原油価格の高騰が生活必需品の価格に影響する理由を解説!
いつも車に乗っている人なら、ガソリンを給油するたびに、リッター当たりの値段が何円か上がることを、怒りと同時にこれからどうなるのだろうと不安になっていることでしょう。
ガソリンの値段は上がることもあれば、下がることもあります。しかしながら高いから今回はガソリンを入れるのは止めよう、とはいきません。
一方、スーパーでいつも買う品物がいつもより高いと思っても、仕方なく買うことや、今回は買わないでおこうと買うことを控えることもあります。何で今回は高いのだろうと疑問に思いながらですが。 しかし、ガソリンもいつも買う品物も、その値段には、原油の価格が大きく影響しているのです。
このコラムでは、原油価格の高騰が、私たちの必要な生活物資の価格にも影響しているわけをご紹介します。
1.原油はどこで生産されているか
原油は何かを混ぜ合わせて作るものではありません。地下深い所に貯蔵されているものを、掘り出すことで、原油として世界中に行き渡ります。なお、原油だけではなく、LNGのような天然ガスも同じ場所に貯蔵されていますが、このコラムでは原油だけについてご説明します。
もともと原油はなぜ地下に埋まっているのかという話から始めましょう。
恐竜が地球を支配していた時代は、地球全体は大木で覆われていました。しかし、地球規模の地殻変動によって、動物はもちろん、大木も失われることになりましたが、大木の中には地中に埋没し腐って無くなってしまうのが避けられました。
その結果、長い年月の間にそれらは原油として埋蔵し油田を形成することになりました。もちろん大量に埋蔵された地球の場所は、ある地域に限られました。その地域こそが、原油の産油国です。
産油国では原油を油田からくみ上げて、日本のような一次エネルギーとして原油を必要とする国に供給し、その供給量によって輸出側・輸入側の協議の下で、原油の価格が決まります。
図1では、世界の主な産油国と産油国から供給される国の概要を紹介します。
図1で赤丸で表している原油生産国(地域)は、代表的な場所だけを表しています。産油国は全世界各地で大なり小なりの産油ができる国があり、自国で消費するケース、輸出をするケースなど複雑なルートが描かれています。なお、赤丸の大きさは、原油生産量の多さの順に大きくして表しています。その量は、図2で紹介しています。
また、金色で描いている線は、原油を産油国から消費国へ輸出する主なルートを表していますが、大きな輸出量のルートを主体としています。 日本への原油の輸入は中東諸国からの輸入がほとんどで、図2のルート図では主な原油生産国から消費国へのルートが描かれていますが、実際には、ルートとして描かれていないロシアや中南米からの原油も入ってきたり、少量の原油の流れも含めると、ルートはもっと複雑です。
そういう点では、産油国から、輸出量が少なくとも、全世界の各地域へ輸出されていると考えて良いでしょう。
2.原油生産地域の生産量とは
前章の図1では原油の産油国を紹介しましたが、図2では、それぞれの産油国の生産量はどれだけかについて、ご紹介します。
*図2グラフのデータは、「経済産業省資源エネルギー庁 エネルギー白書2021」を参照としています。
2019年の段階では、産油の1位が中東地域(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イラン、イラクなど)、第2位が北米でアメリカとカナダが主な産油国です。第3位がロシアですが、産油単独の国としてはロシアは1位か2位に位置付けられます。その他では、中南米、アフリカ、アジアが数%を産油しています。
以前には、生産量では米国がシェールオイルの生産が多く、生産量が世界第一位でしたが、シェールオイル生産に環境問題があって、現在は生産を少なくしています。そのため、カナダ(カナダはオイルサンド原油)を合わせた原油生産量が北米として第二位になっています。
第1位は昔から中東地域で、産油国が連合してOPEC(サウジアラビア・UAE・イラン・イラク・クェートなどの中東産油国)という組織を形成し、生産量の調整、今月は原油の生産量をいくらまで増やすか減らすかなどの協議・調整を行っています。
多く生産して売ればそれだけ儲かるわけですが、生産過剰となって1バーレル当たりの価格が下がって、それほど儲けにはならないという構図があり、世界の原油生産量と株価などの証券取引市場の原油を必要とするかどうかで証券が動くこともあって、原油生産を調整するというわけです。
