ガス給湯器エコキュート徹底解説!
給湯器は家庭には欠かせないものですが、種類もたくさんあることも、どれにするか迷うところです。
ガス給湯器、石油給湯器、そして電気給湯器エコキュートなど、種類だけでなく、型式・サイズ・機能なども選ぶときに悩ませる要因です。
オール電化という家庭環境であれば、給湯器はエコキュートで決まり、と案外簡単に決められますが、オール電化という家庭はまだまだ少ないでしょう。
では、一番安いものと買い物当初は考えますが、機能やメリット、電気やガスに掛かるお金などが分かってくると、簡単に決められない要因が多くあることも現実です。
高い買い物をするときには、製品に対する知識があって選ぶことで、より良いものが選べるのではないでしょうか。
そこで、給湯器としては、ランニングコストとしては一番安い、しかし設置費用は一番高いエコキュートについて、どのようなものかを見ていきましょう。
1.エコキュートの仕組み
(1) エコキュートの使い方
図1では、家庭の給湯に、エコキュート給湯器を設置した様子を紹介しています。
- バスタブや台所はガスや石油の給湯器を設置しても同じような様子になることでしょう。
- エコキュートの場合は、ヒートポンプと貯湯タンクを設置し、接続する水やお湯の配管、電線などを接続すれば、給湯設備の完成です。
- エコキュートは電気代の安くなる時間帯にお湯を作り、タンクに必要分だけ貯めます。4人家族で1日500リットル使うならそれだけの量を、夜間に作ります。
- そのため、昼間の電気代の高いときに給湯のために電気を使わず、電気代の節約ができます。これは、後の章で、ランニングコストについて紹介するときに、説明します。
(1) エコキュートの使い方
(a) エコキュート全体
図2では、エコキュートの構成について紹介します。
エコキュートは、大きく2つ、ヒートポンプユニットと、貯湯タンクユニットに分けられます。
(b) ヒートポンプユニット
ヒートポンプユニットは図2の左半分の構成図です。
図をもとにヒートポンプの働きについてご紹介します。
- ファンでは外気の空気を取り入れます。空気のもつ温度(熱量)が必要だからです。
- 空気は①の熱交換器で、ヒートポンプの冷媒であるCO2に熱量を与え、温度を高くします。
- 空気の熱をもらったCO2は、②の圧縮機に入り圧縮されると、圧力が上がり、高温になります。
- その高温のCO2ガスは③の熱交換器で、冷たい水に熱を与え、水をお湯に変えます。
- お湯は次の貯湯タンクに貯められます。
- ③の熱交換器で熱を水に与えたCO2ガスは、温度が高いままのため、サイクルして②の圧縮機には入れられず、④の開放弁で初めの低い温度に戻します。
- このときのCO2ガスは、①の熱交換器で空気から熱をもらう前の冷媒状態となります。
- ヒートポンプではこうしてCO2がサイクルして、水をお湯に変え続けます。
以下では、ヒートポンプ内部の熱交換器などの主要な機器の仕組みについて、簡単にご紹介します。
(c) ファンと空気/CO2熱交換器
図3では、エコキュートの冷媒CO2と空気との①の熱交換器について紹介します。
- ファンからは外気である空気が取り込まれます。その空気は熱交換器に入り、冷媒のCO2ガスに空気の熱量を与えます。
- 例えば、極端に言えば、18℃の空気であれば、0℃のCO2に熱を与え、CO2は18℃になって、空気は排出され、CO2は次のステップに移ります。
(d) CO2圧縮機
図4では、③の行程CO2ガス圧縮機で、CO2がガスの温度を上げる過程をご紹介します。
- 空気から熱をもらったCO2をさらに温度を上げるための行程が、圧縮機で熱を上げることです。
- 図4の圧縮機の構造をピストン型としていますが、実際はターボ型などでピストン型を使うことはありません。
- 圧縮機のイメージはピストン型の方が分かり易いため、説明用として用いています。
- 図4のように初めは圧縮機の中にCO2ガスが満たされて、ピストンが引かれた状態になっています。CO2が十分に入ると、図4の下側のようにピストンが移動してCO2を圧縮します。
- CO2ガスは圧縮を受けると、圧力が上がり、温度が上昇します。
- 圧縮が終わってからCO2は配管から高温・高圧の状態で外に出ていきます。
