ガス給湯器の耐久年数・交換時期・寿命・故障のサイン

ガス給湯器の耐久年数
ガス給湯器の寿命は10年から15年と言われています。もちろん使い方次第で年数は変わりますが、例えば、寒い地域で4人家族では、毎日お風呂に入り、洗面・炊事も豊富なお湯を使う場合と、暖かい地域で3人家族で、お風呂も1日おきにシャワーだけという2つの家族がいるとします。

2つの家庭のガス給湯器の稼働時間を比較すれば、どちらのガス給湯器が早く寿命を迎えるか推測が付きます。

もう一つの寿命の判定には、壊れても修理する部品がないという場合があります。メーカーは製造中止から10年だけ供給できるようにしますので、部品のないガス給湯器の部分が壊れたときは、ガス給湯器の寿命と言っていいでしょう。 このコラムでは、ガス給湯器の耐久年数の考え方について、ご紹介します。

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1.ガス給湯器の耐久年数とは

ガス給湯器の耐久年数とは何かと考えた時、ガス給湯器として使える期間と言い換えても良いでしょう。 「使える」ということは、次のような機能が正しく動作していることです。

「使える」=機能が正しく動作
  • 故障が起きても修復できる (コストは買換えるより安いこと)
  • 取替え部品が確保されていること
  • 故障が起こらないこと
  • 異常時にアラーム発報し、知らせること
  • 水漏れのような簡易修理が、すぐ対応できること
  • ガス給湯器として機能が正常であること

逆に「使えない」ということは、次のような異常が常に起こることです。

「使えない」=異常が常に起こる
  • ランニングコストが急に倍になったという、正常でない動きをすること
  • 部品に欠損があり、一部の故障に対応できる部品がない状態

準備しよう!

ガス給湯器を使っているユーザーとしては、給湯器がいつ耐久年数になっても良いように、次のような準備をしておくべきでしょう。

  • 取替え機器の選定できるように、カタログなどを見ておく
  • 給湯器の発注をしたら、すぐ給湯器を納入してくれるガス会社を探す
  • 取替え工事をすぐに対応できる業者を選定しておく
  • 給湯器が使えない期間の過ごし方を考えておく

2.ガス給湯器の劣化部品とは?

図1にガス給湯器の構成を、簡単に紹介します。

ガス給湯器の構造は、収納箱の中に燃焼機器があり、燃焼ガスと水からお湯を沸かし、お風呂などに供給します。燃焼機器を制御するメインが電子基板で、外部から指示を与えるのが台所などに設置されているコントローラです。 収納箱には、燃焼機器にガスや水、電子機器の配線を出し入れする配管・配線部品が設置されています。ここと、外部からの配管や配線とが接続されます。

図1では、燃焼機器は1つの塊のように書いていますが、ここではガスを燃焼させ、水を導入し、温度センサーで温度をコントロールし、危険が生じたら緊急で停止させる(バルブを閉める)ような機器が何十点も使用されています。そしてそれらの部品の1つでも動作不良となると、ガス給湯器が故障という状態になります。

図1のガス給湯器の構成から、寿命となる劣化部分は何かを下記します。

燃焼機器

ガスを燃焼させるバーナー、温度計、ガスを供給する弁、給水弁、安全弁、CO計などの、ガスを燃焼させる以外の部品が集まった機器です。

電子基板

燃焼機器を制御・操作する電子部品によって電磁弁を作動させる機器で、マイクロコンピュータのようなものです。

収納箱

燃焼機器や電子基板を収納し、排ガスを出す収納箱です。

コントローラ

風呂場や台所において、お湯の温度設定やお風呂の設定をする機器です。

配管・配線部

収納箱と、外部からのガス管、水やお湯の管を接続する接続部品が外に出ています。

メーカーでは製品を製作するとき部品が何十万回動作しても異常が生じないようなテストを繰り返し、信頼できる部品を使ってガス給湯器を製作しています。したがって、ガス給湯器に部品が多いからといって、故障する確率が高いわけではありません。

3.ガス給湯器の故障モードとは?

