ガスと電気の併用~コスト比較・メリット・デメリット

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給湯器やコンロはガスや石油で使うものから、電気で使うものが登場し、いろいろなエネルギー源からの給湯器やコンロを選べる時代いへと変わってきています。特に電気は、オール電化で何でも電気でまかなえる家庭も増えてきています。
ガスでお湯を沸かす給湯器も、かつて80%ほどの効率でしたが、エコジョーズというガス給湯器は、95%まで効率を上げて、家計を助けています。

しかし、効率が3.0~4.0という高効率の給湯器が発売され、それがエコキュートです。ヒートポンプと大容量タンクを備え、電気代の安い夜中に使うだけのお湯を作ってしまうという給湯器で、光熱費が安くなることは容易に想像できます。

このコラムでは、ガス給湯器とガスコンロ、電気給湯器とIHクッキングシートのうち、どのような組合せが最も光熱費が安くなるかについて、ご紹介します。

エネファーム・エコワン・ エコフィール【省エネガス給湯器比較】

1.ガス機器と電気機器の併用

これから扱うガス機器と電気機器の併用では、給湯器とコンロの2種についてご紹介します。
前提として、機器がそろそろ寿命に近づいてきたので、取替をしたいが、光熱費が今までより少しでも安くなるようにしたいと考えている、とします。

(1)  ガス機器と電気機器の併用のパターン

図1で紹介することは、ガスと電気の給湯器とコンロの組合せです。

ガスと電気を併用しようとしたときのパターンには、次のA)からD)までの4つのパターンが考えられます。
ただし、C)のようにオール電化から、都市ガスに変えることは、ガス管を引いてくる必要があり、間近にガスの本管があるような場合以外は、大体、本管から宅地の引き込むまで数十万、場合によっては100万円近く掛かる可能性があります。
一方、光熱費は高くなっても安くガス機器を使いたいと考えるなら、プロパンガス設備を設置する方式もあります。

  • A)エコキュート+ガスコンロ
  • B)エコジョーズ+IHクッキングヒーター
  • C)エコキュート+IHクッキングヒーター
  • D)エコジョーズ+ガスコンロ

現在の給湯器とコンロの組み合わせが図1の何れかのパターンになりますが、買い替えなどで、電気とガスの給湯器とコンロの併用やオール電化も考えるとします。

そのような場合、以下でご紹介する、電気とガスの給湯器とコンロのランニングコスト、機器の価格、設置費用、さらにメリット・デメリットを良く検討して選択することで、光熱費を今まで以上に安くできる可能性があります。

2.給湯器を併用したときのコスト比較

(1) 給湯器のコスト比較

表1は、家族構成と、家族が使うお湯の量を表した表です。エコキュートを元にした調査のため、タンクの記載もあります。

表1 家族構成と、家族が使うお湯の量

家族数
/ タンク容量
(80~90°)
使用目安量 合計量
/使用可能量
お風呂
(42℃)
シャワー
(42℃)
80L/1人
洗面・
台所
(42℃)
5~7人
/ 550L
1回 200L 7回 560L 280L 1040L
/1000L
4~5人
/450L
1回 200L 5回 400L 200L 800L
/850L
3~4人
/370L
1回 200L 4回 320L 160L 680L
/750L
2~3人
/200L
1回 200L 3回 240L 120L 560L
/650L
1~2人
/150L
1回 200L 2回 160L 80L 440L
/410L

*三菱電機の調査を参考としています。
(https://www.mitsubishielectric.co.jp/home/ecocute/introduction/select.html)

家族が増えるにしたがって、お湯の量、つまり給湯器のサイズを大きくする必要があるということです。
ただ、家族が2倍になったからと言って、給湯器も2倍になるわけではありませんが、使うお湯の量が増える分だけエネルギー量が増えるため、電気代やガス代の光熱費が増えます。

