ガス給湯器と電気給湯器を徹底比較!見分け方から特徴・コスト

ガス給湯器と電気給湯器の見分け方から特徴・コスト比較!
給湯器の種類は、熱源から分類すると、電気・ガス・石油などすべてのエネルギー源を元にお湯を作る製品が出ています。 昔を振り返ってみると、五右衛門ぶろの時代には、風呂に水を張った後に、薪を燃やしてお湯を沸かしました。冷めれば薪を燃やす、熱ければ水を入れるなどで温度を調整し、ゆっくり入って一日の疲れを癒しました。 このパターンは今も変わりません。変わったのは、自動ですべてできるようになったことでしょうか。 しかし、風呂に入る目的は、ゆっくり入って一日の疲れを癒すことです。また、燃料代を節約するような、沸かし方や風呂の入り方も、目的の1つでしょう。自動化などの機能は直接目的とはならないでしょう。

とすれば、電気温水器・ガス給湯器・電気給湯器と、電気とガスで風呂を沸かす給湯器は、どれでもよいはずですが、ガスを使っていない、コストが掛かるなど生活の状態で使う機種も変わってきます。

このコラムでは、電気温水器・ガス給湯器・電気給湯器の3つの給湯器について、色々な点から比較してみます。比較して、これしか優れたものはない、という結果にはならないはずです。 どの機種にも、良さと悪さが混在していますので、自分たちの生活に合ったものを選ぶことになるのではないでしょうか。

エネファーム・エコワン・ エコフィール【省エネガス給湯器比較】

1.電気温水器・ガス給湯器・電気給湯器の構成

電気温水器・ガス給湯器・電気給湯器の構成について紹介しますが、それぞれの機種を次のようにします。

給湯器を選ぶ際のポイント
  1. 電気温水器は電気温水器
  2. ガス給湯器はエコジョーズ
  3. 電気給湯器はエコキュート

図1、図2、図3にそれぞれの給湯器の構成図を紹介します。 図1で紹介する図は、電気温水器の構成図です。

電気温水器はフルオートとして描いていて、また、設置場所も屋内としています。電気温水器は屋外、屋内、どちらでも設置可能です。

図2で紹介する図は、プロパンガス給湯器のうち、エコジョーズの構成図です。

エコジョーズは、図1と比較すると、ガス配管、ドレン配管などの配管が多く敷設する必要があると分かります。なお、給湯器は屋外壁掛けとしていますが、設置方法にはいろいろな方式があって、住宅事情によって、どのようにも対応することができます。

図3で紹介する図は、電気給湯器、エコキュートの構成図です。

エコキュートは、電気温水器と比べると、貯槽タンクの設置は同じですが、他に、ヒートポンプの設置と給湯・給水配管の接続が必要です。また、エコキュートの貯湯タンクは、屋外に設置し、ヒートポンプの近くに設置するため、設置場所にある程度の広さが必要という制限が出てきます。

2.電気温水器・ガス給湯器・電気給湯器のランニングコスト比較

(1)前提条件

  1. 東京の住宅地に4人家族で住んでいます。
  2. 1日のお湯の使用量は、680L・42℃で使用します。
  3. 東京都の1年間の水道の平均温度は17℃とします。
  4. プロパンガスの料金:東京都の令和2年12月平均は、
    基本料金1,741円
    5m3まで4,385円
    10m3まで6,985円
    20m3まで12,105円
    50m3まで26,468円です。
  5. 都市ガスの料金:東京ガスの料金表から
    0~20m3までは基本料金759円、単価145円/1m3
    20m3~80m3までは基本料金1,056円、単価130円です。
  6. 電気料金は、東京電力のスマートライフSプランで、
    基本料金429円
    午前6時~翌午前1時まで25.8円
    午前1時~午前6時まで17.78円です。
  7. ランニングコスト算出では基本料金は省きます。ガス料金の場合は給湯で使う量が多い家庭の場合は、基本料金を加えた方が良いかもしれません。

(2)電気温水器のランニングコスト

電気温水器の1ヶ月のランニングコストは、

680 (ℓ)の水を、42℃-17℃=25℃

加熱するために必要な熱量は、1 (ℓ)の水を1℃上げるために必要な熱量は、1kcalですので、 680(ℓ)×25(℃)×1(kcal)=17,000kcal の熱量が必要になります。

