ガス給湯器に限りませんが、電化製品などには寿命期というものがあります。
寿命というと、壊れてもう修理不可能という状態を思い浮かべます。
しかし、ガス給湯器の寿命とは、壊れて修理できない状況というだけではなく、壊れた部品の代替品が市場になく手に入らず、今使っている給湯器を動かすことをあきらめざる負えない、ということもガス給湯器の寿命と言えます。
このコラムでは、ガス給湯器の寿命とは何かを提示し、寿命を延ばすためにどのようなことに注意して、ガス給湯器を使っていくかについてご紹介します。
1.ガス給湯器の寿命とは
(1)電力料金の推移
物には寿命があります。寿命と同じ意味で、耐用年数という言葉があります。どちらも同じ意味として、給湯器の寿命(耐用年数)は○○年、という書き方が多く見られます。 このコラムでは、耐用年数と寿命は以下で示すように、別の意味と定義して紹介します。
ガス給湯器の耐用年数は、給湯器を設置してから時間の経過とともに部品取替えが必要になり、いずれ取替部品がなくなる時期までを、耐用年数とします。
一方、ガス給湯器の寿命は、給湯器で使われている部品がなくなって動作しなくなり、部品の取り換えが出来ないまま給湯器として機能しなくなった時期を、寿命とします。 例えば、部品の劣化が多くなり、毎週のように部品交換を行う状態が続き、メンテナンス費用と取替費用を比べた時、取り換えた方がメリットが大きいと判断された時期もまた、寿命とします。
エコジョーズのようなガス給湯器は図1に示すような構成で使われているのではないでしょうか。
ガス給湯器がお湯を沸かすという機能を果たすためには、図1のような構成の部位からなっています。すなわち、給湯器本体(リモコン含む)、各種の配管類、電線類などからなっていて、どの構成要素も寿命を持っています。 配管や電線は寿命があると言っても、工事がきちんとされていれば20年近くの寿命があることと、いつでも代替と取替えられる部品であるため、ガス給湯器の寿命品は、給湯器本体と言って良いでしょう。
2.ガス給湯器(エコジョーズ)の仕組みと寿命
ガス給湯器の寿命を考える上で、給湯器の構造から寿命について考えてみましょう。 図2では、ガス給湯器エコジョーズのイメージ図を紹介します。
エコジョーズの機能を簡単にご紹介します。
- 空気とガスが混合されてバーナーに点火されます。
- 水が導入されて初めに二次熱交換器で予熱されます。
- その後に、一次熱交換器で温められて、給湯されます。
- エコジョーズからは水蒸気が結露した結露水が、ドレンとして排水されますが、高い酸性水のため中和する中和器を通して排水されます。
- このような構造から、エコジョーズの効率は95%を達成しています。
図2ではエコジョーズの機能の紹介をしましたが、これらの機能を達成するために色々なセンサーや制御弁が付いていて、これらを制御基板などで高効率が守れるように作動させ、また不完全燃焼や異常高温とならないような安全回路が設置されています。
このようにガス給湯器には多くの部品が設置され、どの部品が欠けても給湯器の機能を発揮できないことが分かります。 ガス給湯器の寿命は、これらの部品ごとの寿命と同じということが分かります。
3.寿命の考え方
(1)ガス給湯器部品の寿命
ガス給湯器の部品の寿命は?と考えると次のようになったときが寿命です。
- 初めに部品が摩耗などにより、作動しなくなったとき。
- 次に、その部品を取り換えようとしても、メンテナンス用に保管されていた部品の保管期限が過ぎて破棄され、取替ができなくなったとき。
ただし、ガス給湯器に使われている部品のいくつかは、新しい給湯器でも使われている可能性もあるため、必ずしも部品の寿命が給湯器の寿命とは考えなくても良いでしょう。 しかし、制御基板のようなメインの部品となると代替はほぼできないと思われ、メイン部品の寿命イコール給湯器の寿命と考えて良いでしょう。