(2)  エコキュートと、エコジョーズの電気代・ガス代

表2は、電気とガスの給湯器、エコキュートと、エコジョーズが、表1の2~3人家族を想定して、電気代やガス代がどれほど掛かるかを試算した表です。

表2 エコキュートとエコジョーズの比較

項目 エコキュート エコジョーズ(プロパンガス) エコジョーズ(都市ガス)
1ヶ月平均料金 2,349円+1,144円(基本料金40A)=
3,201円
(東京電力スマートプランで、AM1時からAM6時まで17.8円/kwhのプランの場合)
5,507円+1,719円(基本料金)=
7,227円
(基本料金1,719円 単価528円/1m3とします)
3,184円+ 759円(基本料金) =
3,942円
(基本料金759円 単価123.5円/1m3とします)
条件 17℃の水を42℃のお湯として給湯します。3人家族で、給湯560リットル使用とします。
年間料金 38,412円 86,72円 47,304円
本体価格 70~90万円 10~30万円 10~30万円
設置費用 25~45万円 4~6万円 4~6万円
耐用年数 10~15年 10~15年 10~15年
お湯の沸かし方 夜間に安い電気代でタンクにお湯をためます。
昼間追加でお湯が必要なときは高い電気料金でお湯をつくることになります。
昼間は25.8円/kwhです。
瞬間的に水が加熱され、いつでも必要量なお湯が使えます。 瞬間的に水が加熱され、いつでも必要量なお湯が使えます。
設置場所 貯湯タンクと人ポンプの設置場所が必要です。 壁掛け型など大きな場所は不要です。 壁掛け型など大きな場所は不要です。

表2から、基本料金を含めると、「エコキュート<エコジョーズ(都市ガス)<エコジョーズ(プロパンガス)」の順で、光熱費が高くなっているということが分かります。

しかし、エコジョーズが旧くなったので、給湯器を変えようと検討した時、光熱費が安いエコキュートへの交換を考えるのは、チョット待ってください。
エコキュートは確かに、エコジョーズより光熱費は安いのですが、給湯器の価格と設置する費用を見ると、3倍、60万円ほどの差があります。光熱費の年間の差は、4200円程度ですので、10年でも4万円ほどの差です。

価格だけを見れば、エコジョーズを使っていれば、エコジョーズへの交換で、大きなコストを掛けずにすむでしょう。
ただし、買い替えを契機に、オール電化を目指すのであれば、選択肢はエコキュートでしょう。

(3) 家族数が増えたときのエコキュートのデメリット

家族数が増えたときには、使うお湯の量が変わりますので、お湯の量が1.2倍増えれば、単純に給湯器の光熱費は、エコキュートとエコジョーズの差額は、1.2倍と計算できます。
表2の差額では、835円の差額が、1,002円と広がります。
もし、家族が7人と増えれば、お湯の差は2倍近くなりますので、差額も1700円まで広がり、1年を通して見れば、20,000ほどの差になります。

家族の構成が何らかの事情で、3人から4人に変わったとき、560Lから680Lにお湯の量が、120L増えます。1L当たりの電気量は0.23kWhですので、120Lでは1ヶ月当たり28.3kWh増えます。
増えた量は、夜間のタンク量では賄えないとすれば、電気代の高い昼間に沸かすことになります。

28.3kWh×25.8円=730円が1ヶ月当たり増えます。
エコキュートのタンク量で間に合えば、28.3Wh×17.5円=495円で済み、1ヶ月約234円余計に出費することになります。

3.ガスコンロを併用したときのコスト比較

(1) ガスコンロコスト比較(電気とガス)

コンロ消費量を以下の計算で推定します。
台所用コンロ消費量(ガス)[MJ/年] = 1429 + 472 *(世帯人数)[人]
(引用:環境省調査より http://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg/chosa17youto.pdf)

世帯数を3人とすると、
コンロガス消費量(年間)=790kWh=63.2m3(都市ガス)=27.4m3(プロパン)
IHに加わる電気量は、それぞれの効率を見て、年間492kWh(月間41kWh)とします。

表3 ガスコンロコスト比較

  電気コンロ
(IHクッキングヒーター)
ガスコンロ
(プロパン)
ガスコンロ
(都市ガス)
前提条件 台所用コンロ消費量(ガス)[MJ/年] = 1429 + 472 *3(世帯人数)[人]
1ヶ月の使用量 41 kWh
(IH効率90%)
2.3 m3
(ガスコンロ効率56%)
5.3 m3
(ガスコンロ効率56%)
1ヶ月の料金(基本料金含まない) 1,058円(スマートプラン)
950円(スタンダードプラン)
1,214円 655円
コンロ代金 10~30万円 10~30万円 10~30万円
設置費用 5万円
(コンロ取替と専用回線工事のみとします)
2万円
(コンロ取替とガス管工事のみとします)
2万円>
(コンロ取替とガス管工事のみとします)
備考 200V電源がなければ新規設置が必要です。 プロパンガスの従量料金を528円/m3とします。 都市ガス従量料金を132.5円/m3とします。

*電気料金の計算に2つありますが、スマートプランで契約すると、昼間の電気量が25.8円/kWhになります。普通のスタンダードプランで契約すると、平均23円/kWhになります。

