プロパンガスとは?都市ガスとの違いやメリット・デメリット・価格・熱量

プロパンガスとは

プロパンガス(LPG)とは

日本の40%にあたる約2450万世帯へ供給され、
近代文明を支えるエネルギー源の一つ

プロパンガス都市ガス可燃性のガス(気体)で、私達の近代的な生活を支えるエネルギー源の一つです。プロパンガスはLPガスやLPGとも言い、都市ガスはLNGとも言います。その用途は多岐に渡り、生活に身近なところでは、一般家庭のガスコンロやカセットコンロ、給湯機、冷房、暖房、発電などの燃料として使用され、タクシーやトラック、貨物車などの燃料としても活躍しています。工業の世界では、金属の加工や製鉄などにも利用されます。また、火力発電所のバックアップ燃料としても備蓄されています。プロパンガスや都市ガスは、近代文明を支える大切なエネルギーの一つと言えます。

2450万世帯に供給
プロパンガスは日本全世帯5700万のうち、42%にあたる約2450万世帯に供給されています(平成27年度現在)。都市ガスが配備されていない地域の必須エネルギーとなります。都市ガスは約2635万世帯に供給されています。(平成27年度現在)
ガスの種別需要家規模(平成27年度)
(出典)日本LPガス団体協議会
ガス 需要家件数 ガス販売量
LPガス 2,450 万件 68 億m3/年
都市ガス 2,635 万件 363 億m3/年
簡易ガス 117 万件 1.5 億m3/年

プロパンガス(LPガス)と都市ガスの違い

プロパンガスや都市ガスは日本の多くの世帯に供給され、給湯、調理、冷暖房などのエネルギーとして幅広く利用されています。私達が家庭で利用しているガスにはプロパンガスと都市ガスの2種類があります。では、プロパンガスと都市ガスにはどのような違いがあるのでしょうか?

プロパンガスと都市ガスの違い
名称 プロパンガス 都市ガス
種類 液化石油ガス=LPG
(Liquefied Petroleum Gas)
液化天然ガス=LNG
(Liquified Natural Gas)
供給方法 ボンベの配送や充填によって供給
導管を通して供給する場合もあり
地中の導管を通して各家庭へ供給
熱量 約 11,000 Kcal
約 100 MJ
(1m3当たり)
約 24,000 Kcal
約 45 MJ
(1m3当たり)
供給世帯 約 2,450 万
平成27年度
約 2,635 万
平成27年度
普及率 約 42 %
平成27年度
約 46 %
平成27年度
整備状況 各社配送エリア内 国土全体の約 6 %
(導管網の敷設率)
販売量 約 68 億m3/年
平成27年度
約 363 億m3/年
平成27年度
主成分 プロパン/ブタン
を主成分とする
メタン
を主成分とする
原料 石油や天然ガス 天然ガス
特徴・性質 無色無臭
※ガス漏れ対策で匂い付け
無色無臭
※ガス漏れ対策で匂い付け
特徴・性質 -42.09度まで冷やすと液体になり、
体積が250分の1になる
-162度まで冷やすと液体になり、
体積が600分の1になる
都市ガスが配備されていない地域では、プロパンガスが給湯やガスコンロの主力エネルギーとなります。

液化石油ガス(LPG)と液化天然ガス(LNG)

液化石油ガス(LPG) プロパンガスは液化石油ガスの一種です。液化石油ガスは英語で Liquefied Petroleum Gas と言い、頭文字を取って LPGやLPガスと呼ばれます。液化石油ガスは、プロパンとブタンを主成分とし、冷却や圧縮することで液化させたガス燃料の一種です。家庭用のプロパンガスはプロパンが主成分となっているので、プロパンガスと呼ばれます。工業用等で使用されるブタンが主成分のLPガスもあり、ブタンガスと呼ばれます。

液化天然ガス(LNG) 都市ガスは、液化天然ガスの一種です。液化天然ガスは英語で Liquefied Natural Gas と言い、頭文字を取って LNGと呼ばれます。液化天然ガスは、メタンを主成分とした天然ガスを冷却し液化した無色透明の液体です。

プロパンガスと都市ガスの輸入元国

プロパンガス(LPG)輸入量

LPG 輸入

プロパンガスの主成分であるプロパンとブタンの輸入元国とその割合と量です。日本で使用されるLPガスの約75%は国外から輸入されています。残りの約25%は、原油精製時や化学製品の生産時に発生する国内生産分です。