では、給湯器に使われる部品は、メンテナンス用にいつまで保管されるのでしょうか? メーカーでは、補修用部品保管の期限は、製品が製造中止となった時から10年間は部品を保管する義務が法的に課せられます。 その為、給湯器の寿命などは考えずに、今使っている給湯器が製造中止となったとき、あるいは購入時の給湯器の製造中止年月から、10年後に取り替える計画を立てて給湯器を使っていれば、故障したけど部品がない、などといった心配をせずに給湯器を使うことができます。
しかし、壊れるかどうかわからない部品の保管状態で給湯器を取り換えるよりも、普段から注意深く給湯器をメンテナンスしておけば、10年以上、場合によっては20年近く使える可能性が有ります。 どのように給湯器を長持ちさせて使えるか、考えてみましょう。
(2)給湯器の寿命延長
図3は、製造品の製造から、寿命となって廃棄されるまでの年月と故障率の関係を表したバスタブ曲線というグラフです。
図3の上側に書いてある図が、通常のバスタブ曲線で、簡単にご紹介します。
- a.製品が製造された当初には初期の故障が出ます。
- b.1年経つと、偶発的な故障があっても、ほぼ故障のない状態に移行します。
- c.10年経過すると、製品の摩耗部分が大きくなり始め、故障が少しずつ増えてきます。
- d.故障個所が次第に増えていき、故障率が増加していきます。
- e.故障の対応(取替部品がないなど)ができずに、このときが給湯器の寿命期です。
図3の下側に書いてある図は、寿命期を伸ばそうとするイメージ図です。 製品が製造された当初には初期の故障が出ます。 1年経つと、偶発的な故障があっても、ほぼ故障のない状態に移行します。 5年目に給湯器の検査をして、不具合があれば補修します。
- 給湯器の外部・内部を点検し、腐蝕などないことを確認します。
- もし腐蝕の跡が見られた場合は、給湯器内部の部品に異常がないか確認します。
- 同時に、これまでエラーが表示されたかも確認し、もしエラーが出ていれば、関係する内部部品に異常がないか確認・対処します。
10年目に再度給湯器の検査を、5年目検査と同様に行います。 10年目までにエラーが起きたときはエラーの要因を調べ、関連する部品の異常があれば交換するなどの対応をします。 検査と異常があれば対応することで、10年目に起きる摩耗故障期を12年目に延長させることが可能です。 摩耗故障期から寿命期に至るまでの故障率を緩やかにする事ができます。 制御基板の劣化など主要な部品が使えなくなることが無ければ、寿命期を20年まで伸ばすことができます。 寿命期に至らなくとも、主要な部品に故障が出て取替できなければ、そこが寿命期です。
(3)給湯器の寿命についてのまとめ
図3は、製造品の製造から、寿命となって廃棄されるまでの年月と故障率の関係を表したバスタブ曲線というグラフです。
- 寿命期が10年と20年の差があります。
- 寿命期までのメンテナンス費用や部品の取替など、コストが増えます。
- エラーが起きたときに、徹底的な原因追及などで手間とコストが掛かかる可能性が有ります。
- 10年を寿命期と考えて給湯器を取り換える場合と、なるべく寿命期を伸ばして給湯器を使い続けようとするパターンがあります。
- 図3には給湯器の耐用年数または寿命が10年という前提で話を進めてきましたが、これは給湯器を1日2時間から3時間、数回のON/OFFを繰り返すという標準の使い方で、寿命予測をしています。
しかし、これと違う使い方、例えば、ほぼ毎日24時間近く使うという使い方もあるはずです。そのような場合は、給湯器の寿命は10年という期間より短くなることが容易に予想できます。 - 交換する部品は10年保管されるため、10年間は今の給湯器を使うことは可能ですが、10年のうちに何回かの部品交換が必要なことが想定され、そのメンテナンスコストよりも、例えば5年経ったら給湯器を取り換えるという、生活設計をした方がリーズナブルかもしれません。
4.石油給湯器(エコフィール)の仕組みと寿命
これまでは、ガス給湯器(エコジョーズ)をもとに、給湯器の寿命について紹介してきました。他のタイプの給湯器では、寿命はどう考えるべきでしょうか。