4.エコキュートとエコジョーズのメリット デメリット比較

電気とガスの併用は、併用するパターンに応じて、メリットとデメリットを考える必要があります。以下では、それぞれの機器のメリットとデメリットをランダムに記載しますので、ご参考にしてください。

(1) エコキュートのメリット・デメリット

①デメリット

  • 貯湯タンクやヒートポンプを設置するスペースが必要です。
  • 何かの事情で普段より多くのお湯を必要とするとき、昼間の電気代の高いときにエコキュートを動かす必要があります。
  • エコキュートを設置する初めに、本体価格と設置費用で大きなコストを必要とします。
  • しっかりした保温をしないと夜間に作っても使うのが夕方以降となると、半日の間に貯湯タンクの温度が下がる要因になります。
  • 台風などで停電や断水が発生すると、エコキュートは動作しませんので、基本的には使えません。
  • 東京電力ではエコキュートのためにスマートプランという電気料設定があります。 AM1時からAM6時まで17.8円/kwh、それ以外は25.8円/kwh という設定です。
    そのため、夜間以外にエコキュートを使う必要があるときは、なるべく短い時間に使うなど工夫することで、1ヶ月の料金の節約ができます。※

※しかし、昼間に家にいる人が多く、常に電気を使うことになり、スタンダードプランの電気料金1kWh当たり平均23.2円のところが、スマートプランでは27.8円となり、光熱費が増えます。
したがって、エコキュートをのためにスマートプランで電気料金を契約したときは、昼間には人がいないような家庭には効果があるでしょう。

②メリット

  • ランニングコストが安く済みます。
  • オール電化として料金プランが電力会社で用意されているため、電気料金を安くできる利用が可能です。
  • 貯湯タンクには相当量の水とお湯が溜まっているため、もし最大などで水道が停止したときには、生活用水として利用することができます。(貯湯タンクの水は生活用水としてだけ使い、飲料用には絶対使わないように注意しましょう。どのような雑菌が入り込んでいるか分かりません)

(2) エコジョーズのメリット・デメリット

①デメリット

  • 都市ガスが使えないときは、プロパンガスとなり、光熱費は高くなります。
  • 都市ガスの本管が近くまで来ていないと、本管から家宅までガス管を引くには、高額な費用が発生します。
  • ガス漏れによる爆発の危険があり、定期的な点検が必要です。

②メリット

  • 都市ガスのエコジョーズであれば、エコキュートとは、1ヶ月の光熱費の差は、800円程度とプロパンに比べると大きな差額になります。
  • 壁掛け型の給湯器が一般的に多いように、設置スペースは狭くても大丈夫です。
  • 設置費用もエコキュートに比べ、かなり安くなります。
  • 停電があっても、バックアップ電源ユニットを備えてあれば、エコジョーズは数日使えます。

(3) IHクッキングのメリット・デメリット

①デメリット

  • 鍋などの金属の素材は、鉄やステンレスで、銅やアルミは使えません。
  • 鍋などの底の金属に電流が流れ発熱します。そのため、底が丸いものはコンロとの接触面積が小さく、十分に加熱しません。

②メリット

  • ガス漏れによる火災のような危険がなく、安全です。

(4) ガスコンロのメリット・デメリット

①デメリット

  • ガス漏れによる火災などの危険があり、取り扱いには十分な注意が必要です。
  • ガス本管が破損するような災害があると、都市ガスの使用ができません。
    しかし、プロパンガスを使っていると、地震などの災害があっても、すぐにガスは使えます。

②メリット

  • 停電があっても、調理ができます。
  • プロパンガスの場合は、長期に渡る災害があっても、調理ができます。

5.電気とガス併用料金比較

ガスと電気の給湯器とコンロを併用、またはどちらかの種類に統一するときに、これまで見てきたような、メリットとデメリットがあります。

ガスと電気の併用をする目的は、光熱費を今までより少なくすることでしょう。 そのため、電気とガスのメリットとデメリットを承知の上で、給湯器やコンロを選べば良いのではないでしょうか。

図1のA)からD)までの光熱費と光熱費を含めた本体価格や設置費用を含め10年間にどれだけコストを要するかを比較したのが、表4です。 なお、ここで10年という設定をした理由は、10年で買い替えるタイミングが来るという想定からです。

  • A)エコキュート+ガスコンロ
  • B)エコジョーズ+IHクッキングヒーター
  • C)エコキュート+IHクッキングヒーター
  • D)エコジョーズ+ガスコンロ