LPGの輸入割合と量(2018年度)国別
総輸入量:10,639,536 t
割合 量(単位トン)
アメリカ 69.6 7,405,117 t
UAE 9.0 957,558 t
サウジアラビア 6.2 659,651 t
カタール 4.9 521,337 t
オーストラリア 4.4 468,140 t
クウェート 3.4 361,744 t
東ティモール 1.2 127,674 t
バーレーン 0.9 95,756 t
その他 0.4 42,558 t

※出典:日本LPガス協会

都市ガス(LNG)輸入量

LNG 輸入

都市ガスで使用されるLNG(天然ガス)の輸入元国とその割合と量です。輸入されたLNG(天然ガス)の約36%が都市ガスとして使用されます。その他は発電等で使用されます。

LNGの輸入量(2018年度)国別
総輸入量:85,500,000 t(1130億m3)
割合 量(単位トン)
オーストラリア 35.4 28,514,700 t
マレーシア 12.9 10,390,950 t
カタール 12.0 9,666,000 t
ロシア 7.6 6,121,800 t
アラブ首長国連邦 6.3 5,074,650 t
インドネシア 6.2 4,994,100 t
ブルネイ 5.3 4,269,150 t
パプアニューギニア 4.0 3,222,000 t
オマーン 3.4 2,738,700 t
アメリカ 3.2 2,577,600 t
その他 3.7 2,980,350 t

※出典:財務省貿易統計

プロパンガス(LPG)の輸入量アメリカが1位

アメリカでは2006年以降、経済的に掘削が困難とされていた地下2,000メートルを超える深さに位置する頁岩(けつがん)のシェール層から、天然ガスの採掘や生産が本格化していきました。開発が進むにつれ、アメリカの天然ガス輸入量は減少し、価格も低下していきました。それに伴い日本におけるアメリカからのシェール随伴LPガスの輸入が増大することになります。これはエネルギー分野に大きなインパクトを与え、この分野における21世紀最大の変革とされています。所謂「シェール革命」と言われています。

アメリカからの輸入量の推移
年度 合計量(単位トン) 割合
2018年10,639,536 t69.64 %7,409,031 t
2017年10,522,065 t55.74 %5,864,847 t
2016年10,496,781 t35.98 %3,776,648 t
2015年10,540,545 t21.22 %2,237,023 t
2014年11,510,698 t15.1 %1,737,969 t

プロパンガスのメリットとデメリット

プロパンガスのメリット

プロパンガスのメリット
  1. ​ガスの導管が無くても利用可能!
  2. ​都市ガスに比べて熱量が約2倍!
  3. 災害時の復旧が早い!
  4. 初期費用が安い!(無料の場合も)
  5. クリーンエネルギー

プロパンガスのデメリット

プロパンガスのデメリット
  1. ​料金が高い
  2. ​料金が変動する

プロパンガスの価格

プロパンガス料金ってどうやって決まるの?

プロパンガス地域にずっとお住まいの方は、プロパンガス料金も水道料金などの公共料金と同様に、どの家庭も一律料金に近い価格だと思っている方もいらっしゃると思います。実際は、プロパンガス料金は業者によって価格が大きく異なり、地域による料金差もあり、産ガス国からの輸入や為替の影響も受ける、市場価格なのです。つまり、プロパンガス料金は需要と供給によって価格が決まる相場(その時その時の時価)があるのです

産ガス国の生産量や為替などの影響は不可避であり、また、あまり大きな変動はありません。個人であっても、自由に選べるのがガス会社です。そして、そのガス会社がプロパンガス料金に大きく関わっています

プロパンガス料金は業者によって価格が大きく異なります。それはプロパンガス料金が自由料金だからです。プロパンガスは、ガソリンや灯油、お肉やお野菜といった商品などと同じように、販売側が自由に価格を決めて販売する「自由価格」なのです。その結果、業者によって料金が大きくことなり、平均価格と安値の相場価格では倍近く料金が違うこともあります
※2017年4月に都市ガスの自由化もあり、現在は都市ガスも自由価格の商品となりました。

熱量の違いでプロパンガス単価約320円が都市ガスと同様料金

プロパンガスの価格は、約1m あたり 320円 程度で都市ガスと同じレベルの料金になると考えられます。その理由は、プロパンガスと都市ガスはガスの性質が異なり、熱量(カロリー)に大きな差があるからです。

1m3あたりの熱量
  • プロパンガス:約24,000kcal(キロカロリー)
  • 都市ガス:約10,750kcal(キロカロリー)
プロパンガスは都市ガスの2.23倍の熱量になります。

熱量やカロリーと言われてもいまいちピンとこないと思いますが、簡単にいうとプロパンガスの方が少ない量でたくさん燃やせるという事です。
例えば同じ量のお湯を沸かすのに、プロパンガスは1mで沸かせられるのに対して、都市ガスは2.23倍の2.23m必要という事です。
都市ガス同様価格の算出の計算
都市ガス1m単価:142.66円×2.23=約318円
つまりプロパンガス1m単価約318円が都市ガスと同様料金になります。
※東京ガス発表 東京地区2018年3月発表 より参照

プロパンガスはどんなガス?

