プロパンガス会社変更で料金削減のポイントご紹介!

プロパンガスの価格は、自由化という制度の下で、販売事業者が自由に価格を設定できます。
逆に、地域のガス会社が集まって、プロパンガスの価格を設定すると、独占禁止法に触れて罰せられることになります。そのため、プロパンガスの価格は、販売事業者ごとに高い金額から安い金額まで幅広い金額体系ができています。安い販売者からガスを購入している消費者はラッキーですが、逆に、高い販売者からガスを購入している消費者は不運です。
悪いことに、ガスの販売価格を公表している販売事業者は少ないため、高いガスを買っている消費者はもっと安いガスを買っている消費者がいることを知りません。

このコラムでは、プロパンガスの基礎知識からガスの価格が高い販売事業者から安い事業者に切り替えるポイントをご紹介します!

Point1プロパンガス料金は高い料金の会社から、安い料金のガス会社へ変更可能

プロパンガスや都市ガスの料金は、次のように基本的に同じ構造です。

「 基本料金 + 従量料金 」

基本料金

基本料金は「ガスを消費者に届けるまでに掛かる経費と運用に要する経費」からなります。

図にプロパンガスが消費者に届けられるまでのイメージを描いています。ガスが消費者に届けられるまでに掛かる運搬や管理のコストが、主にガスの基本料金に反映されています。

従量料金

従量料金は「ガスを製造するのに掛かる費用」からなります。
特に原油価格と連動するため、原油価格や為替レートが上がると、ガス代も上がる仕組みです。

ここで問題は、原油価格が下がっても、ガスの価格に反映されることが少なく、プロパンガスを導入した当初のガス代が徐々に上がってきて、高いガス料金になるということです。
プロパンガスは昔から自由であるためガスの販売の特徴は、販売事業者が自由に価格を設定できるということです。

ガスの販売事業者には、高いガス料金の会社だけではありません。
ガスの価格を地域の平均より下げて顧客を獲得しようとするため、持っている設備や人員、儲ける方法の工夫などで、価格を低く設定するガス会社があります。

このように、ガスの価格を下げている努力を続けているガス事業者を見つけ、現在の高いガス価格のガス会社から変更すれば、ガス料金を大きく節約することができます。

Point2プロパンガス価格(最高値・平均値・安値)と都市ガス料金差比較

プロパンガスと都市ガスの価格差は、どれほどあるでしょうか。 東京のプロパンガスの価格帯を表に示します。

  基本料金 5m3
/単価
5~10m3
/単価
10~20m3
/単価
最高値 2,160円 837円 745円 723円
平均値 1,719円 531円 527円 521円
最低値 1,296円 442円 421円 384円

次の表は都市ガスの価格です。地域ごとに差があるため、4つの地域を参考としています。 ただし、都市ガスの熱量はプロパンガスの熱量の約半分のため、両者を比較するために、価格を2倍にしています。

  基本料金A ガス料金A 基本料金B ガス料金B
東京ガス 0~20m3 20~80m3
759円 284円 1,056円 254円
大阪ガス 0~20m3 20~50m3
759円 348円 1,364円 288円
西部ガス(福岡) 0~15m3 15~30m3
913円 492円 1,133円 464円
東邦ガス(東海) 0~20m3 21~50m3
759円 420円 1,588円 338円
2つの表を比べてみると・・・
  • プロパンガスの価格は、価格帯が広く2倍近い差もあります。ただし、高い場合も地域によって管理費用が掛かり過ぎて高い場合もあります。高い販売者の調査が必要です。
  • 都市ガスも地域によって差がありますが、東京都に関して、プロパンガスと都市ガスを比較すると、平均でも倍近い差があります。最低値でも1.5倍の差があります。

プロパンガスの販売事業者の中には、適正価格をうたって販売している事業者があります。この価格は、都市ガスと同じかやや高い程度で、20m3使用する家庭では、1ヶ月当たり5,000円ほど安くできる場合があります。

Point3全国のプロパンガス平均価格

図は、プロパンガスの10m3当たりの価格(基本料金+従量料金)を各県ごとの平均の価格を表しています。
図からわかるように、プロパンガスの価格は、地域によって多きな差があります。これは、ガスの配送に要する費用が影響すると思われます。