ここでは、石油給湯器エコフィールと、ハイブリッド給湯器エコワンについてご紹介します。
図4で紹介する給湯器は、石油給湯器で、効率をエコジョーズと同じ95%を達成したエコフィールです。
図4から、外形上はエコジョーズと変わらないもので、エコジョーズと言われてもそう信じる人も多そうです。エコジョーズとの大きな違いは、エコフィールは灯油を燃焼させて給湯する給湯器です。
エコフィールも2段階で水をお湯に変える方法を取っていて、部品の点数ではエコジョーズの方が多そうですが、部品の役割や重要性はほとんど変わらないでしょう。
したがって寿命の考え方も、ほぼガス給湯器で紹介したことと、同じと考えて良いでしょう。
ただ1点エコジョーズと大きく違う点は、燃料が違うことで、エコフィールは灯油タンクを必要とします。灯油タンクも寿命はありますが、代替のタンクはいつでも手に入りますので、エコフィールの寿命部品としなくても良いでしょう。
しかし、灯油が切れたり、灯油が漏れたりすると、火災の危険がある上に、給湯器が動かなくなりますから、常に注意する必要があります。
灯油切れが起こると、エコフィールはエラーを出しますが、エラーを見て、灯油が無いことに気付いても、夜になると灯油配達してくれるところは少ないため、お湯が沸かせないという状況が起こります。
対応としては、予備の灯油をポリタンクで置いておくのも良いのですが、保管場所に気配りする必要がります。大体何日で灯油タンクが空になるかをチェックしておき、空になりそうな前に補充する方法が良いでしょう。タンクにセンサーを付けて、エコフィールに表示させる方法もありますが、改造を要してコストアップになりますので、目で見る管理が良い方法です。
5.ハイブリッド給湯器(エコワン)の仕組みと寿命
図5では、ハイブリッド給湯器エコワンのイメージを紹介しています。
エコワンは、電気給湯器エコキュートとガス給湯器エコジョーズを組合せた給湯器です。 電気給湯器部分は、ヒートポンプと貯湯タンクから構成され、エコキュートの高い効率はそのまま引き継がれています。
電気給湯器ではヒートポンプに水を導入してお湯として、貯湯タンクに保存します。 エコキュートでは大きな貯湯タンクが必要なため、保管中の熱が逃げやすいという欠点がありました。 エコワンではタンクの容量を小さくして逃げる熱量を少なくしています。 その代わり、お湯の量が少なくさらにお湯が必要なときに、すぐに対応できない不便さがありました。それを改善したのが次のメリットです。
ガス給湯器エコジョーズとの併用で、急にお湯が必要になったときは、エコジョーズですぐに必要分のお湯が作れるというメリット。
エコワンの寿命を考えるとき、部品点数では明らかに増えています。なぜなら、エコジョーズの部品に加え、エコキュートの部品が加わるからです。 10年の部品確保という点では、製造中のエコワンを設置すれば同じですが、製造中止品を購入して設置した場合は、部品確保は10年以下となります。その場合、部品点数が多い分だけ、エコジョーズやエコフィールに比べると不利と言えます。
また、エコワンは一つの給湯品ですが、エコジョーズとエコキュートは製造年月日が異なる場合があります。例えば、エコジョーズが3年前に製造された製品としてエコキュートと組み合わされ、エコワンとして販売されれば、寿命が7年となる可能性があります。 もちろん、メーカーはエコワンとして販売するわけですから、エコジョーズ、エコキュートの製造日に関係なく、メーカーの責任として10年間は補修品を確保するのが責務になります。これは購入の際に、購入先と補修部品の確保について確認すべき項目でしょう。
6.ガス給湯器の寿命を延ばすために
給湯器の寿命を延ばすためには、まずは給湯器の状態がどのようになっているかを確認することです。といっても、毎日、ガス給湯器を見て回るということではありません。
(1) エラーが起きたときの対応
給湯器の劣化状態を知るためには、エラーが起きた時の内容、音、温度、給湯器の外観状態などを常にチェックすることです。 例として、エラーが起きたときの対応を紹介します。