また、ロシアも産油国として世界第3位の生産量を誇っていますが、主な供給先はヨーロッパで、パイプラインをロシアとヨーロッパ各国を結んで、陸上での輸出がメインとなります。したがって、ヨーロッパのエネルギーはロシアに依存する形となり、政策面でロシアの意向に逆らえない構図が浮き彫りとなります。
3.原油が高騰するわけとは
原油が高騰したり、低下したりすることがしばしば起こります。それは何によって起こるのでしょうか。
ここでは、2つの例をもとにご紹介します。
(1) コロナ感染症の影響
1,2章と世界の原油事情を見てきましたが、2022年2月の段階で原油が高騰を続けています。その原因の1つがコロナ感染症の流行です。コロナと原油とは直接的な関係はありません。原油からコロナの薬が作られるわけではありませんから。 では、なぜそうなるのかについて、紹介しましょう。
図3は、2020年から2021年にかけての原油価格の推移のグラフです。
*図3グラフのデータは、「経済産業省資源エネルギー庁 エネルギー白書2021」を参照としています。
2020年に世界的にコロナ感染症が急速に蔓延し出し、ものを作る人・売る人などに感染症が広がり出すと同時に、外出禁止や移動制限が各国で行われました。そのため、世界的に経済が低下し先行きが見通せない状況となり、原油の購買も低迷しました。
結果、原油価格が急低下しました。
原油価格の急落からOPEC各国で協議を行い、原油を減産することを決め、原油価格の急低下を回復させようとし、原油価格は何とか維持でき、経済活動が少しづつ回復始めると、原油価格も少しづつ回復・維持できてきました。
その後、ワクチンができたり感染症患者が減ってくると、外出禁止や移動制限も緩和され、モノの生産も戻ってくるようになり、原油の調達が必須となり需要が増えることになりました。経済の原則から需要が増えると、その需要品の価格はさらに上昇続けるようになり、コロナからの急速な経済回復が、全世界的に見込まれることから、市場が回復を取り戻し、原油の高騰へと繋がっているわけです。
経済回復がある程度安定してくると、原油の高騰も収まるのではないでしょうか。
1つの懸念には、コロナの新たな株の発生で、経済が落ち込んでくるという予想も経てることができ、再び、原油の急落が無いとは言い切れません。
ここではコロナの話から、原油の高騰という話になりましたが、コロナは1つの例に過ぎず、何らかの原因で、経済が落ち込んだり、急回復することで取引市場が動き、原油価格の急低下や急高騰が起こると言えます。
(2) ロシアとウクライナの戦争との関係
2022年2月にロシアとウクライナの戦争状態が始まり、原油価格の高騰につながっています。ロシアとウクライナの戦争をいずれ自国に戦火が及ぶと考え、ヨーロッパが一斉に非難しています。そのため、ロシアが原油の供給を一方的に停止することが懸念され、世界的な原油不足によって生産や物流が停止するのではと証券取引市場が予測し、原油価格の高騰へと繋がっています。
さらに、経済制裁の一環として、原油をロシアから輸入しないというヨーロッパ全体の意思が検討され、実現すれば世界の4%の原油生産が失われることになり、中東だけで不足分を量産することが難しく、世界的な原油の不足が懸念されています。2022年3月初期の段階では、1バーレル当たり150~160ドルという原油の高騰となって世界経済市場を混乱に陥れています。
1バーレル当たり150ドルとは、図3の原油価格と比較すれば分かりますが、おおよそ2倍近くの高騰です。
対策として、OPECによる増産やアメリカがシェールオイルによる原油増産を決めれば、価格は落ち着く可能性が有りますが、高額な設備費用を要することや、産油各国の思わくもあり、様子見状態になっています。ただ、証券取引市場だけが悪い方への予測を立てて、原油価格の高騰を招いています。
このように、1国の戦争が証券取引市場を混乱させ、原油価格高騰へと繋がっていきます。これは、ロシアとウクライナの紛争に限らず、中東で起こった場合でも原油高騰は起こり得ます。
(3)原油価格を高騰させる要因とは
これまで2つの例でご紹介してきましたが、原油価格を高騰させる要因は、世界的に何かが起こったときに、今後の経済状況の予測による証券取引市場混乱と、株価暴落あるいは高騰の予想によって証券取引市場が大きく動いてしまうことです。
原油の価格と証券市場は微妙なバランスで動いているため、分析に手慣れたアナリストでも予測困難事態のケースも起こり、生産の停止や取引停止などが予想されると、 原油価格高騰といった事態が発生する場合があります。
4.原油価格高騰による私たち生活者への影響とは?