プロパンガスは
プロパン と ブタン の混合ガス

プロパンガスは、プロパン(C3H8)とブタン(C4H10)を主成分としている混合ガス(gas = 気体)です。主成分としてプロパンが8割以上、一般家庭向けで95割以上となるので、プロパンガスと呼ばれます。ブタンが主成分として多い場合はブタンガスと呼ばれ、主に工業用として供給されます。プロパンとブタンは用途によって混合率が変化します。また、プロパンガスはLPガスやLPGとも言われますが、詳細は後程説明します。

プロパンガスの可燃性

プロパンガスは
都市ガスの約2.23倍の熱量

プロパンガスは高い可燃性があり、家庭用や業務用のエネルギーとして広く供給されています。プロパンガスは都市ガスの約2.23倍の熱量があります。プロパン95%・ブタン5%の場合、1㎥あたり24023.350Kcalで、都市ガスの場合、1㎥あたり10,750kcalです。例えば、同じ量の水を同じ時間で沸騰させる場合、都市ガスは2.23倍の量のガスを供給する必要があります。

プロパンガスの液体

プロパンガスは
液化させると1/250の体積になる

プロパンやブタンはガス状の気体ですが、加圧や冷却によって容易に液化させることが出来ます。液化させると気体時の体積を1/250まで縮小させることが出来ます。また、減圧や加温によって気化させることも容易です。この性質を利用し、液化状態で効率的に運搬を行い、気化によって供給させることが出来ます。

プロパンガスの臭い

プロパンガスは
保安のため着臭される

プロパンガスは無色無臭の気体ですが、安全対策として、硫黄系化合物などで着臭しています。高圧ガス保安法により、プロパンガスの空気中混入率が1/1000の割合であっても、人が感知できる程度の着臭が義務付けられています。

プロパンガスは空気より重い

プロパンガスは
空気より役1.56倍重い

プロパンガスは空気より重い性質があり、空気を1した場合、約1.6~2.0倍程度(混合率による。プロパン100%で1.56倍)の重さです。そのため、空気中では下部に滞留します。プロパンガスのガス漏れ報知器が床に近い位置に設置されるのはそのためです。

プロパンガスはクリーンなエネルギー

石炭1.54とすると
プロパンガスは1の二酸化炭素排出量

プロパンガス燃焼時に二酸化炭素や窒素酸化物が出ますが、ガソリンなどの化石燃料に比べると、二酸化炭素排出量は低い数値です。ガソリンや石油、石炭などの化石燃料に比べて、CO2排出量が少なく、また、大気汚染に繋がる物質も少ないので、クリーンなエネルギーとして注目されています。

燃料の種類 単位発熱量CO2排出係数
発熱量あたりの
CO2換算
トン・CO2/GJ
単位量あたりの
CO2換算

指数

一般石炭25.7
GJ/t
0.0906
tCO2/GJ
2.33
tCO2/t
1.54
原油38.2
GJ/kl
0.0686
tCO2/GJ
2.62
tCO2/kl
1.16
ガソリン34.6
GJ/kl
0.0671
tCO2/GJ
2.32
tCO2/kl
1.14
ジェット燃料油36.7
GJ/kl
0.0671
tCO2/GJ
2.46
tCO2/kl
1.14
灯油36.7
GJ/kl
0.0678
tCO2/GJ
2.49
tCO2/kl
1.15
軽油37.7
GJ/kl
0.0686
tCO2/GJ
2.58
tCO2/kl
1.16
液化石油ガス(LPガス)50.8
GJ/t
0.059
tCO2/GJ
3
tCO2/t
1.00
液化天然ガス(LNG)54.6
GJ/t
0.0495
tCO2/GJ
2.7
tCO2/t
0.78
天然ガス43.5
GJ/千Nm3
0.051
tCO2/GJ
2.22
tCO2/千Nm3
0.86
都市ガス44.8
GJ/千Nm3
0.0499
tCO2/GJ
2.23
tCO2/千Nm3
0.85