- 圧縮機がピストン型で書かれているため、連続して圧縮が繰り返されるイメージが掴みにくいのですが、ターボ型のように常に回転している圧縮機では、連続して圧縮が行われ、CO2ガスは高温・高圧を途切れることなく次の熱交換器に導かれます。
(e) 水/CO2熱交換器(お湯の生成)
図5では、エコキュートのメインであるお湯が作られる④の熱交換器について紹介します。
- 熱交換器には、上から高温のCO2ガス、もう片方から常温の水が入ってきます。熱交換器内は高温になりますから、常温の水は最大100℃で沸騰します。実際は80℃から90℃になります。
- こうして高温となった水(お湯は)、貯湯タンク内に貯めこまれます。
- なお、高温で入ってきたCO2ガスは、元のラインに戻っていきますが、高温・高圧のままです。
(f) CO2開放弁
図6では、開放弁の機能についてご紹介します。
- 熱交換器③を出たCO2ガスは温度はやや低くなりますが、元のように低くはありません。
- ①の熱交換器で最初のように空気の熱を集めるために、温度を下げる必要があります。
- その機能を担うのが④の開放弁です。図5のように開放弁を開けることで、圧力が下がると、CO2の温度が下がり元の低い温度となります。
- 低温のCO2ガスとして①の熱交換器で空気から熱を受け取ります。
(g) 貯湯ユニット
貯湯ユニットは図2の右半分の構成図です。
貯湯タンクユニットには、お湯をためる貯湯タンク、給水と給湯の配管、風呂の追炊きで使う熱交換器などで構成されます。
- 貯湯タンクには、下から水が、上からお湯が出入りします。お湯を作るために水をヒートポンプの熱交換器に導入し、低温から高温となったお湯をタンクに戻します。
- タンクの容量は、550リットルから170リットルくらいまでありますが、メーカーごとにいろいろなサイズが用意されています。
- タンク内のお湯の温度は90℃近くありますので、このままでは給湯できないため、給水を混合し42℃のように適温のお湯を、風呂やシャワーなどに供給します。
2.エコキュートに掛かるお金
(1) ランニングコスト
前提として、1日当たり、4人家族が、450リットルのお湯42℃を使うと仮定します。 給水温度は平均から17℃とします。
エコキュートの湯温は、80℃~90℃ですが、90℃として保温されても逃げていく熱量を考慮して17℃の給水を80℃に上げたと仮定します。
エコキュートのタンク容量を450リットルとすると、450リットルの80℃のお湯が作れますが、給湯として使う温度が42℃のため、17℃の水を42℃に上げる熱量と同じとなります。
17℃の水450 ℓ を、42℃のお湯とする熱量は、
となります。
電力量1 kWh=860 kcalから、必要な電力量は、
です。
エコキュートの電力量を計算する際に、年間給湯保温効率というパラメータを使いますが、3.3~3.9になっています。
ここでの計算では、年間給湯保温効率=3.7とします。
エコキュートの消費電力=給水を加熱と保温に要する熱量÷3.7
という算出式から、42℃のお湯を450ℓ使うためのエコキュートの電力量は、
です。
東京電力がエコキュートのためのプランとしてスマートプランがありますが、
午前1時から午前6時までの電気料金は17.78円、それ以外は25.8円という設定です。
したがって、42℃のお湯を450ℓ使うための電気料金は、
3.54 kWh×17.78円=63円となり、1ヶ月に直すと、1,890円です。
なお、42℃のお湯450ℓを昼間作ったときは、3.54 kWh×25.8円=91.3円となります。
1ヶ月に直すと、2,740円です。
夜の安い時間帯に、余裕を持って多くお湯を作っておいた方が、安く済むという考え方もできます。
3.エコキュートのメリット・デメリット
(1) メリット
- ランニングコストが安く済みます。
- オール電化として料金プランが電力会社で用意されているため、電気料金を安くできる利用が可能です。
- 貯湯タンクには相当量の水とお湯が溜まっているため、もし災害などで水道が停止したときには、生活用水として利用することができます。 (貯湯タンクの水は生活用水としてだけ使い、飲料用には絶対使わないように注意しましょう。)
(2) デメリット
- 貯湯タンクやヒートポンプを設置するスペースが必要です。
