LPGとプロパンの違いって!?

LPGとプロパンの違いを徹底解説!
プロパンは日本全体の世帯数約5700万世帯(平成28年度)対して、約40%(約2500万世帯)のご家庭で使用されているということになります。よく耳にするプロパンガスやLPGやLPガスに違いはあるのでしょうか。

LPGとプロパンの違いって!?

一般的にご家庭で使用されているプロパンガスはお湯を沸かしたり、料理をしたり、部屋を暖めたりと生活の必需品となっていますね。またLPGやLPガスという名前も一度は聞いたことがあるかもしれません。プロパン?LPG?LPガス?

今回はプロパンとLPG(LPガス)の違いから都市ガスとの違いまでズバリご紹介します!

ズバリ!

LPG(LPガス)とプロパンガスは同じです!

そ、そうだったんですね..。意外でした。LPガス、プロパンガスどちらも全く同じものを指しています。ちょっとややこしいですね。そもそもLPガスのLPって何?と思います。

MEMO
LPG(LPガス)とプロパンガスはまったく同じ!

LPガスのLPはLiquefied Petroleumの略です。日本語にすると「液化石油ガス」と言います。石油ガスを圧縮すると液体化します。その液体化した石油ガスをLPG(LPガス)と呼んでいます。

MEMO
石油ガスをなぜ液体化するのでしょうか。
それは可搬性を向上させるために液化します。気体のままだと体積が大きくなってしまい、一度にたくさんのガスを運ぶことができません。液化することにより1/250にまで体積を減らすことができます。

プロパンガス(LPガス)とは

プロパンガス(LPガス)の基礎知識

プロパンガスはLPGやLPガスと全く同じということでしたが、なぜ同じなのに名前が違うのでしょうか。それはプロパンガス(LPガス)の成分と関係があります。

一般家庭用LPガスの主な成分は、プロパン・ブタンなどで、80%以上がプロパンとなっています。そのことからLPガス(液化石油ガス)=プロパンガスという名称が一般に広がっていったということです。

プロパンガスや石油ガス、メタンガスなどは化石燃料と呼ばれています。みなさがよく知っているガソリンなども化石燃料から精製されます。

化石燃料の種類
  • 石炭
  • 石油
  • 天然ガス
  • メタンハイドレート
  • シェールガス

などが化石燃料と呼ばれています。化石燃料は長時間かけてつくられ、その化石燃料からプロパンガスは生産されます。化石燃料からできたプロパンガスは気体の状態ですが、冷やすことで液化し体積を減らすことができます。体積を減らせば、効率よく運搬することが可能になりますね。

プロパンガスの生産方法

続いてプロパンガスの生産方法をみていきましょう。

①油田に滞留しているガスから分離・回収
②天然ガスから分離・回収
③原油精製過程で分離

上記の3つの方法があります。そして現在は石油から約70%天然ガスから約30%生産されています。

プロパンガスが家庭に届くまで

一般的なご家庭にあるプロパンガスはどのように運ばれてくるのでしょうか。生産は主に海外で行われていることほとんどです。(日本でも生産している所もあります。詳しくは後述)約75%が海外からの輸入、残り約25%が国内生産となっています。7割以上が海外からの輸入に頼っているんですね。

プロパンガス供給プロセス

  • ① 産油国で作られたプロパンガスは低温液体化し専用タンカーで輸入基地(1次基地)に運ばれる
  • ② 国内で作られたプロパンガスも低温液体化し輸入基地(第1次基地)に運ばれる
  • ③ 第1次基地に貯蔵されたガスは常温に戻しコースタルタンカー(内航船)によって2次基地へ運ばれる
  • ④ 2次基地でタンクローリーに移し替える
  • ⑤ 全国各地にある3次基地へと運ばれる
  • ⑥ 3次基地(充填所)でボンベに詰め各家庭へ

上記のように産油国で生産されたプロパンガスが各家庭へ届けられています。思ったよりもスケールが大きく複雑な過程を経て消費者に届けられていますね!また、このプロセスは大まかに分けて3つの業者によって行われています。

  • プロパンガスを輸入する元売業者
  • プロパンガスをボンベに充填する卸売業者
  • プロパンガスを家庭に販売する小売業者

そして業者の数も元売り<卸売<小売と順番に増えていきます。

え!?主な輸入元は中東の産油国じゃない!