※LPガスはプロパン70% ブタン30%の混合ガス
出典:環境省「特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量の算定に関する省令」

プロパンやブタンとは

プロパンやブタンはガソリンなどと同じ分類の炭化水素
成分 分子式 状態 種類
プロパン C3H8 気体=gas 炭化水素の一種
ブタン C4H10 気体=gas 炭化水素の一種

プロパンは炭素数(分子に含まれる炭素の数)が3つの炭化水素です。ブタンは炭素数(分子に含まれる炭素の数)が4つの炭化水素です。

プロパンやブタンは、炭化水素(炭素原子:元素記号Cと水素原子:記号H だけでできた有機化合物の総称)の一種です。重油、ガソリン、軽油、灯油などと同じ分類です。プロパンやブタンは元々ガス状の気体ですが、常温でも圧縮することで液化が可能で、液化することで体積を大幅に縮小させることが出来ます。そのため輸送運搬が非常に効率的になります。

プロパンやブタンはどこで生産されるのか?

プロパンやブタンは化石燃料

プロパンやブタンは地層の油田や天然ガス田から採掘します。つまり化石燃料の一種です。

化石燃料の種類

  • 石炭
  • 石油
  • 天然ガス
  • メタンハイドレート
  • シェールガス

炭化水素なので、炭素系資源とも言われます。油田や天然ガス田は、生物の死骸が長い年月を掛けて地層に溜まり、圧縮され、油分が溜まったり、地熱で気化したりすることで作られます。地層の油田や天然ガス田から採掘したガスは、多くの成分を含んでいるので、それらの中から分離回収することで、プロパンやブタンを取得します。

プロパンガスとLPガス(LPG)は同じ

プロパンガスも
LPG(液化石油ガス)の一種

LPガス(LPG)は Liquefied Petroleum Gas の略称で、液化石油ガスのことです。液化石油ガスは、プロパンとブタンを圧縮や冷却などして液化したガス燃料の一種です。

LPGとは
  1. ​Liquefied(…を)溶かす、 溶解させる、 液化する)
  2. ​Petroleum(石油)
  3. Gas(ガス)

プロパンやブタンは加圧や冷却することで容易に液化する性質があり、また、地層中の油田やガス田から採掘したガスを分離回収した化石燃料なので、プロパンとブタンを混合したガスを総称して液化石油ガス=LPガス(LPG)と言います。プロパンガスもLPガス(LPG)=液化石油ガスの一つで、プロパンを主成分としているので、プロパンガスと呼称されるのです。ブタンガスもLPガス(LPG)であり、その主成分からブタンガスと呼ばれます。混合の割合は用途によって変化します。ブタンが8割、プロパンが2割の混合ガスは、タクシーなどの自動車で利用され、「オートガス」と呼ばれる場合があります。

  • 液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas)プロパン、または、ブタンが主成分
  • 液化天然ガス(Liquefied Natural Gas)メタンが主成分

LNGとは、Liquefied Natural Gas 液化天然ガスの略で、メタンを主成分とした天然ガスを冷却し液化した無色透明の液体です。都市ガスとして供給されます。

プロパンやブタンの生産とLPガスの生産

プロパンやブタンは天然ガス成分の一つ

LPガスの主成分はプロパンとブタンのガスです。これらプロパンやブタンは地下地層の油田(油田上部に滞留する油田ガス)、天然ガス田、炭田(炭田上部に滞留する炭田ガス)などに存在している天然ガス成分の一つです。

油田ガスや天然ガス田、炭田ガスの中では、エタンやメタンなども存在しており、プロパンやブタンもその中で混在しています。天然ガスから採掘・回収された原料ガスを地上施設で分離し、水銀や硫黄などの不純物を除去して精製し、プロパンやブタンとして生産されます。

精製されたプロパンやブタンを混合し、LPガスが生産されます。混合率は用途により変化し、一般家庭向けでは95%以上の割合でプロパンが主成分となります。工業用のLPガスでは、ブタンが主成分となります。天然鉱床ガスから生産されたLPガスは原油随伴、天然ガスから生産されたものは天然ガス随伴と言われます。また、原油の精製過程で分離・回収した場合、原油精製と言われます。

LPガスの精製

  • (1) 油田内部に滞留しているガスから分離・回収する(原油随伴)
  • (2) 天然ガスから分離・回収(天然ガス随伴)
  • (3) 原油の精製過程で分離・回収(原油精製)