(1) 原油から作られるものとは
原油価格の高騰の要因をご紹介してきましたが、原油価格が上がると、私たちが受ける影響には何があるのでしょうか。毎日乗る車のガソリン代が高くなることだけでしょうか。車に乗っていない人には影響がないのでしょうか。
原油はそのままでは使うことができません。図4では、原油からどのような石油製品が作られるかを紹介しましょう。
そのうえで、それらの石油製品はどのように使われ、私たちの生活にどう影響するかを簡単にご紹介します。
原油は軽い油から重い油が混合した油です。これらの油を分ける方法が蒸留という方法で、常圧蒸留装置を使って分離精製します。
原油から蒸留した後ブレンド品も含めてできる石油製品は、LPガス、ナフサ、ガソリン、灯油、ジェット燃料、軽油、重油、潤滑油、アスファルトです。
例えば、ナフサ成分は、常圧蒸留装置から分留してナフサ水素化脱硫装置に導入されます。このナフサ水素化脱硫装置で行うことは、ナフサに含まれる硫黄を取り除くことと、ナフサのスペックをJISなどで決められたスペックに合うように、調整を加えることです。
原油には硫黄のような不純物が含まれるため、このまま製品中に硫黄を含むと金属を腐食させるなどの不具合があるため、どの成分でも脱硫工程が必須の工程です。
図4には記載していませんが、硫黄もまた製品として出荷されます。また、ナフサ水素化脱硫装置では水素を加えて処理しなければならないため、水素製造装置が必要で、その装置で水素を作り出します。水素製造装置の原料はナフサです。
このようにして、原油から分離される各石油製品は、不純な硫黄が取り除かれ、JISに決められたスペックに合うように調整されます。
石油製品がどのように使われるかについて、簡単にご紹介しましょう。ただ、ここで紹介する使い方は一例で、他の使い方も多くありますが、いずれにせよ娯楽製品や生産用機械・器具も含め、私たちの生活に間接的・直接的に欠かせないものばかりです。
- LPガス
プロパンガスです。LPガスは原油埋蔵と連動し蓄えられていて輸入されますが、その量に比べると、わずかといって良い程度です。 - ナフサ
主に石油化学製品としての原材料になります。 - ガソリン
自動車やガソリンエンジン機械に欠かせない燃料です。 - 灯油
灯油ストーブ暖房機や湯沸器の燃料に使われます。 - ジェット燃料
航空機の燃料に使われます。 - 軽油
普通自動車を含めた大型車両や建設機械の燃料に使われます。 - 重油
発電所のボイラー燃料となります。電気料金に直結します。 - 潤滑油
工作機械などの機械類に欠かせない油です。 - アスファルト
主に道路建設に使用されます。
(2) 原油が高騰すると生活物資の価格が上がるわけ
原油価格の高騰によって、石油製品価格が上昇します。
その結果、私たちの生活に直結する影響について、一例としてご紹介します。
- LPガス
原油価格とLNGやLPGの輸入価格も連動するため、石油製品として出されるLPガスと同様に価格が上がり、ガス料金が上がる要因となります。 - ナフサ
私たちの身の回りの製品の多くが、プラスチックを代表とする化学製品でできています。もちろん半導体を作る基板など、製品を生み出す基礎的な化学製品が主体で、それらが手に入りにくくなると、私たちに必要な生活用品の品不足や、価格上昇へつながります。 - ガソリン
日常的に車を使う人にとっては、大きな痛手です。かつてリッター当たり130円代のものが、2022年3月の時点では170円代となり、政府が価格の補填に回る事態に至り、異常とも言えます。 - 灯油
冬場であれば、暖房費の高騰、湯沸し費用の高騰になります。 - ジェット燃料
飛行機の燃料なので、あまり飛行機を利用しない人には影響はありませんが、たまに飛行機を利用して国内・海外へ旅行を計画する人にとっては、旅費の値上げが痛い所でしょう。 - 軽油
自動車やトラック、大型車両の燃料のため、軽油の価格が上がると、直接車両を運転していなくとも、輸送コストに影響が出て、結果的に生活用品への値上がりへと繋がります。工場で多くの部品を調達して組み立てる場合でも、輸送コストが高くなることで、生活用品への値上がりが懸念されます。生活用品には食料品価格も含まれます。また、バスなどで旅行するときに、旅行費用がかさむ要因になるでしょう。 - 重油
CO2削減のため減ったとはいえ、日本の発電は重油やナフサでボイラーを稼働させる型式がまだ多いため、電力料金の価格値上がりへと跳ね返ってきます。電化製品での生活パターンがほとんどの家庭生活のため、電気料金の値上げは家計高騰に直結します。 - 潤滑油
潤滑油は一般の消費者が購入して使うことはありませんが、車や製造機械、大型作業車、工場の製造ラインなどには必要不可欠のもので、間接的に消費者に届けられる日常品の価格に影響すると思われます。 - アスファルト
アスファルトを一般の人が直接使うことはありませんが、道路工事や家の建設で使う場合には工程が遅れるなど影響が出る可能性が有ります。
(3) 対処方法はあるの?
以上まで原油から作られる石油製品の価格が上がる要因を紹介してきましたが、原油価格が上がることで、私たちに必要な生活用品のほとんどのものが、影響を受けることが分かりました。
しかし、原油価格の高騰を抑えることは普通の人には対応はできません。せいぜい、節約して無駄な出費を避け、原油価格が落ち着くまで待つしかないでしょう。
ただ、世界の状況を見ていると、どこかで紛争が起きたときに、いずれ原油価格に影響を及ぼすと考えることができ、節約なりで余計な出費を抑える準備は可能でしょう。
まとめ
このコラムでは原油が高騰する理由について、例を2つ挙げて紹介してきました。
原油価格高騰の本質は、世界的な証券取引市場を揺るがす事件が起きたときに、証券市場が利益を確保するため、売り・買いの挙動が激しく動きます。
その結果として、原油がさらに必要か、もう必要ないという予想が立てられ、原油価格の高騰・暴落といったことが起こります。証券市場価格と原油価格は世界的に微妙なバランスでつながっているため、原油価格の変動が起こります。
以上のような経済証券取引市場という難しい世界の中で、原油の高騰に対抗する手段を持たない私たち一般の消費者は、経済が落ち着くまで我慢して、使うべきお金は使っても、我慢できることは無駄遣いしないようにして、上手に生活していくことがベストではないでしょうか。
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