表4 10年間にかかる総合コスト

パターンタイプA【プロパンガス】

パターン 給湯器 コンロ  
A
エコキュート ガスコンロ(プロパン) 合計
年間光熱費 38,412円 14,568円 52,980円
10年間投資金額 1回200L 4回320L 220万円

パターンタイプB【プロパンガス】

パターン 給湯器 コンロ  
B
エコジョーズ(プロパン) IHクッキング 合計
年間光熱費 86,724円 12,696円 99,420円
10年間投資金額 87+ 36万円 13+ 23万円 159万円

パターンタイプC【プロパンガス】

パターン 給湯器 コンロ  
C
エコキュート IHクッキング 合計
年間光熱費 38,412円 12,696円 51,108円
10年間投資金額 38+ 135万円 13+ 23万円 209万円

パターンタイプD【プロパンガス】

パターン 給湯器 コンロ  
D
エコキュート IHクッキング 合計
年間光熱費 86,724円 14,568円 55,164円
10年間投資金額 87+ 36万円 15+ 32万円 170万円

パターンタイプA【都市ガス】

パターン 給湯器 コンロ  
A
エコキュート ガスコンロ
(都市ガス)
合計
年間光熱費 38,412円 7,860円 46,272円
10年間投資金額 38+ 135万円 8+ 32万円 213万円

パターンタイプB【都市ガス】

パターン 給湯器 コンロ  
B
エコジョーズ
(都市ガス)
IHクッキング 合計
年間光熱費 47,304円 12,696円 60,000円
10年間投資金額 47+ 36万円 13+ 23万円 119万円

パターンタイプC【都市ガス】

パターン 給湯器 コンロ  
C
エコキュート IHクッキング 合計
年間光熱費 38,412円 12,696円 51,108円
10年間投資金額 38+ 135万円 13+ 23万円 209万円

パターンタイプD【都市ガス】

パターン 給湯器 コンロ  
D
エコジョーズ
(都市ガス)
ガスコンロ
(都市ガス)
合計
年間光熱費 47,304円 7,860円 55,164円
10年間投資金額 47+ 36万円 8+ 32万円 113万円

* 10年間投資額は、10年間の光熱費と設置時の初期コストを合算した値です。ただし、設置時の初期コストは、メーカーの定価価格としていますが、インターネット販売は設置費用を含めた価格が、定価の50~60%引きのところが多くあります。

* また、10年間投資金額には、機器のメンテナンス費用を含んでいません。本来、10年のうちに何度かは故障などでメンテナンスが発生しますが、台風などの災害による故障もあり、その規模は想定できないためメンテナンス費用はあえて省いています。

図1と表4から、給湯器とコンロの組合せが、ガスと電気を併用する方式には、4つのパターンがあり、それぞれの年間の光熱費と、初期の設置コストがどれほどかかるかが分かりました。 まとめると、次のように考察できます。

  1. 年間光熱費が最も安いパターンは、エコキュートとガスコンロ(都市ガス)の併用です。ただし、ガス給湯器をエコキュートに変えるには、初期の設置費用が最も高いというデメリットもあります。
  2.  年間光熱費が最も安いエコキュートとガスコンロ(都市ガス)の併用でも、IHクッキングをガスコンロ(都市ガス)に変えるのは、初期の設置費用も高くなく、光熱費の節約の効果が出ます。
  3. 初期の設置費用が最も安いパターンは、エコジョーズ(都市ガス)とIHクッキングの併用です。または、エコジョーズ(都市ガス)とガスコンロ(都市ガス)ですが、その差は、10万円です。しかし、10年間の光熱費は、前者が6万円、後者が5万5千円と僅差です。
  4. 給湯器の光熱費が安いという点では、エコキュートが第一候補ですが、初期コストがエコジョーズの3倍近く掛かります。高い初期コストをかけてまで、エコキュートを選ぶかどうかは、その家庭のオール電化というようなライフスタイルの考え方、と金銭的余裕でしょう。
  5. 注意点として、表4の前提は、3人家族という設定でのコストなどを算出しています。家族数が増えれば、光熱費はさらに増え、A)からD)のパターンの差額も増えることになります。

まとめ

ガスと電気の併用による給湯器とコンロの比較を行ってきましたが、どの組合せも一長一短があります。どの方式を選択するかは、デメリットをどう対処できるかが、1つの要因です。 例えば、エコキュートが良いと思っても、大きな給湯タンクを設置する場所がなければ、エコキュートの選択肢はありません。

どの機器を選ぶかの際に光熱費などのコストも大事ですが、選択する方法の最善策は、ライフスタイルと使い易さではないでしょうか。

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