【電気の単位】アンペア・ボルト・ワットの違いって?

「アンペア・ボルト・ワット」といった電気の単位の関係性を正確に理解している人は多くいません。

「日頃の電気代を節約したい」「電気代を計算してみたいけどやり方がわからない」といった方は、これらの関係性を簡単にでも把握しておくことが必要です。

そういった方の疑問を解決するために電気の単位と電気代の簡単な計算方法について解説します。

そもそも電気って何?

身の周りにある全ての物質は原子で成立

電気の単位であるアンペアボルトワットの意味を理解するために、まず電気がどういったものなのかを簡単に把握しておきましょう。

身の周りにある全ての物質は原子で成り立っています。
下記の図をご覧ください。

原子はプラスの電気を持っている原子核が中心にあり、そのまわりをマイナスの電気を持っている電子が引っ張られてまわっています。

しかし、一番外側の電子は引っ張られる力が中心部よりも弱くなるため、金属などの電気をよく通す物質の外へ飛び出していく場合があります。

この飛び出しやすい性質を持った電子は自由電子と呼ばれています。自由電子は移動することで電気が流れます。

つまり、皆さんが電気と呼んでいるものの正体は「自由電子の動き」のことです。 ちなみに、電気を通す通さないの基準は、この自由電子の有無で決まります。

そして、原子核の周囲をまわっている電子が自由電子になりやすい銅や鉄などの物質を「導体」、ゴムやガラスなどの自由電子になりにくい物質を「絶縁体」と呼んでいます。

これらを踏まえて電気を表す単位について確認してください。

電気を表す単位

電気の単位はアンペア・ボルト・ワット

電気には、役割ごとに単位が決められています。ここでは、アンペアやボルト、ワットの単位について見ていきましょう。

アンペア(A)とは?

アンペアとは電流のことです。 単位は「A」で表され、この値が大きいほど回路に流れる電流は大きくなります。

例えるなら、蛇口から流れる水の量が電流に該当します。 アンペアが大きいと、蛇口から流れる水の量(電流)が多いというわけです。

ボルト(V)とは?

ボルトとは電圧のことです。 単位は「V」で表され、この値が大きいほど回路にかかる電圧は大きくなります。

例えるなら、蛇口から流れ出る水の強さ(水圧の高さ)が電圧に該当します。蛇口はひねればひねるほど、強い水(水圧の高い水)が流れ出ますよね。

この水圧のことを電気用語では「電圧」と呼んでいます。 電圧は、電気で登場する機会が多いので、電圧=水圧とだけ覚えておきましょう。

ワット(W)とは?

ワットとは電力のことです。 単位は「W」で表され、この値が大きいほど回路で消費される電力は大きくなります。例えるなら、「津波」のような水圧と流れる水の量によって発生するエネルギーが電力に該当します。

電力の場合は、発生したエネルギーをテレビに映す、エアコンを使用する、蛍光灯が光るといった生活の中で必要不可欠なものに変換しています。

ワットアワー(Wh)とは?

ワットアワーとは電力量のことです。 単位は「Wh」で表され、この値が大きいほど回路で消費される電力量は大きくなります。

これについては、難しく考える必要はありません。 例えば、1,000Wの家電を1時間使用すると電力量は1,000Whです。 ワットアワーは、電気代を計算する際に使えるので、考え方だけでも覚えておきましょう。

各単位のまとめ

ここで、各単位が表す意味について簡単に整理します。

項目 電気用語 単位 役割
アンペア 電流 A 電気の流れる量
ボルト 電圧 V 電気の強さ
ワット 電力 W 電気が持つエネルギー
ワットアワー 電力量 Wh 1時間に消費されるエネルギー量

また、電気の単位は、それぞれを組み合わせることでさまざまな計算を行えます。 各単位について、簡単に覚えておきましょう。

消費する電力はどう計算するの!?