エラーが起こると、表1のような、エラーコードが操作器のディスプレイに表示されます。
表1 エラーコードとエラー内容の例
エラー | エラー内容 | 対処 |
2 | 初めてふろ自動するとき、 浴槽に試運転時の水などが残っていた |
ユーザーが一時対応 |
11 | 連続60分以上給湯した | |
12 | 連続90分以上追いだきした | |
32 | 浴槽の排水栓の閉め忘れ | |
111 | 給湯側の点火エラー | |
112 | ふろ側の点火エラー | |
161 | お湯の温度が設定温度より異常に上がりすぎた | |
290 | ドレン配管の異物詰まりや凍結により、 機器内に発 生した凝縮水が排出できなくなっている |
|
562 | 断水などで水が通っていない | |
632 | おふろの追いだきのとき、浴槽のお湯(水)が足りない | |
900-902 | 燃焼に異常が生じた | |
101-102 | 給排気に異常が生じ、安全のために能力を低下させている | メーカーへ点検依頼 |
502 | UVランプが切れている | |
512 | UVランプの寿命が近づいている | |
920 | 中和器の寿命のため交換が必要 | |
991-992 | 燃焼に異常が生じた |
エラーの内容には大きく分けて2つあります。
1つは、給湯器を使う人がエラー内容を確認し、取扱説明書にどのようにするか書いてありますので、その通りに操作します。
操作後、エラーが消えても再度エラーが起きても、ガス会社に連絡して対応を聞くことが大切です。
もう1つのエラーでは、重大なエラー(火災や一酸化中毒など)である可能性が有るため、使う人は何もせずに、直ちにガス会社に連絡して対応してもらいましょう。
(2) 定期的な検査
3章で紹介した寿命を延ばすために専門のガス会社かメーカーさんに定期的に検査を依頼し、プロの目で見た給湯器の状態を把握することです。
(3) たまには給湯器の周りの確認
給湯器や接続されている配管の状態を見ることで、給湯器に異常が起こりつつあるかどうかをチェックできます。
給湯器に雨水や腐蝕性のガスが入ってきている兆候があると、給湯器外面に錆や塗装の浮きなど、設置時の新しい状態と異なる様子が現れます。
腐食性のガスや雨水による腐蝕が現れた場合、ほとんどは外面の状態が変色しただけで済みますが、給湯器の蓋と本体の接続の密閉性が何らかの原因、例えば初期のわずかな緩みで年月が経って密閉性がなくなるまでになった時は、腐蝕性ガスや水が内部に入り込んで部品を腐食させ、著しく寿命を縮めます。
腐蝕性ガスが近くにあることは少ないのですが、例えば、周辺の工場から時々腐蝕性ガスが風に乗って給湯器周りに一時的に滞留することも考えられます。 もし、給湯器の外側にサビが浮いているような状態で心配であれば、給湯器の蓋を開けて内部を見ることをガス会社に依頼検査してもらい、どのような状況かを判断してもらえば良いでしょう。
まとめ
今回は、ガス給湯器の寿命について、寿命の考え方と寿命を延ばすためのガス給湯器の扱い方についてご紹介してきました。 ガス給湯器を新品に取り換えるには、約20~30万円必要になるでしょう。 しかし、買換えという点ではガス給湯器に限ったことではなく、他の家庭の電化製品にも言えることです。
給湯器を始めて設置してから10年以上経てば、給湯器の機能や性能も変わっていて、新しい機能を使いたいという希望があれば、10年で交換部品がなくなるから、いずれ交換するなら早いうちに交換しようという考えも、正しい選択です。
一方、お湯を沸かして、お風呂や炊事ができれば、余計な出費は避けて今ある給湯器を使い続けた方が良いという考えも、正しい選択です。
どちらの選択をするかは、ガス給湯器に限らず、他の電化製品でも同じ考え方をお持ちのはずで、その家庭のライフプランから来るものではないでしょうか。
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