しかし、同じ地域でも価格の高いガス事業者と安い価格で販売するガス事業者がいることも事実です。

Point4検針票・請求書の見方

プロパンガス会社からは、毎月、使ったガスの量と、代金の請求書が届きます。しかし、販売店によっては、使った量と請求代金のみの表示で、基本料金や従量料金の表示をしていないケースが見受けられます。 そこで、そのような請求書から今、どれほどの料金体系かを知っておく方法を紹介します。

下図は、プロパンガスの請求書の例を表しています。日付や販売店名などありませんので、仮として見てください。

この請求書には、基本料金や従量料金の記載がありますので、いくらガス代に掛かっているかが分かります。このような請求書を出す販売店は良心的と言って良いでしょう。

これに対して、良心的でない販売店の請求書は、実線で表した部分のみの請求書しか出してきません。この場合では、基本料金も従量料金もいくら掛かっているか分かりません。

この請求書から、従量料金、ガス1m3使った時の値段を知る方法を紹介します。

請求書と計算を示した図が、その方法です。

  • 1) 請求書から消費税を省きます。結果が、ガスの料金です。
  • 2) 基本料金を1,500円と設定して、ガスの従量金を算出します。
  • 3) 従量料金をガスの使用量 22.5m3で割ると、20m3以上使ったときの、1m3当たりの料金が計算できます。
  • 4) 従量料金が分かると、どれだけガスを節約すると、家計が楽になるかが想定できます。

例えば、20m3以上の単価を400円とすると、

22.5 m3×(472円-400円)¬=1,620円

1ヶ月当たり1,600円ほどの節約ができます。1年では約19,000円です。

なお、プロパンガスの法律では、次のように請求書には正確な情報を記載することを義務付けています。

  • a. LPガスの種類
  • b. LPガスの引き渡しの方法
  • c. 価格
    (ア) 料金制度の内容(基本料金、従量料金など)
    (イ) 料金制度の考え方(基本料金や従量料金には何が含まれるか)
  • d. 設備の所有権(ボンベ、ガス配管、コンロ等)の所有関係(どれが販売事業者所有で、どれが消費者所有か)
  • e. 設置、変更、修繕及び撤去に要する費用の負担方法
  • f. 消費設備(屋内配管、給湯器、コンロなど)を販売事業者(販売店)が所有している場合

したがって、使ったガス量と請求金額しか書かれていない請求書を出すような事業者は、信頼できないと言ってもよく、ガス会社を変えるべき理由の1つでしょう。

Point5プロパンガス会社の変更には費用がかかる?

経済産業省産業局のホームページで、「LPガス販売店は自由に替えられると聞きましたが、良い販売店を選ぶにはどんな点に注意を払ったらよいでしょうか」という質問に対し、次のような回答が示されています。

  • 販売事業者(販売店)の選択は自由ですが、契約の期間が定められているなど途中解約に制約条件がある場合は、それを守らねばならない場合があります。
  • 現在の料金・サービスに不満がある場合、まず現在取引している販売店に相談して下さい。
  • 販売店を変えるときに大切なことは、今までの販売店と同等以上のサービス、保安対策が保証されていることです。
  • 新規に販売店を選ぶ場合の注意点です。
    a. 契約時の料金がいつまで保証されるのか?
    b. 勧誘後、しばらくするとすぐガス料金の値上げがあったり、サービス内容が前より悪くなったりするトラブルが見られます。
    c. 解約条件で消費者が不利になる点はないか?
    d. 本来、解約は自由のはずですが、解約条項に不当な制限・法外な違約金の請求があるケースがあります。
    e. 家庭の安全を守る大切な業務である、法定保安業務の実施者は誰か確認してください。

消費者宅のプロパンガス設備は、図に示すような系統になっています。

図の供給設備は、ガス販売事業者の責任で設置された機器です。
図の消費設備は、消費者の責任で設置された機器です。
ただし、多くの場合、消費設備の機器は販売事業者が設置し、15年契約の代わりに工事や機器の代金はゼロというケースが多く見られます。

したがって、15年経過する前に解約すると、工事や機器の残った分の金額を請求されます。
どれだけ請求されるかは、契約条項に記載されている場合があります。
もちろん、消費設備の機器も工事も新築当初、全額自己負担で設置していれば、途中契約解除しても請求はほとんどないでしょう。