電圧(ボルト)×電流(アンペア)=電力(ワット)

先ほど、電気の単位を組み合わせることで様々な計算が行えることを確認しました。 その1つに「電圧(ボルト)×電流(アンペア)=電力(ワット)」があります。 電圧と電流がわかれば消費する電力を計算できるといった計算式です。 実際に計算してみましょう。

一般的な家電製品であれば、電気を使用する際にかかる電圧は100Vです。 100Vの家電製品を10Aで使用した際の電力は「100V×10A=1,000W」となるので1,000Wです。

これを少しだけ深く考えると「消費する電力が1,000Wの家電を100Vで使用すると10Aの電流が流れる」 といったこともわかります。 なお、エアコンや冷蔵庫などは一瞬ではなく、一定の時間動作しなければいけません。

消費電力1,000W(=1kWh)の家電製品を1時間運転させると電力量は「1,000W×1h=1kWh」です。同様に2時間使用した場合は、2kWhです。

つまり、電圧と電流、電力と電圧といったように、いずれか2つの条件がわかれば他の単位は計算できるというわけです。計算の土台となる「電圧(V)×電流(A)=電力(W)」を活かしていきましょう。

家庭で使われる電気代を計算してみよう

電力量(kWh)×電気料金(円)=電気代(円/kWh)

ここまでの内容で、電力量までの計算方法について解説しました。 実は、電力量までの計算ができると家庭で使われる電気代も計算できます

というのも、電力会社では、1kWhあたりの電気料金が決められています。

「1kWhあたりの電気料金」にある「1kWh」はこれまでに登場した「電力量」のことです。
つまり、「電力量(kWh)×電気料金(円)=電気代(円/kWh)」の式が成り立ちます。

1,000Wの家電製品を1時間使用した際の電気代を実際に計算してみましょう。

電気料金は契約している電力会社と合計で使用した電力量によって異なりますが、ここでは、一般的な料金である27円/kWhを例にして計算します。 1,000Wの家電製品を1時間使った際の電力量は「1,000W×1h=1,000Wh(1kWh)」です。 このときの電気代を計算すると、次のようになります。

1kWh×27円=27円/kWh

つまり、1,000Wの家電製品を1時間使用すると電気代は27円かかります。 同様に、600Wの家電製品を1時間使った場合の電気代も考えてみましょう。

600Wの家電製品を1時間使った場合の電力量は「600W×1h=600Wh(0.6kWh)」です。
このときの電気代を計算すると、次のようになります。

0.6kWh×27円=16.2円/kWh

600Wの家電製品を1時間使用すると電気代は16.2円かかります。 ちなみに600W消費する家電製品は、8畳用のエアコンが該当します。

夏にエアコンを使う際には、電気代に注意してくださいね。

【豆知識】家庭に送られてくる電気は何V?

電気は100Vと200Vの2種類

ここでは、豆知識を二つご紹介します。
現代は発電所から作られた電気が家庭まで送られますが、その電気は何Vなのでしょうか?
結論からお話しすると、100Vと200Vの2種類あります。
この2種類以外で送られることはありません。これが豆知識の一つ目です。

電圧 使用される家電製品
100V 照明、電子レンジ、冷蔵庫、掃除機、ドライヤー、充電器、テレビなど
200V エアコン
家庭内にある電気の9割以上が100V(エアコンのみ200V)

家庭内にある電気の9割以上が100Vとも言えます。エアコンのみ200V、それ以外の家電製品は100Vと認識して頂ければ大丈夫です。
これがわかるとブレーカーが落ちた際の原因が大まかに把握できます
これが豆知識の二つ目です。

同様に「消費電力500W」の電子レンジを使用すると電流は「5A」流れます。
このとき、エアコンとドライヤーを同時に使用すると流れる電流は「14A」です。もし、家庭の電気を「10A」で契約している方であれば、契約電流をオーバーしているため、ブレーカーが落ちて停電します。

このように、家庭に送られる電気と電気の単位を理解しておくと、電気を安全に使用するための対策にもつながります。

まとめ

今回の記事では、電気の単位であるアンペア・ボルト・ワットの関係性について、身の回りにある家電製品を例にご紹介しました。

アンペア・ボルト・ワットの関係性を理解しているだけで、家庭で使われる電気代や電気を安全に使用するための対策などさまざまな情報を自力で得られます。電気は目に見えるものでないため、使用する人が正しく使用するための情報を把握しておかなければいけません。

この記事でご紹介した内容をぜひ役立ててください。

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