天然ガス

天然ガスは化石燃料の一つで、化石燃料の炭化水素ガスです。天然ガス成分は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタンがあります。

  • メタン
  • エタン
  • プロパン
  • ブタン
  • ペンタン

主な成分はメタンで、80%以上、産地によっては、99%の成分がメタンとなっています。その他にも、窒素や酸素、炭酸ガス、水蒸気、硫化水素ガス、亜硫酸ガス、硫黄酸化物ガスなどの不燃性ガスなども含まれています。

プロパンとブタンの分子

成分 分子式 分子模型
プロパン C3H8
ブタン C4H10
プロピレン C3H6
ブタジエン C4H6
エチレン C2H4

プロパンの詳細

プロパンの熱量や色、液化条件など

プロパン
項目 内容
分子式 C3H8
発熱量 MJ 換算
1㎥に対する
99.048 MJ
1㎥に対して
気体状態
発熱量 kcal 換算
1㎥に対する
23673 MJ
1㎥に対して
気体状態
重さ kg
1㎥に対する
1.992 kg
1㎥に対して
気体状態
液化(冷却) -42.1
液化(圧力) 0.86 MPa
約8.6気圧
※MPa≒メガパスカル
性質 液化により体積が気体時の 1/250 に縮小
・冷却の場合
 -42.1 度で液化
 (0.1MPa≒約1気圧にて)
・圧縮の場合
 0.86 MPaで液化
 (気温15度にて)
※MPa≒メガパスカル
無色
臭い 無臭
ガス比重 1.56
(空気 1 に対しての重さ)
モル質量 44.09 g/mol
融点 -187.6
沸点 -42.1

ブタンの詳細

ブタン
項目 内容
分子式 C4H10
発熱量 MJ 換算
1㎥に対する
128.365 MJ
1㎥に対して
気体状態
発熱量 kcal 換算
1㎥に対する
30,680 kcal
1㎥に対して
気体状態
重さ kg
1㎥に対する
2.817 kg
1㎥に対して
気体状態
液化(冷却) -0.5
液化(圧力) 0.21 MPa
約2.1気圧
※MPa≒メガパスカル
性質 液化により体積が気体時の 1/250 に縮小
・冷却の場合
 -0.5 度で液化
 (0.1MPa≒約1気圧にて)
・圧縮の場合
 0.21 MPaで液化
 (気温15度にて)
※MPa≒メガパスカル
無色
臭い 炭化水素ガス特有の臭い
ガス比重 2.09
(空気 1 に対しての重さ)
モル質量 58.12 g/mol
融点 -138.3
沸点 -0.5

プロパンガスがご家庭に届くまで

各ご家庭で使用されるプロパンガスはどのように輸送・供給されるのでしょうか。国内で消費されるプロパンガスの75%は海外から輸入され、25%が国内で生産されています。

輸入から配送までの流れ
  1. 油田や天然ガス田で生産されたプロパンガスを冷却・液化し専用タンカーで輸入基地(1次基地)に輸送
  2. 国内で精製されたプロパンガスも冷却・液化し輸入基地(1次基地)に輸送
  3. 1次基地に貯蔵された冷却・液化ガスを常温に戻し加圧・液化状態でコースタルタンカー(内航船)によって2次基地に輸送
  4. 2次基地に貯蔵された高圧・液化ガスをタンクローリーに移し替えて全国充填所に輸送
  5. 充填所に貯蔵されている高圧・液化ガスをプロパンガスボンベに移し替えて各家庭や店舗へ配送

LPガスの規格

LPガスの規格は、JIS及び液化石油ガス法に基づき定められています。 家庭用や業務用として共有されているLPガスの規格は「い号液化石油ガス」です。プロパン含有率は95%以上になります。工業用ではブタンが主成分となる規格のLPガスが供給されます。
プロパンとプロピレン含有率 エタンとエチレンの含有率 ブタジエンの含有率
号液化石油ガス
家庭用・業務用
80%以上 5%以下 0.5%以下
号液化石油ガス
60%以上
80%未満
5%以下 0.5%以下
号液化石油ガス
60%未満 5%以下 0.5%以下