電気の熱量は、1kWh=860kcal ですので、680(ℓ)の水を沸かすために必要な電気量は、

17,000 ÷860=19.8kWh の使用量となります。

電気料金は、19.8(kWh)×17.78円×30日=10,543円 となります。

(3)ガス給湯器のランニングコスト

エコジョーズの1ヶ月のランニングコストは、

① プロパンガスの場合

680 (ℓ)の水を、42℃-17℃=25℃

加熱するために必要な熱量は、1 (ℓ)の水を1℃上げるために必要な熱量は、1kcalですので、 680(ℓ)×25(℃)×1(kcal)=17,000 kcal の熱量が必要になります。

プロパンガスの熱量は、24,000kcal/m3 ですので、680(ℓ)の水を沸かすために必要なプロパンガスの体積量は、

17,000÷24,000=0.71 m3 となり、約0.71 m3 のプロパンガスが給湯のために使われます。 エコジョーズ給湯器を使えば、効率が95%になりますので、

0.71÷0.95=0.75 m3 の使用量となります。1ヶ月の使用量は、 0.75×30日=22.4m3 です。

プロパンガスの1ヶ月に給湯のために掛かる経費は、

(12,105-1,741)円+(26,466―1,741)円÷50m3×2.4m3=11,550円 です。

② 都市ガスの場合

都市ガスの熱量は、10,750kcal/m3 ですので、

17,000÷10,750=1.58 m3となり、

1.58÷0.95=1.66m3 の使用量となります。1ヶ月の使用量は、

1.66×30日=50.0m3 です。
都市ガスの1ヶ月に給湯のために掛かる経費は、

145円×20m3+130円×30m3=9,400円 となります。

(4)電気給湯器のランニングコスト

エコキュートの1ヶ月のランニングコストは、
3.7 (年間給湯保温効率)=(給水を加熱と保温に要する熱量)÷(消費電力)から、
(消費電力)=(給水を加熱と保温に要する熱量)÷3.7 として計算できます。

これは年間の平均として求められますが、季節ごとの消費電力はヒートポンプの効率と保温のための電力量が明確でないため、年間平均値で算出します。

(給水を加熱と保温に要する熱量)は、17℃の水680 ℓを42℃のお湯にする熱量ですので、
680(ℓ)×25(℃)×1(kcal)=17,000 kcal
に相当する電力量は、1 kWh=860 kcalから、
17,000 kcal÷860 kcal/kWh=19.8 kWh です。したがって、1日当たりの消費電力は、
19.8 kWh÷3.7=5.34 kWh です。

エコキュートの1日当たりの電気料金は、 5.34 kWh×17.78円/kWh=95.0円 です。

1ヶ月当たりでは、95.0円×30日=2,850円 となります。

以上で求めたランニングコストは、次の章のコスト比較で整理して表します。

3.電気温水器・ガス給湯器・電気給湯器のコストと特徴の比較

(1) コスト比較

  電気温水器 エコジョーズ エコキュート
熱源

電気

(200V)
プロパンガス 都市ガス

電気

(200V)
1ヶ月平均料金(円) 10,543 11,550 9,400 2,850
年間料金(円) 126,516 138,600 112,800 34,200
本体価格(フルオート)(円) メーカー 570,000 434,900 434,900 900,000
ネット 350,000 225,400 225,400 340,000
設置費用 300,000 200,000 200,000 450,000
耐用年数 15年 10年 10年 10年
10年間の総費用
(メンテナンス費用は除く)
(円)
2,135,000 2,021,000 1,763,000 1,692,000

* メンテナンスは10年間に何度かありますが、壊れる部品など想定できないため、メンテナンス費用は10年間の総費用には加えません。特に稼働部の多いヒートポンプを持つエコキュートは、ノーメンテナンスで10年持つとは考えにくいのですが、何回部品交換が発生するかは統計もないためメンテナンスコストを出すことはできません。

