキングヒーターについてもランニングコストを算出して、ガスコンロとの比較を紹介しました。

プロパンガスの料金体系は、地域によっても、販売ガス会社によっても様々で、大きな差があります。電気も料金体系によって差があります。そのため、プロパンガスの料金は、IHコンロの電気代と大きな差が出ない場合もあり、電気代やガス代の比較だけでコンロの種類を選ぶことは得策ではないでしょう。

今回はコンロの機能については紹介しませんでしたが、プロパンガスもIHコンロも豊富な機能があり、クッキングを補助する機能や安全面の機能などが充実し、調理が便利に安心してできます。 どのコンロを使うかは、ライフスタイルに応じた選択が、良いのではないでしょうか。

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