プロパンガスの用途

プロパンガスは家庭/業務用として使用される割合が最も多く、プロパンガス消費全体の44%に上ります。日本の全世帯の約半分である2450万世帯で利用されています。一般家庭での、給湯機、キッチンのガスコンロ、カセットコンロなど、また、飲食店の厨房やイベント、アウトドア、バーベキュウなででの屋外コンロでも使用されます。 単位:万トン
用途 割合 量:万トン
家庭/業務用 44.3% 6,297
工業用 20.7% 2,948
化学原料用 19.0% 2,698
自動車用 7.3% 1,045
都市ガス用 6.8% 964
電力用 1.2% 168
鉄鋼用 0.7% 109

家庭/業務用

一般家庭では主として、給湯機、キッチンのガスコンロ、ガスヒーター、カセットコンロなどで使用されます。アウトドアやバーベキュウなどでも屋外コンロの燃料としての用途も高まっています。飲食店やイベントなどでのお店の厨房でも多く利用されています。また、病院や学校、公共施設などでも幅広く利用され、最近では、空調(GHP:ガスヒートポンプ)として、オフィス、店舗、工場でも活躍しています。

工業用

製鉄、金属の加工、窯業などに利用されます。

化学原料用

化学繊維原料などに利用されます。

自動車用

主にタクシーの燃料として使用されます。CO2対策の低公害車としてトラックや貨物車などの大型車両で使用される場合があります。

都市ガス用

LNGに加え、熱量調整のためにプロパンガスが混合されることがあります。

電力用

火力発電所のバックアップ燃料として使用される場合があります。

プロパンガスの性質

液化

LPガスの成分である、プロパンやブタンは冷却や加圧によって容易に液化させることが出来ます。液化させると気体時の1/250の体積になるので、輸送や貯蔵などのコストを低く抑えられます。冷却して液化する温度は、常圧(1気圧)でプロパンが-42.09 ℃、ブタンが-0.5 ℃であり、加圧して液化する圧力は常温(15度)でプロパンが0.86 メガパスカル(約8.6気圧)、ブタンが0.21 メガパスカル(約2.1気圧)です。


特に、加圧の場合、低い圧力(圧力は 1MPa≒10気圧 以下で足りる)でも常温で液化させることが出来るので、LPガスは加圧によって液化され、プロパンガスボンベに格納されて供給されます。通常は自然気化させることで供給使用されますが、寒冷地ではベーパライザーなどの、蒸発器や気化器を使用する場合もあります。

​物質の三態

  • ​​固体から液体への変化 融解
  • ​​固体から気体への変化 昇華
  • ​液体から固体への変化 凝固
  • ​液体から気体への変化 蒸発・気化
  • 気体から固体への変化 凝固・昇華
  • ​気体から液体への変化 凝縮・液化・凝結・結露
プロパンとブタンの液化温度と液化圧力
加圧による液化
プロパン 0.86 メガパスカルで液化(常温時 約15度)
ブタン 0.21 メガパスカルで液化(常温時 約15度)
冷却による液化
プロパン -42.1 度で液化(常圧時 約1気圧)
ブタン -0.5 度で液化(常圧時 約1気圧)
液化による体積の変化
プロパン 気体 ← 減圧や加温で気化 250 倍 ← 液体
気体 → 加圧や冷却で液化 1/250 → 液体
ブタン 気体 ← 減圧や加温で気化 250 倍 ← 液体
気体 → 加圧や冷却で液化 1/250 → 液体

1気圧≒100kPa(ヘクトパスカル)≒0.1MPa(メガパスカル)となります。1気圧とは1cm²に約1kgの力が掛かっている状態です。

ボンベ内の状態

プロパンガスは、液体の状態でプロパンガスボンベの中に充填されています。ガス主成分であるプロパンやブタンは冷却、又は、低い圧力をかけることによって液化する性質があり、この性質を利用し、液化状態でボンベに液化ガスを充填します。加圧して液化する圧力は常温(15度)でプロパンが0.86MPa(メガパスカル)(約8.6気圧)、ブタンが0.21MPa(メガパスカル)(約2.1気圧)です。ボンベ内も液化状態を保つために一定の圧力がかかる仕組みになっています。ブタンやプロパンは、液化されると気体(ガス)状態の1/250の体積になり、保管や輸送が飛躍的に効率化されます。

ボンベ内上部には空きスペースがあり(充填はボンベ容量の85%までと定められています)、液体から気化したガスが滞留しています。プロパンガスボンベの中は液体と気体が共存している状態が保たれています。