表1の給湯器のコスト比較から、言えることをランダムに挙げてみましょう。

  1. ランニングコストは、エコキュートが圧倒的に安く、プロパンガスのエコジョーズが一番高く、その差は4倍近くあります。
  2. ランニングコストでは、電気温水器、プロパンガスのガス給湯器とはほとんど差がないと言えます。都市ガスのガス給湯器がやや安いという程度です。
  3. 本体と設置費用では、エコキュートが一番高く、エコジョーズの約2倍となります。
  4. 10年間の総コストを比較すると、エコキュートが一番安く、電気温水器が一番高いという結果で、1.2倍の差があります。
  5. 電気温水器の耐用年数が15年、他の給湯器は10年という点を考慮すると、10年で電気温水器以外の給湯器は買い替えを検討している時でも、電気温水器は現役としてあと5年使えるわけです。

(2) 特徴比較

表2 電気温水器・ガス給湯器・電気給湯の特徴比較

  電気温水器
構成 配管が複雑な構成
貯湯タンクのみの設置と、水とお湯の配管接続が必要です。
(図1参照)
特徴 貯湯タンクを持ち、タンク内の水をヒーターで温めてお湯として、給湯します。
設置場所 角型は貯湯タンクと配管が一体となっているため、屋外・屋内に設置が可能です。
対環境性 音が全くせず、燃焼もしないため環境性は抜群です。
安全性 火災の心配はありません。
災害時 給水が停止しても、貯湯タンクのお湯が生活排水として使えます。

  エコジョーズ
構成 配管が複雑な構成
配管に、水、お湯、ガス、ドレンの接続と配管敷設が必要です。
(図2参照)
特徴 プロパンガス、都市ガスを燃焼させて水を温めて給湯します。2段階に熱交換し、効率95%を達成しています。
設置場所 ガス給湯器のサイズは大きくなく、屋外のどこでも設置可能です。排ガス対策をとれば屋内設置も可能です。
対環境性 ガスを燃焼させるため、CO2ガスが排出されます。
安全性 火災とガスの不燃による一酸化炭素中毒の危険があります。
災害時 停電時に、バックアップユニットがあれば、点火できます。

  エコキュート
構成 ガス給湯器の場合、都市ガスの本管が近くにないと、接続するため
(図3参照)
特徴 ヒートポンプで熱を出して水をお湯に変え、貯湯タンクに貯めます。貯湯タンクから温度調整したお湯を給湯します。
設置場所 ヒートポンプと貯湯タンクを設置する場所が必要です。貯湯タンクと周囲配管の保温強化が必要です。
対環境性 ヒートポンプが夜中に稼働するため、音に対する対応が必要な場合があります。
安全性 火災の心配はありません。
災害時 給水が停止しても、貯湯タンクのお湯が生活排水として使えます。

4.電気温水器・ガス給湯器・電気給湯器のメリット・デメリット

コストに関しては、表1を確認することで、どの機種にお金が掛かるか分かりますので、コスト以外のメリット・デメリットについてご紹介します。

(1) 電気温水器のメリットとデメリット

  • 電気温水器のお湯をタンクの中に貯めることができ、水道が災害などで止まっても、電気温水器のタンクに残った水を生活排水に利用できます。
  • 電気温水器のサイズは型式によって異なりますが、本体のみの設置で使え、狭い据付スペースでも大丈夫です。また、室内に設置できるため、外に設置するより保温効果が続きます。
  • 貯湯式の電気温水器は、深夜電力でお湯を沸かし、昼間に使いますが、タンク容量が決まっているため、急な来客でお湯を使うなどお湯を使う量が急に多くなると、湯切れします。湯切れしても昼間にお湯を沸かせばよいのですが、昼間の電気料金が深夜に比較して高く、経済的負担が増えます。
  • 電気温水器の寿命は15年から20年と言われ、長期間使えます。
  • 給湯器の中で、ランニングコストが高価な点がデメリットです。

(2) ガス給湯のメリットとデメリット

  • エコジョーズは熱効率が95%のため、ランニングコストを安くできます。
  • プロパンガス料金が高いことが大きなデメリットでしょう。
  • プロパンガスの場合、料金の安い業者への変更が自由にできます。
  • プロパンガスの設備設置費用は、月々の払いに含めることができます。
  • 火災や一酸化炭素中毒の可能性がありますので、火災検知器やガス検知器の設置は必須です。
  • 停電があっても、お湯が使えます。(ただし、停電時のバックアップユニットを備えた場合です)