どのような部品、機器も偶発的な故障を避けることはできません。 図2に、ガス給湯器の故障推移を紹介しています。この図は、統計では、バスタブ曲線と呼ばれています。

簡単に図2を説明しましょう。

ガス給湯器を設置してから、しばらくの間は初期故障期と言い、思わぬミスから故障が起こり、それを修復していくことで、故障はほぼゼロになります。しかし、偶発的な要因で故障が起こることは常にあり、これを偶発故障と言います。ガス給湯器の寿命を10年とすると、10年間はこの偶発故障期間が続き、ほぼ安定してガス給湯器は動き続けます。

しかし、10年を経過すると、ガス給湯器部品の劣化が進み、故障が増えていき、最終的には使用できないほどの故障に見舞われます。この期間を摩耗故障期と言います。さらに、10年を経過するとメーカーが保有する補修用部品がなくなり、ガス給湯器の部品が劣化で動かなくても取替ができない状態が起こり、使用不可の状態となります。

10年経つと必ずこうなるかというと、そうでもないケースがあります。はじめに紹介したように、ガス給湯器をそれほど使っていない家族の場合は、摩耗故障期がもっと後に現れるのではないでしょうか。

4.耐用年数とガス給湯器に掛けるお金

ガス給湯器が10年で耐用年数にあたるとした時には、10年ごとにガス給湯器を取り換えることになります。 10年ごとに取り換えるなら、中古品を最初から安く設置して、寿命が来たらまた安く交換すれば、生涯にガス給湯器に使うお金が安くできるのでは?という発想が生まれます。 本当にそうか、シミュレーションしてみましょう。ぞれを表した図が、図3です。

ガス給湯器を買うケースを2つ(ケースAとケースB)考えてみます。

(1) ケースA

新品のガス給湯器を取付けたが、2年後にその製品が製造中止となった場合です。 ケースAのガス給湯器は製造中止から10年間補修部品を保有するため、ケースAで購入したガス給湯器の部品供給は12年目まで可能です。したがって、寿命は12年目となって、買い替えを行うことになります。

(2) ケースB

ネット販売で製造中止品(中古品)を取付けたが、製造中止が5年前のため、設置から5年後には寿命となり、5年後に買い替えて再設置した場合です。このとき買換えたものも、5年前に製造中止品とします。

(3) その他の事項

新品の価格は60万円、中古品は20万円、工事費は初めに10万円、取替時は5万円とします。また、ランニングコストは、新品の方が高効率として1.5万円/月、中古品は3万円/月とします。また、途中での部品交換などはないものとします。
以上の想定で、12年後にどれだけのコストをかけているかを比べてみます。ただし、12年後、ケースAではまだ買い替えの検討中として、新品を設置していない段階とします。

(4) ケースAで掛かったコスト

ガス給湯器価格60万円、工事費10万円、ランニングコスト1.5万円×10年

トータルとして85万円

(5) ケースBで掛かったコスト

ガス給湯器価格20万円×2=40万円、工事費10万円+5万円、ランニングコスト3万円×10

トータルとして85万円

ケースAとケースBを比べて見て分かることは、耐久年数を考えてガス給湯器を設置しても、生涯(10年)にわたるトータルコストには、それほど大きな影響がないということです。 影響するのは、給湯器の使い方をどのようにするかで、部品劣化が早まり、ランニングコストも増えることでしょう。

従って、結論としては、ガス給湯器を設置するときは、機能が十分で安いガス給湯器を選ぶのは良いことですが、ガス給湯器の製造中止がいつで、部品供給はいつまで継続するかという、部品供給による寿命予測です。

部品供給が長い様なら、高価でも導入する価値はあるでしょう。 ランニングコストは、今のエコジョーズ型式のガス給湯器あれば、機種が変わっても大きな差はないでしょう。

5.ガス給湯器を長持ちさせるには?