蒸気圧

液体と気体が容器内で共存するには、一定の圧力が必要です。この圧力を蒸気圧と言います。プロパンガスボンベはこの蒸気圧を一定に保つ仕組みになっています。主成分のプロパンやブタンは温度によって蒸気圧が異なります。家庭用プロパンガスは約0.8MPa(メガパスカル)(約8気圧)程度が蒸気圧で、液体と気体の共存状態を保持します。


プロパンとブタンの温度と蒸気圧
プロパン
温度 蒸気圧
(0.1MPaで1気圧)
MPa=メガパスカル
0度 0.37 MPa
3.7気圧
10度 0.53 MPa
5.3気圧
20度 0.73 MPa
7.3気圧
30度 0.97 MPa
9.7気圧
40度 1.25 MPa
12.5気圧
ブタン
温度 蒸気圧
(0.1MPaで1気圧)
MPa=メガパスカル
0度 0.002 Mpa
0.02気圧
10度 0.05 MPa
0.5気圧
20度 0.11 MPa
1.1気圧
30度 0.18 MPa
1.8気圧
40度 0.28 MPa
2.8気圧
MEMO

1気圧≒100kPa(ヘクトパスカル)≒0.1MPa(メガパスカル)となります。1気圧とは1cm²に約1kgの力が掛かっている状態です。地上では、約1気圧です。

蒸発(気化)と 蒸発熱(気化熱)

ガスの供給が始まると、滞留している気体が抜け、蒸気圧が保たれていることで、液体がどんどん蒸発(気化)します。液体が気化するときには熱が必要になります。これを蒸発熱(気化熱)といい、プロパンの場合は、 425.6kJ/kg の蒸発熱(気化熱)となります。液体が蒸発すると蒸発熱によりボンベの回りから熱を奪うので、液体は温度が下がります。そのため、ボンベの回りが結露して水滴が付着します。

プロパンガスの熱量カロリー換算

1㎥(立法メートル)あたりの熱量をkcal換算

まずはプロパンガスの熱量をカロリー換算で確認してみましょう。一般家庭に供給される平均的な状態で換算してみます。一般的には1㎥(立法メートル)あたり、何kcalで表示されます。

プロパンガス
1㎥あたりのkcal
1㎥ ガス状(気体) 24,023 kcal
200 Lの風呂沸かす
15800 kcal
熱効率 8割
3.31 回分
を沸かす※

※全国平均水温13度で200Lの水を1度上昇させるのに200kcal必要です。42度まで沸かす場合と考えます。

1㎥あたり、約24,000kcalとなります。これはどのような数字なのでしょうか。まず、1㎥というと、縦100cm×横100cm×高さ100cm×の立方体です。家庭用で考えると、それなりに大きなサイズだと思います。1㎥単位を使用する場合、プロパンガスはガス状の気体時の場合に使用しています。24,023kcal は、例えば、200Lのお風呂を13度から42度まで上昇させる場合、3.31回程度沸かすことが出来る熱量です。(熱効率8割で2割ロスとする)

kg や L あたりをkcal換算

1㎥あたりで考える場合、プロパンガスは気体として考えますが、ボンベに充填されるプロパンガスは、液状となっております(液化させると体積が1/250に縮小するので便利)。ガスを液化して充填しているのです。ですので、プロパンガスのエネルギーをkcalなどに換算する場合、kg や L 単位を使用します。家庭用ガスボンベの充填量を表す規格が2kg~50kgなのもそのためです。また、プロパンガスは冷却や加圧によって容易に液化される性質があるのですが、温度や気圧によってもその条件が変化するので、平均的な温度15度と標準気圧1気圧(約0.1MPaメガパスカル)を基準に表します。そして、プロパンガスはプロパンというガスとブタンというガスを混合しており、一般家庭用に供給されるのは、プロパンが95%、ブタンが5%の混合ガスとなります。従って、プロパン95%・ブタン5%の場合の液体状態15度でのkgあたりのエネルギーを表します。最初に記載したの1㎥あたり24,023kcalもプロパン95%・ブタン5%の混合ガスとして考えています。

プロパン95%・ブタン5%の場合(液体状態15度)

1㎥・1L・1kgあたりの熱量をkcal・MJ・kW に換算します。

プロパンガス
プロパン95%・ブタン5%の場合(液体状態15度)
1㎥・1L・1kgあたりのkcal・MJ・kW 換算
1㎥ あたり
ガス(気体)
24023.350 kcal
100.514 MJ
27.921 kW
1L あたり
液体状態15度
6053.856 kcal
25.329 MJ
7.036 kW
1kg あたり
液体状態15度
11834.224 kcal
49.514 MJ
13.754 kW
1kWは何kcal?
1kW 860.4 kcal
1MJは何kcal?
1MJ 239.006 kcal