Point6マンション・アパートは建物1棟での変更が必要

アパートやマンションで使うプロパンガスは、建物全体で1社のガス会社が供給しています。自分の部屋だけガス会社を変えることはできません。
アパートの場合は、オーナー、大家さんがガス会社と契約していますので、大家さんがガス会社を変えることを承諾すれば可能ですが、設備の契約状況などの確認が必要です。

マンションの場合は、管理組合にガス会社を変えることを議題として出して、理事会などで賛成意見が集まれば可能です。その場合でも、設備に関わる費用が発生し、それをマンション住民全員が負担することに同意することは、現実的に難しいでしょう。

Point7ガス料金が高いかをチェックしましょう

(1) 数年間値上げだけで値下げがない

都市ガスやガソリンから分かるように、原価価格は毎月変動しておりますが、新しいエネルギーの参入により、プロパンガスの料金が高くなるような原油価格の高騰はありません。

(2) 同じガス会社を何年も使っている

ガス料金が上がる理由の1つに、引越やリフォーム、新築などで、ガスの配管や給湯器等をガス会社から無償で設置してもらっているケースが多くあります。
配管や給湯器などは、ガス会社も自分達で仕入れていますので、無料で提供する事はできません。それらの費用を毎月のガス料金に上乗せして回収しています。

(3) ガス会社と直接、訪問、電話営業等からの契約

ガス会社からの直接の営業では、契約を取るために通常価格より安い料金を提示してくる事がよくあります。顧客獲得の為に初めは安くとも、帳尻を合わせるために使っている間に原油価格が上がっているからと料金を高くされる事が一般的ですので、現在の料金が、初めよりどのくらい上げられているか確認した方がいいでしょう。
ひどいところでは、倍近く高くなっている可能性があります。

(4) ガスの小売店(販売店)と契約をしている

~燃料店や、~商店などの販売店(小売店)は、大きなガス会社からガスを卸してもらっていたり、大手ガス会社の販売委託を受けている場合があります。
供給にガス会社が数社関わっていると、それぞれの会社が売上を確保するため、ガス料金が上がってしまう事があります。

Point8信頼できるプロパンガスガス会社を見つけるには

ガス会社がホームページ上で、ガス価格について情報を公開しているケースは、少ないと言って良いでしょう。 したがって、個人で、電話帳などから地域のガス会社を探しだして、安全なガス会社ということが分かるためには、何度も相談して契約条件を詰めることで信頼が生まれます。
それを数社のガス販売会社と行うには、相当根気がいることでしょうし、ガス会社を探すことが難しいでしょう。

そこで、安く信頼できそうな会社を紹介してくれるところを介して、ガス販売者と相談することも有効な手段でしょう。
手数料など掛かりませんし、紹介してもらったガス販売者と、契約条件を詰めるのは消費者です。契約条件が折り合わないときは、交渉を破棄して、別のガス会社と相談すればよいだけです。

ガス会社変更のために、ガス販売会社と交渉するときに注意すべきことを、挙げてみます。

注意すべきこと
  • a.ガス変更手続きで費用は一切かからないという勧誘には乗らないこと。
  • b.ガス会社変更に当たっては、現在のガス会社との販売契約に基づいて解約が行われるため、設備の撤去費用に関して消費者への負担が発生する可能性があります。
  • c.もしその負担を新しいガス会社が負担するとして費用は一切かからない場合には、現在のガス会社の了承が得られるか、事後に消費者の支払い責任はないかなど、よく確認する必要があります。

まとめ

都市ガスやプロパンガスは、生活する上で、欠かせない熱量原です。そして、どうしても必要な分、例えば20m3/月のように、常時使用します。したがって、毎月、決まったガス料金が出費されます。 しかし、現在契約しているガス販売者と違った販売者の方が1m3当たりの単価が安いと分かれば、ガス販売店を変更することを検討します。例えば、1m3当たり100円違えば、単純に、毎月2,000円の節約になり、1年で12,000円も節約できます。

そのために少しでも安いガス販売会社があれば、切り替えたいところです。 しかし、安いからと言って、安全をおろそかにする会社では、不安になります。

単に安いからと言って安易にガス会社を切り替えることはせず、信頼できる情報源から情報を得て、しっかり話し合いを行って、安く信頼でき、契約がしっかりしているガス会社かどうかを確認することが大切です。

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