プロパンガス供給の仕組みはどうなってるの?

LPGタンカー

プロパンガスの供給の仕組みをご存知ですか?2017年に都市ガスの全面自由化にともないガス業界が注目されています!全面自由化されたのは都市ガスですが、今回はプロパンガスの供給の仕組みをご紹介いたします!各社さまざまな料金プランを提供していますが、ガスのことをもっと知ってよりよい選択をしましょう!

​プロパンガス供給の仕組み

みなさんプロパンガスの供給の仕組みをご存知でしょうか。地下の配管で供給しているんじゃないの?家の横にあるボンベじゃないの?そもそも知らない、いろいろな意見があると思います。都市ガスは別の記事でご紹介したとおり、地下に張り巡らされた導管と呼ばれるパイプを通して各家庭へ運ばれています。都市部にお住いの方などの多くはこの都市ガスを利用しています。

一方、導管が整備されていない地域などでは、生活エネルギーはプロパンガスでまかなっています。

「都市ガスに比べて料金が高い」
「事故の危険性が大きい」
「プロパンガス=詐欺」

などのネガティブな意見がウェブなどで目にします。そのような偏った意見だけに惑わされることなく、正確な情報を得ることによって業者選びやサービスプラン選びなどの時に役に立てましょう!

今回はプロパンガスがご家庭に届くまでをご紹介します!

​プロパンガスが家庭に届くまで

まずはプロパンガスが届くまでの大まかなプロセスをみていきましょう。

【プロパンガス】液化石油ガスの運搬から供給まで
  1. 産油国で作ったプロパンガスを液化しタンカーで1次基地に運ぶ
    国内で作られたプロパンガスも液体化し1次基地に運ぶ
  2. 1次基地に貯蔵されたガスを常温にして2次基地に運ぶ
  3. 2次基地でタンクローリーに移し替える
  4. 全国各地にある3次基地へと運ばれる
  5. 3次基地でボンベに充填し各家庭へ
上記のプロセスを経てお客様である需要家まで供給されています。安定的に供給するためにもさまざまな設備や取り組みがなされています。それぞれ詳しくみていきましょう。

​プロパンガス供給の仕組みを詳しく解説!

​① 産ガス国や産油国〜日本国内へ

プロパンガスは産ガス国や産油国で液体にされ専用のタンカーで日本国内へ運ばれてきます。プロパンガスの原料のプロパンは主に中東などの産油国・産ガス国で生産されています。一年の間に日本全国で消費されるプロパンガスの約7〜8割を海外からの輸入にたよっています。

LPGタンカー

LPGタンカー

LPG専用のタンカーで運ばれてきた液体のガスは、まず一次基地と呼ばれるガスを貯蔵するタンクへ入れられます。一次基地は輸入基地とも呼ばれ、海外から送られてくるガスを貯蔵しています。この一次基地は日本全国35ヶ所にあり、約150万リットル貯蔵しています。

LPガスの供給拠点には、輸入基地(一次基地)、二次基地、充填所がありますが、それらを所有している主要な輸入事業者と販売事業者には、石油備蓄法によって「供給連携計画」の策定が義務付けられています。供給連携計画は、全国9ブロックの地域単位で作成されており、災害時には計画に基づいて各事業者間で情報共有、設備の共同利用、輸送に係る協力を行うことにより、供給の途絶を防止し、被災地及び避難所等へのLPガス供給が迅速かつ確実に実施できるようになっています。
参考

LPガスの特長:強靭な供給体制日本LPガス協会(Japan LP Gas Association)

上記のように、石油備蓄法という法律があります。災害など緊急時にその備蓄を使ってライフラインが復旧できるように事業者はガスを備蓄しなければなりません。

一次基地で貯蔵されたプロパンガスはその後小型タンカーやタンクローリーに移し全国にある二次基地へと運ばれていきます。

石油備蓄法

1975年に制定された石油精製業者、元売、輸入者を対象に前年の輸入量に応じて備蓄を義務づけた法律です。第一次石油危機、通称オイルショックを契機に、緊急時の安定的供給を目的とし義務付けられました。

​日本国内でもLPガスを生産してる?

1960年代までは海外からの輸入ではなく石油精製所などからの国内生産でまかなってきましが、それ以後、1990年代初頭まで右肩上がりに輸入量が増加していきました。資源エネルギー庁の資料によると2015年度には供給量の71.5% (1,091万トン)が輸入となりました。7割以上を輸入に頼っているということです。

​② 一次基地から二次基地へ

海外から輸入されたLPGや国内で生産・貯蔵されたLPGを常温に戻し一次基地から二次基地へと運びます。二次基地は各地に点在している充填所までの中継基地として機能していて、全国に60ヶ所ほどあります。二次基地の主な機能です。

  • 高圧タンカーからの受け入れ機能
  • 受け入れたガスの貯蔵
  • 貯蔵されたガスをタンクローリーなどへ充填する機能

上記3つが主なはたらきです。現在全国の二次基地ではプロパン7万トン、ブタン5万トン、合計12万トンを貯蔵できる能力を有しています。

​③ 三次基地(充填所)へ

海外から輸入したり国内で生産したガスを中継所である二次基地で受け入れ、タンクローリーなどに詰めて充填所へ運びます。充填所とはプロパンガスをボンベに詰める機能を有していて、全国に約2200ヶ所ほどあり、そのうち340ヶ所は中核充填所となっています。中核充填所には非常用電源や緊急用の通信設備が整備されていて、万が一の事態に備えています。

都市ガスは導管というパイプを通して各家庭へと運ばれますが、プロパンガスは違います。プロパンガスは都市ガスと大きく異なり、ボンベへ充填された状態で家庭へ運ばれます。