ガス給湯器に、例えば水が溜まる、ということがあれば、そこから給湯器の筐体に穴が空くなどの故障が起こります。また、配管や配線の接続が腐蝕したり、そこから内部に水が入り、電子部品を劣化させることも予想できます。

このようなガス給湯器自体の劣化は仕方がないことですが、劣化を早める要因をなくすことで、ガス給湯器の耐久年数は長くなるでしょう。

普段からのチェックで劣化を早めないようにする対策を列挙します。

  1. 水漏れはすぐに対応します。配管の場合、特殊工具が必要なときもあり、メンテナンス会社に連絡・対応してもらいます。
  2. 給湯器筐体にサビが見られたらすぐに対応します。錆止めを塗ることで対応できます。
  3. アラーム機能が正常か、定期検査時に確認することで、実際の異常時の対応がすぐできます。
  4. ランニングコストが急な変化がないかチェックします。特にガスを多く使った理由がなければ、配管などの継ぎ目からわずかな漏れが起きている可能性があります。大きな漏れの場合は、緊急動作でガスを停止させる機能があります。
  5. 冬の凍結に注意します。ガス給湯器本体の凍結防止は、温度が下がると内部ヒーターを稼働させて温度を保ちます。外部の配管はそのような機能がないので、保温材を巻くなどの対策を講じます。
  6. いつもと違う臭いが給湯器の周囲から匂う場合は、ガス会社に連絡して対応してもらいます。ガス漏れ、COガス漏れのような場合には、自分で対応せず、専門家に任せるべきです。
  7. いつもと違う音が給湯器周辺からした場合は、ガス会社に連絡し、対応してもらいます。本来音はポンプが回ったときの音が聞こえる程度で、他の異音はほとんど聞こえません。
  8. 給湯器に虫が入っていない、蜘蛛の巣が張られていないことを確認します。特に、配管・配線の接続部周囲に、蜘蛛の巣や虫がいると、ガス給湯器の内部に入り込んでいる可能性があり、筐体を開けて確認します。

6.ガス給湯器の異常に気付くために

ガス給湯器に限らず、システム機器が突然故障することは、ほとんどありません。
故障が起こる前に、何らかの運転異常、いつもと違う運転状況が起こります。それをほっておくと、本当の故障となり、最悪、故障部品が手に入らず、耐久年数を迎えることにもなりかねません。
また、電子部品による動作では、外からの一時的なノイズによっても誤動作する場合があります。このときに起こるエラーは、電源の入切で正常化することがあります。

エラーが起きたときの対処する方法は、コントローラーに、エラーコードが表示されます。そのエラーコードに対しての処置方法を行って、その結果から異常の有無が分かります。エラーが起きたときは、まずは、取扱説明書に従って対処します。

一時的な故障の兆候なら、エラーはすぐに復帰しますが、処置しても再度同じエラーが起きたときは、故障となる要因があるということになるため、メンテナンス会社に依頼し、点検してもらいましょう。

表1は、リンナイ製の給湯器のエラーコードの一部を参考に作成した、エラーコード一覧表を、添付します。エラーコード番号は、リンナイ及びどのメーカーの機器とも関係がないため、このエラーコード表は、どこの給湯器に対しても、使えないことを、お断りしておきます。

表中の赤い色で示したエラーは、必ずメンテナンス会社に依頼し、点検・補修するべきです。普通のユーザーは電源ON/OFF程度しかできないという前提で、オレンジ色にしています。
また、エラーコードが出て処置して直ったとしても、再度、別のエラーが発生することがあります。エラーが続くようなら、根本原因を探すため、メンテナンス会社に点検依頼すべきです。
エラー発生時にきちんと対応すれば、耐久年数が伸びることになります。