- 何かの事情で普段より多くのお湯を必要とするとき、昼間の電気代の高いときにエコキュートを動かす必要があります。
- エコキュートを設置する初めに、大きなコストを必要とします。
- しっかりした保温をしないと夜間に作っても使うのが夕方以降となると、半日の間に貯湯タンクの温度が下がる要因になります。
- 台風などで停電や断水が発生すると、エコキュートは動作しませんので、基本的には使えません。ただし、エコキュートの機種によっては貯湯タンクにお湯が残っていれば使えるものもあります。災害時に備えるため、使用しているエコキュートの取り扱い説明書で確認しておくと、安心です。
- 東京電力ではエコキュートのためにスマートプランという電気料設定があります。
AM1時からAM6時まで17.8円/kwh、それ以外は25.8円/kwh という設定です。
そのため、夜間以外にエコキュートを使う必要があるときは、なるべく短い時間に使うなど工夫することで、1ヶ月の料金の節約ができます。
なお、この電力料金プランは、電力会社ごとに違いがありますので、その地域の電力会社に確認し、節約してエコキュートを使ってはどうでしょうか。 - 貯湯タンクのお湯は飲めません。貯湯タンクは水アカやサビが付着したまま使用しております。ポットのようにいつでも洗う事ができないので、お湯は飲まない方がいいです。
(3) タンクの容量
家族数/ |
使用目安量 | ||
お風呂(40℃) | シャワー(40℃) 70L/1人 |
洗面・ 台所(40℃) |
|
5~6人 550L |
200L/ 1回 |
420L/ 6回 |
180L |
3~4人 370L |
200L/ 1回 |
280L/ 4回 |
120L |
1~2人 200L |
200L/ 1回 |
140L/ 2回 |
60L |
※タンクの容量はメーカーごとに違います
家族の人数や大人と子供の人数、シャワーやお風呂の使用状況に合わせ、タンク容量を選ぶと湯切れを起こしません。
*お風呂の量は1回としていますが、人数が多いほど足し湯量が増えると思われ、人数の多い家族の場合は、1.3倍くらいを想定した方が実際的でしょう。
*シャワーの量も、大人と子供、男性と女性で、実際に今使っている量と比較すれば、表の精度がもっと上がり、必要なタンク容量が分かるでしょう。
4.その他エコキュートを上手に使う注意事項
- 貯湯タンクやヒートポンプは屋外に設置するため、塩害などで痛みが速いので、塩害対策品を購入すべきです。給湯タンクをステンレス製にするなどの対策をとれば、安心です。
- エコキュートの省エネのポイントは、その日に必要な量だけお湯を沸かして、使い切ることです。
- エコキュートにはメーカーごとに独自の節約モード機能があります。 1週間など過去のエコキュートの運転状況を記憶し、現在の既設・気温などから、最も節約できる運転に自動で切り替える機能です。
- 省エネモードで運転していても、湯量設定を変更した方が節約できる場合があります。
・日中、頻繁にお湯が足りなくなる場合には、多くのお湯を沸かす設定に切り替えた方が良いでしょう。
・日中、タンクの湯量が減ると、自動沸き増しによって沸き増しされますが、これ以上お湯を使わない時や、お湯の量が間に合うときには、沸き上げを停止することで、余分な電気代を掛けずに済みます。 - 寒い時期に使うお湯の量が増え、多めのお湯を沸かすモードに設定していたとします。その後、暖かくなって使うお湯の量が減る場合には、季節に合わせて省エネモードに変更することで、余計な電気代を削減する事もできます。
- お風呂を温め直す際は、保温運転や追い焚きよりも、高温足し湯によって再度お湯はりをした方が省エネとなります。
まとめ
電気給湯器エコキュートについて、構造、コスト、メリット・デメリットなどについて見てきました。 素晴らしい点や気を付ける点が何かなど、参考にしていただければ幸いです。 同じように、ガス給湯器エコジョーズや、石油給湯器エコフィールにもそれぞれの得意点があります。
さらにご自身のライフスタイルを合わせて機器を選ぶことを考えることも大切です。また、地域的な事情も考慮すべき要因の1つです。
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