一般的に使われるボンベはいくつか種類があります。
ボンベを知ることは節約の第一歩です

プロパンガス ボンベのサイズ(寸法)について 2Kg ~ 50Kg

ボンベにも多くの種類が存在します。出店などで使われるような小さなものから、一般家庭で使われる大きめのもの、工業用のかなり大きなものまでさまざまです。

また、ボンベに充填して供給する以外にもバルク供給と呼ばれる方法があります。バルク供給とは、企業や工場など大口の顧客へ向けてのサービスでしたが、1997年(平成9年)の法改正により、小口のお客様(需要家)への供給も可能になりました。このことにより、供給の安定化や合理化によって料金が安くなるなどのメリットがあります。

④ 充填所からご家庭へ

プロパンガスは三次基地の充填所でボンベへ充填され、各家庭へ運ばれていきます。ここまできてようやくわたしたちが利用できる、普段よく目にするプロパンガスになってやってきます。

プロパンガスを利用しているご家庭には、プロパンガスを供給する設備が設置されています。

生活に欠かすことのできないプロパンガスは、上記のような流れを経てわれわれの家庭で使われています。

​プロパンガスができるまで

プロパンガスの液化

原油国や原ガス国で生産されたプロパンガスは上記のような工程を経て一般家庭へとやってきます。中東などの原油国・原ガス国で分離・回収されたプロパンを日本へと運ぶには、LPG専用タンカーで輸送されます。このときプロパンガスは液体の状態ですが、普段わたしたちが使用しているプロパンガスは気体の状態です。それはなぜでしょうか。それには大きな訳があります。それは、プロパンガスの主な成分のプロパンは液体にすることにより体積が大きく減少することにあります。

液化時の体積:約1/250

ここまで体積が減少することができます!液化することで体積が減少するので可搬性が格段に上がりますね。そのため海外で液化した状態で一次基地まで運びます。海外からの運搬だけでなく、一般家庭や需要家まで届く際も液化した状態で供給しています。

プロパンガスの生産方法

プロパンガスの供給のプロセスをみてきました。意外と複雑な工程を経てわたしたちに届けられていると感じた方も多いのではないでしょうか。そんなプロパンガスの生産方法をみてみましょう。

LPG生産方法
  1. 油田の内部に滞留しているガスから分離・回収
  2. ​天然ガスから分離・回収
  3. 原油の精製過程で分離

日本で使用されているプロパンガスは上記3つの方法で生産されています。油田で石油を採掘する過程でガスも分離・回収されています。このようなガスは石油随伴と呼ばれています。天然ガスが採取される過程で分離・回収されいるガスは天然ガス随伴です。原油の精製過程から分離され採取されたものは原油随伴と呼びます。その回収されたものから硫黄や水銀などの不純物を取り除いて最終的に商品となります。

日本で使われているガスの70%は随伴ガスで、残りの約30%を「原油精製時及び化学製品の生産時に発生する国内生産分」でまかなっています。

MEMO
プロパンガス(LPガス)は、ボンベに充填し供給される【分散型供給】です。個別供給のため点検・修理が迅速に行うことができ、大規模災害時などに復旧が早いとされています。また、2011年3月11日に起きた東日本大震災の時にボンベがあるご家庭ですぐに煮炊きが開始されたという話もあるようです。

プロパンガスの成分について

プロパンガスの原料

プロパンガスの主成分は80%以上がプロパン・ブタンです。主成分がプロパンの場合はプロパンガス、ブタンの場合はブタンガスとも呼ばれます。また、LPガスは決まった量のプロパンとブタンを混ぜ合わせて製品となっています。

日本においては、JIS及び液化石油ガス法によって成分や比率等厳格に定められています。

JIS規格

1種【主な用途 :家庭用燃料、業務用燃料】

  組成(mol%)
項目 エタン+
エチレン
プロパン+
プロピレン
ブタン+
ブチレン
ブタジエン
1号 5以下 80以上 20以下 0.5以下
2号 60以上
80未満
40以下
3号 60未満 30以上
1号 90以上 10以下
2号 50以上
90未満
50以下
3号 50未満 50以上
90未満
4号 50未満 90以上

2種【主な用途 :工業用燃料・原料、自動車用燃料】

  組成(mol%)
項目 エタン+
エチレン
プロパン+
プロピレン
ブタン+
ブチレン
ブタジエン
1号 90以上 10以下
2号 50以上
90未満
50以下
3号 50未満 50以上
90未満
4号 50未満 90以上

液化石油ガス法

名称 プロパン・
プロピレン
含有率
エタン・
エチレン
含有率
ブタジエン
含有率
相当
JIS
規格
い号 80%以上 5%以下 0.5%以下 1種1号
ろ号 60%以上
80%未満
5%以下 0.5%以下 1種2号
は号 60%未満 5%以下 0.5%以下 1種3号
参考

日本LPガス協会(Japan LP Gas Association):LPガスの概要:LPガスの規格日本LPガス協会

ガスの混合割合に違いがある

プロパンガスには、上記のように原料の割合によって違いがあります。その理由として、温度によって蒸気圧が変わってくるため寒い地域や熱い場所など、それぞれの地域に合った割合のガスが必要とされています。

寒い地方では配管の中で液体に戻ってしまうケースもあります。このようなことを防ぐためにもさまざまな割合のガスが存在しています。

まとめ

プロパンガスが届くまでのプロセスをみてきました。それぞれの工程にはそれぞれ最新の技術や事故などを経験し修練していった技術など含まれています。また、プロパンガスをお得に賢く選択するためにも、もっと深く知識を深めていきましょう!

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