(3) エコキュートのメリットデメリット

  • ヒートポンプの熱効率が3.0~4.0のため、少ない電気量で多くのお湯が沸かせます。
  • 貯湯タンクを設置するためにスペースを取る必要があります。
  • 来客などにより普段使う湯量より多くなるときは、電気料金の高い昼間に沸かすことになるため電気料金が増えます。
  • 夜間に沸かしたお湯もお風呂などでメインに使うのが夕方以降となり、保温や追炊きなどで効率が悪くなります。結果として、電気料金が増えます。
  • 導入時の初期費用が大きい。
  • この対応としてリース払いが可能ですが、一括払いより支払額が増えることに注意が必要です。
  • オール電化であると、不注意があっても火災のリスクが低くなります。
  • 設置環境によっては効率が悪くなります。例えば、効率が3.7から半分になれば、料金は2倍になります。
  • 災害があったときに、貯湯タンクの水(お湯)が生活用水として使えます。

5.どっちがいい?

電気温水器・ガス給湯器・電気給湯器の良い点と悪い点を比べてみます。2つの機種を比べ、良い・悪いで比較します。総合的に良いのはどちらかは、読者の皆さんが選んでください。

(1) 電気温水器とガス給湯器、どっちがいい?

比較項目 電気温水器 ガス給湯器
(エコジョーズ)
本体価格 悪い 良い
ランニングコスト ほぼ同じ ほぼ同じ
設置環境 同じ 同じ
対環境性 良い 悪い
安全性 良い 悪い
耐用年数 良い 悪い

備考:ガス給湯器は、都市ガスの場合は良いで、プロパンでは悪い。ただし、プロパンの価格差が大きいため、地域によって逆転します。

(2)電気温水器と電気給湯器、どっちがいい?

オール電化のライフスタイルで、給湯器はどちらもタンク貯湯式として

比較項目 電気温水器 エコキュート
本体価格 良い 悪い
ランニングコスト 悪い 良い
設置環境 良い 悪い
対環境性 良い 悪い
安全性 同じ 同じ
耐用年数 良い 悪い

6.電気温水器・ガス給湯器・電気給湯器の見分け方

電気温水器、ガス給湯器、電気給湯器は、図1、図2、図3のグレー色の箱のようなものです。 その箱のようなものに配管や電気配線がつながって、給湯器として動作します。 一目で、何の給湯器かは分かり難いですが、この3種類の給湯器を見分ける方法を、簡単にご紹介します。

(1) 電気温水器

  • 電気温水器には、給水用の水配管と、給湯用のお湯の配管と、電気配線が接続されています。フルオートであると、追炊き配管が2本、浴槽とつながります。

(2) ガス給湯器

  • ガス給湯器には、電気温水器の配管の接続の他に、次の配管がつながります。
    ガス配管、ドレン用の排水配管です。使い方では、燃焼ガスの排ガス用配管もあります。

(3) 電気給湯器

  • 電気給湯器には、電気温水器の配管の接続の他に、次の配管と機器がつながります。
    ヒートポンプと水とお湯の配管があり、一番見分けやすい構成です。

まとめ

このコラムでは、電気温水器・ガス給湯器・電気給湯器について、コストや特徴などの比較を紹介してきました。

しかし、重要な比較をしていません。それは、給湯器の機能です。給湯器の機能は、使い方によって、便利に、快適になります。特に、昨今では、マイコンが頭脳になり、インターネットやAIと連動している機種も多く出されています。

では、なぜ、そのような機能の比較を紹介しなかったのでしょうか。その答えは、給湯器にガス、電気、石油など使ういろいろな機種があっても、機能はほぼ同じだからです。最新の製品は、皆、インターネットやAIと連動し、リモコンボタン一つで、どのようにも動きます。
例えば、フルオートという機能も、どの機種も同じ動作をします。ただ、メーカー独自の機能が含まれていることも事実です。これは、給湯器に限らず、どのような製品についてもいえることで、売れる製品を作ることが義務だからです。

したがって、電気温水器・ガス給湯器・電気給湯器の比較をしようとすると、コストが一番注目される項目で、次が安全や設置できるかなどの構造や特徴です。
つまり、電気温水器・ガス給湯器・電気給湯器のうちどれを選ぶかは、お金の使い方、お湯の使い方、オール電化ライフ、安全を第一に考える、などのような、家庭のライフスタイルで選ぶものでしょう。

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