これが、家庭用や業務用で流通しているプロパンガスのエネルギー(熱量)です。

プロパンガス プロパン95%・ブタン5%の場合(液体状態15度)
単位 1kg
に対して
1L
に対して
1㎥
に対して
kg
液体15度
1
Kg
0.512
Kg
2.033
Kg
L
液体15度
1.957
L
1
L
3.969
L

ガス
0.495
0.253
1
kW
1kw=860.4kcal
13.754
kW
7.036
kW
27.921
kW
kcal
1kcal=0.0011kW
11834.224
kcal
6053.856
kcal
24023.350
kcal
MJ
1MJ=239.006kcal
49.514
MJ
25.329
MJ
100.514
MJ

プロパン100%の場合(液体状態15度)熱量

1㎥・1L・1kgあたりの熱量をkcal・MJ・kW に換算します。

プロパン100%(液体状態15度)
1㎥・1L・1kgあたりのkcal・MJ・kW 換算
1㎥ あたり
ガス(気体)
23673.00 kcal
99.048 MJ
27.514 kW
1L あたり
液体状態15度
6036.615 kcal
25.257 MJ
7.016 kW
1kg あたり
液体状態15度
11883.846 kcal
49.722 MJ
13.812 kW
1kWは何kcal?
1kW 860.4 kcal
1MJは何kcal?
1MJ 239.006 kcal

プロパン100%の場合(液体状態15度)1㎥・1L・1kgに対してそれぞれの重さ・容量・体積を比較します。

プロパン100%(液体状態15度)
単位 1kg
に対して
1L
に対して
1㎥
に対して
kg
液体15度
1
Kg
0.508
Kg
1.992
Kg
L
液体15度
1.970
L
1
L
3.924
L

ガス
0.502
0.255
1
kW
1kw=860.4kcal
13.812
kW
7.016
kW
27.514
kW
kcal
1kcal=0.0011kW
11883.846
kcal
6036.615
kcal
23673
kcal
MJ
1MJ=239.006kcal
49.722
MJ
25.257
MJ
99.048
MJ

ブタン100%の場合(液体状態15度)熱量

1㎥・1L・1kgあたりの熱量をkcal・MJ・kW に換算します。

ブタン100%(液体状態15度)
1㎥・1L・1kgあたりのkcal・MJ・kW 換算
1㎥ あたり
ガス(気体)
30680 kcal
128.365 MJ
35.658 kW
1L あたり
液体状態15度
6381.44 kcal
26.700 MJ
7.417 kW
1kg あたり
液体状態15度
10891.40 kcal
45.570 MJ
12.659 kW
1kWは何kcal?
1kW 860.4 kcal
1MJは何kcal?
1MJ 239.006 kcal

ブタン100%の場合(液体状態15度)の1㎥・1L・1kgに対してそれぞれの重さ・容量・体積を比較します。

ブタン100%(液体状態15度)
単位 1kg
に対して
1L
に対して
1㎥
に対して
kg
液体15度
1
Kg
0.585
Kg
2.817
Kg
L
液体15度
1.710
L
1
L
4.818
L

ガス
0.355
0.208
1
kW
1kw=860.4kcal
12.659
kW
7.417
kW
35.658
kW
kcal
1kcal=0.0011kW
10891.400
kcal
6381.440
kcal
30680.00
kcal
MJ
1MJ=239.006kcal
45.570
MJ
26.700
MJ
128.365
MJ

関連団体

名称 サイト
経済産業省 こちら
経済産業省
LPガスの安全
こちら
資源エネルギー庁
(石油流通・LPガス政策について)
こちら
北海道産業保安監督部
(石油液化ガス)
こちら
関東東北産業保安監督部東北支部
(産業保安)
こちら
関東東北産業保安監督部
(LPガスの安全)
こちら
中部近畿産業保安監督部
(ガス等の保安)
こちら
中部近畿産業保安監督部
北陸産業保安監督署
(ガスの保安)
こちら
中部近畿産業保安監督部近畿支部
(ガス・火薬類等の保安)
こちら
中国四国産業保安監督部
(産業保安・LPガス)
こちら
中国四国産業保安監督部四国支部
(ガス火薬等の保安)
こちら
九州産業保安監督部
(LPガスの保安)
こちら
那覇産業保安監督事務所
(ガス保安)
こちら

コメントを残す

CAPTCHA