プロパンガスの主な輸入元を調べてびっくり!主な輸入元は中東の産油国だろうと勝手に思っていました。化石燃料から作られるプロパンガスなので当然そう思っていたのです。2019年度~2016年度の輸入元の内訳をみてみましょう。

プロパンガスの主な輸入元2019年度版

LPG 輸入 2019
LPGの輸入割合と量(2019年度)国別
総輸入量:10,716,817 t
量(単位トン) 割合
アメリカ 7,878,852 t 73.52 %
アブダビ(UAE) 740,360 t 6.91 %
オーストラリア 657,965 t 6.14 %
カナダ 493,803 t 4.61 %
カタール 268,866 t 2.51 %
クウェート 254,613 t 2.38 %
サウジアラビア 210,480 t 1.96 %
東ティモール 139,444 t 1.30 %
バーレーン 72,434 t 0.68 %

プロパンガスの主な輸入元2018年度版

LPG 輸入
LPGの輸入割合と量(2018年度)国別
総輸入量:10,639,536 t
量(単位トン) 割合
アメリカ 7,405,117 t 69.6 %
アブダビ(UAE) 957,558 t 9.0 %
サウジアラビア 659,651 t 6.2 %
カタール 521,337 t 4.9 %
オーストラリア 468,140 t 4.4 %
クウェート 361,744 t 3.4 %
東ティモール 127,674 t 1.2 %
バーレーン 95,756 t 0.9 %
その他 42,558 t 0.4 %

※出典:日本LPガス協会

プロパンガスの主な輸入元2017年度版

参考

国別LPガス輸入構成比(2017年度)日本LPガス協会

国名 輸入量(%)
アメリカ 55.7%
カタール 13.7%
UAE 10.1%
クウェート 9.3%
サウジアラビア 6.0%
オーストラリア 3.1%
東ティモール 1.4%
その他 0.7%
国別LPガス輸入構成比(2017年度) [出典:日本LPガス協会 URL:http://www.j-lpgas.gr.jp/genzai/supply.html]

プロパンガスの主な輸入元2016年度版

参考

国別LPガス輸入構成比(2016年度)日本LPガス協会

国名 輸入量(%)
アメリカ 37.9%
UAE 16.8%
カタール 15.4%
クウェート 11.4%
サウジアラビア 10.3%
東ティモール 2.9%
オーストラリア 2.7%
その他 2.6%
国別LPガス輸入構成比(2016年度) [出典:日本LPガス協会 URL:http://www.j-lpgas.gr.jp/genzai/supply.html]

な、な、なんと!日本のプロパンガス輸入元1位はアメリカです!!これには正直おどろきました。よくよく調べると、近年のシェール随伴LPガスというものがあるようです!

2016年度と比べてアメリカの比重がより多くなりました。

シェールガスとは

頁岩(シェール)層から採取される天然ガス。多くは深さ 1500m以上の場所に賦存する。頁岩は,数億年前に海底や干潟に堆積した有機物に富む泥土で,シルトや粘土の細かい粒子からなる堆積岩である。長い年月の間に泥土層はさらなる堆積物によって深く埋没し,泥土は熱と圧力の作用で頁岩に変成し,有機物は天然ガスとなった。
参考

シェールガスコトバンク

難しい専門的な言葉がありますが、つまり、化石燃料(油層やガス層)が存在する層よりももっと深いシェール層にあるガスのことを指しています。

アメリカからの輸入量は2011年ごろまでは少量でしたが、それ以降増大していった背景にはシェール革命が隠されています!シェール革命が起き、シェールガス採掘の過程で生み出され回収されるLPガスが各段に上がっていっていきました。そして2016年度では、中東産油国を抑えどうどうの1位となりました!

LPG(LPガス)と都市ガスの違い

プロパンガスとLPガスは違いがまったくなく、むしろ同じものを指していることが分かりました。日本で利用されているガスはプロパンガスだけではありません。主に都市部で利用されている都市ガスがあります。都市ガスとプロパンガスの違いはどのようなものでしょうか。違いをみてみましょう!

細かい違いはたくさんありますが、一番大きな違いは「供給方法」にあります!

供給方法

プロパンガスは3次基地でボンベに充填し各家庭へ運ばれます。一方、都市ガスは港の貯蔵庫から最終的なご家庭まで配管によって運ばれます(導管ネットワーク)。道路の下に設置されている配管を通して気体のまま家庭に運ばれるので、その配管が整備されていない地域などでは使用できません。

MEMO
LPガスは分散型供給、都市ガスは系統供給

プロパンガスは分散型供給なので、全国どこでも配給可能です!一方、都市ガスは導管で供給するため、導管が設置されていない場所やできない場所などには供給することこができません。現在日本でのカバー率は約5%と言われています。

プロパンと都市ガスのおもな違い

プロパンガス
主成分 プロパン(C3H8)、ブタンを主成分とする液化石油ガス
熱量 約24,000Kcal/m3
性質 -42度に冷却すると液体になる
性質2 -42度で液化すると体積が1/250になる
供給方法 体積の小さい液体状態で一度に輸入する。
液体のままボンベに詰めて運び、使用時に気体にして使用
臭い 無臭(ただしガス漏れ等が起きた場合に気付くように臭いが付けられている)
重さ 空気より重い

都市ガス
主成分 メタン(CH4)を主成分とする天然ガス
熱量 約11,000Kcal/m3
性質 -162度に冷却すると液体になる
性質2 -162度で液化すると体積が1/600になる
供給方法 体積の小さい液体状態で一度に輸入する。
気化したものを導管ネットワークを通じてお客様へ
臭い 無臭(ただしガス漏れ等が起きた場合に気付くように臭いが付けられている)
重さ 空気より軽い

都市ガスは空気より軽くプロパンは空気より重いので、ガス漏れ等発生した場合に滞留する場所が違います。それにより報知器の設置場所も違ってきます。また、発熱量が違う点も大きなポイントとなりますね!