表1 エラーコード例

コード例 エラー内容 一次処置

E1

給湯サーミスター異常 運転スイッチを切って再操作します
E2 60分連続燃焼 給水栓を閉めて、再操作します
E3 湯はり強制止水 再操作します
E4 給湯連続燃焼不良 電源スイッチを切るか、水栓を閉じて再操作します
E5 給湯点火不良 ガスメーター・ガス元栓確認後、運転スイッチを切って再操作します
E6 給湯ファン回転異常 運転スイッチを切って再操作します
E7 出湯温度異常 運転スイッチを切って再操作します
E8 ふろサーミスター異常 運転スイッチを切って再操作します
E9 能力ダウン運転 運転スイッチを切って再操作します
E10 点火不良 ガス栓確認後、再操作します
E11 途中失火 ガス栓確認後、再操作します
E12 COセンサー作動 給気フィルター掃除後再操作します
E13 過熱防止装置、温度ヒューズ作動 運転スイッチを切って再操作します
E14 沸騰検知 運転スイッチを切って再操作します
E15 漏水検知作動 電源プラグを抜いて、再操作します
E16 過電流検知作動 修理点検が必要です
E17 2次側電路の地絡 修理点検が必要です
E18 水流スイッチ異常 再操作でも同様なら点検修理が必要です
E19 中和器水位電極異常 修理点検が必要です
E20 センサー全般の異常 運転スイッチを切って再操作します
E21 サーミスター異常 運転スイッチを切って再操作します
E22 缶体サーミスター異常 運転スイッチを切って再操作します
E23 COセンサー異常 運転スイッチを切って再操作します
E24 サーモカップル、炎温度サンサーの異常 運転スイッチを切って再操作します
E25 暖房水渇水検出 暖房補給水栓を開いて、補給します
E26 ガス比例弁異常 運転スイッチを切って再操作します
E27 ファンモーター異常 点検修理が必要です
E28 水量制御の異常 運転スイッチを切って再操作します
E29 比例弁回路異常 運転スイッチを切って再操作します
E30 電子ユニット内ガス電磁弁駆動回路異常 運転スイッチを切って再操作します
E31 疑似炎検知 運転スイッチを切って再操作します
E32 点検時期告知表示 法定点検が必要です
E33 燃焼ファンモーター初期電流異常 運転スイッチを切って再操作します
E34 中和器寿命警告表示 そのまま使用可能ですが、修理点検が必要です
E35 中和器寿命機器停止 修理点検が必要です
E36 給湯能力低下運転 運転スイッチを切って再操作します
E37 給湯出力低下運転 運転スイッチを切って再操作します
E38 ふろ機能寿命予告運転 運転スイッチを切って再操作します
E39 暖房燃焼改善運転 運転スイッチを切って再操作します
E40 点火不良 ガス栓確認後、再操作します
E41 給湯点火不良 ガス栓確認後、再操作します
E42 ふろ点火不良 ガス栓確認後、再操作します
E43 暖房点火不良 ガス栓確認後、再操作します
E44 途中失火 ガス栓確認後、再操作します
E45 給湯途中失火 ガス栓確認後、再操作します
E46 ふろ途中失火 ガス栓確認後、再操作します
E47 暖房途中失火 ガス栓確認後、再操作します
E48 COセンサー・不完全燃焼防止装置作動 フィルター掃除 再操作しますが、フィルター掃除ができないなら修理依頼します
E49 過熱防止装置、温度ヒューズ作動 運転スイッチを切って再操作します
E50 給湯沸騰検知 運転スイッチを切って再操作します
E51 風呂異常過熱 運転スイッチを切って再操作します
E52 部分凍結異常 運転スイッチを切って再操作します

まとめ

ガス給湯器の耐久年数について、ご紹介してきました。話が、色々と飛んで分かり難かったかもしれません。 初めに買ったガス給湯器は、気に入って買ったものが多いはずで、できるだけ長く使い続けたいということは、消費者の本音ではないでしょうか。 そのために、耐久年数を上げようと、できることは何でもやって、寿命を延ばしたいものです。

ガス給湯器の耐久テストは、JISでも、メーカーでも実施されていて、文献も出されています。しかし、そのテストの一番の問題は、前提条件を決められないか、決めてもある条件での耐久時間でのレポートになってしまうことです。 それも当然で、家庭のライフスタイルは皆違います。半日はお湯を使う人と、1日の30分程度の使い方のように、人さまざまです。給湯器をメーカーが想定する以上に使う家庭では、壊れたときに修復するときのコストも、買換えのコストと大きな差がないかもしれません。さらに10年近く経つと、給湯器の機能も向上していると思われます。

したがって、耐久年数をどれだけということを論じること自体、あまり意味のあることではなく、修復するためにお金を掛けるか、どうせお金を掛けるなら新しい機能の給湯器を使うという、選択肢のどちらを選ぶかが、ライフスタイルではないでしょうか。

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