LPG(プロパンガス)の料金制度

続いてプロパンガスの料金制度について説明します。
プロパンガスの料金算出方法は1つではなく主に4つの方法で算出されています(下参照)。ご家庭やご自分のプロパンガス料金をより詳しく明確に知るためにはどの計算方法でだされた料金なのか知っておく必要があります。

  1. 二部料金制
  2. スライド制
  3. 三部料金制
  4. 原料費調整制度

1,二部料金制

基本料金 +(ガス使用量 × 従量単価)= 請求額

二部料金制はプロパンガス料金形態の中で一番よく採用さいれている計算方式です。
基本料金をベースにし使用したガスの量により料金が決定します。つまり基本料金と従量料金(変動料金)の二部を合わせたものになります。

基本料金(固定費用)
  1. 検診費・保安費など
  2. プロパンガスの容器や設備費など
従量料金
  1. 原料費
  2. 配送費

2,スライド制

基本料金+従量料金(使用量に対して変動)=請求金額

二部料金制は従量料金が固定だったのに対し、スライド制は使用量に対して料金が変動します。
一般的にはたくさん使えば使うほど料金は安くなります。例えば5m3の場合、従量料金が420円に対し20m3を超えると340円に変動する方式です。それ以外の計算方法は二部料金制と同じになります。

3,三部料金制

基本料金+従量料金+設備使用料=請求金額

三部料金制は二部料金制の中にあった「設備使用料」が別に合算される方式です。
設備使用料の内訳は「ガス漏れ警報器」や「ガス消費設備」「集中監視システムの利用料」「その他修理費用」などが含まれます。
三部料金制はこのような設備使用料を別料金として明確にすることによって、より透明性の高い料金算出となります。ユーザーにとって料金の内訳をより詳しくしることができるようになるのでしっかり料金を把握できるようになります。

4,原料費調整制度

基本料金+従量料金(原料費に連動して毎月変動)=請求金額

原料費調整制度とは、文字通りプロパンガスの料金の変動に応じて従量料金が変わる算出方法です。
プロパンガスの価格は原油価格や為替レートの変動などによって変わります。都市ガスでは主流の算出方法ですが、プロパンガスではまだまだ採用しているガス会社は少ない状況です。

プロパンガス消費者生活センター

プロパンガス料金消費者センター

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LPG(プロパンガス)の料金診断!

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1現在のご使用量㎥
2現在のご請求金額
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1m3あたり  円です。

 適正価格との差額 

 削減額 

プロパンはクリーンエネルギーでeco!

プロパンガスや都市ガスは他の化石燃料と比べて二酸化炭素の排出量が少なく、環境負荷の小さいエコエネルギーとして近年注目されているようです。STOP地球温暖化!

二酸化炭素排出原単位

  炭素排出係数
(t-C/TJ)
指数
石炭(一般炭) 24.42 1.28
A重油 19.32 1.02
原油 19.03 1.00
ガソリン 18.77 0.99
灯油 18.71 0.98
LPガス 16.38 0.86
都市ガス 13.80 0.73
[出典:総合エネルギー統計(2014年11月改定値)]

原油を1とした場合の計算になります。
LPガスと都市ガスがトップクラスの環境性能となっています。環境破壊、地球温暖化が注目されている昨今、家庭のお財布を気にかけながら、ちゃんとecoできるエネルギーを選びたいですね!

まとめ

LPG、LPガス、プロパンガスは基本的には同じとうことがわかりました。液化石油ガスの略がLPGでした。そして、LPガスの主成分がプロパンだからプロパンガスと呼ばれているんですね。よって、LPガス料金もプロパンガス料金もいずれも違いはありません。

4 Comments

通りすがり

素晴らしい内容で勉強になりました、ところで〝プロパンと都市ガスの主な違い〝にて、プロパンと都市ガスの1m3あたりの発熱量が逆になっているようにお見受けします。

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ファトマグ編集部

ファトマグのご利用誠にありがとうございます。
ご指摘いただきました内容につきまして修正いたしました。

よりよいコンテンツをご提供できるように細心の注意を払い制作してまいります。
今後ともファトマグを宜しくお願い致します。

返信する
kumaruko

カセットガスボンベを使用するストーブにブタン専用と書かれていました。プロパン・ブタン混合の寒冷地用カセットガスを使用してはいけないのでしょうか。よろしくお願いします。

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ファトマグ編集部

ファトマグのご利用誠にありがとうございます。
カセットガスボンベは誤った方法で使用すると事故に繋がる可能性がございます。
必ず使用方法を守ってご利用するのが良いかと思います。
今後ともファトマグを何卒宜しくお願い致します。

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