プロパンガスと都市ガスの料金と原油価格の関係とは?
プロパンガスと都市ガスが家庭に届くまで
図1にプロパンガスと都市ガスが、原産地から家庭に届くまでの、道のりをご紹介します。この道のりの差が、2つのガスの料金差になっているのです。プロパンガスは、LPG(液化石油ガス)、都市ガスは、LNG(液化天然ガス)と言います。
両者とも産油地などの地下に眠っている石油埋蔵物とともにあって、日本に輸入するためには、ガス成分を取り出して、液化してタンカーに載せます。
LPGとLNGの大きな違いは、LPGはプロパンやブタンが主成分ですが、LNGはメタンが主な成分です。その成分の違いが、プロパンガスは熱量が大きく、都市ガスは小さいと言われる要因です。
さて、タンカーに積み込まれたガスは、日本に輸入品として、貯蔵基地のある港に着いてタンクに貯蔵されます。そこから家庭に届くまでの道のりに、プロパンガスと都市ガスの違い、料金の差が出てきます。
プロパンガスと都市ガスの料金差の大きな要因は、この流通過程と人手に掛かるコストなのです。
プロパンガスの料金はどのように決まるのでしょうか?
図2は、プロパンガスが産油地から家庭に届けられるまでに、どのようなコストが掛かって、ガス料金となって家庭に請求されるかをご紹介する図です。
プロパンガスの料金が決まるまでには、FOB価格、CIF価格、卸売価格、小売価格と大きく分けて4つの要素が影響します。
なお、都市ガスも料金の差はあっても、FOB価格、CIF価格が同じように掛かります。
これは、FOB価格+保険料金+タンカー運航費用、と表すことができます。
簡単に言えば、産油地から販売所のタンクに貯蔵するまでにかかるコストということになります。
簡単に言えば、産油地から家庭に届けられるまでにかかるコストということです。
プロパンガスの料金に原油価格がどう影響する?
プロパンガスも都市ガスも、産油国から輸入される品目です。原油価格は、原油を取引するときに決められる価格で、ガスの取引でも価格が決められます。
このガスの取引の上げ下げ幅が、原油価格のそれと連動することから、ガスの取引価格、FOB価格が原油価格に影響されるということになります。
ただし、原油取引価格とガスの取引価格は比例関係にはありません。
原油価格が2割増したからガスも2割増すという関係はなく、原油が上がったから、ガスも上がるだろうという目安にしかなりません。
むろん、過去の統計から変動する幅は想定することは可能です。
プロパンガスの料金構成
図3は2,019年1月から9月までのLPG料金を平均して、構成する要素ごとに、その比率を表した図です。
図3の左側の円グラフは、LPG料金の4つの要素に掛かるコストの割合を表しています。
例えば、家庭で請求されるガス料金の1%がガス産油国から日本までの輸入に係わるお金、20%が港から販売店までガスを運ぶ卸売業者のお金、ということがわかります。
図3の右側の棒グラフは、LPG料金の4つの要素の割合を表した図です。
図3から小売業に係わるお金が、総コストの3分の1で、いかに大きいかかがわかります。
プロパンガスの料金と都市ガスの料金
プロパンガスの料金
プロパンガスの料金はいくらになるか、その理由を具体的に見てみましょう。
図4で、プロパンガスの料金の推移を紹介します。2,014年から2,019年までの6年間の推移です。
ガスの取引は「$/トン」で行われますが、日本国内は「円/トン」となるため、全て「円/トン」で表しています。そのため、その年度の為替相場も付記しています。
このように、ガスの料金は原油価格だけでなく為替レートでも左右されます。
図4では、それぞれの価格の関係が分かりやすいように、小売価格だけ、右側の目盛(円/トン)で示しています。他の3つの価格は、左側の目盛りです。
図4からわかることは、基本となるFOB価格の変動に対し、CIF価格、卸売価格、小売価格が連動して変化していることです。厳密に見れば、きれいに比例関係で変動することはなく、その時の政治・経済などの状況に応じて、ガスの価格が変化しています。 例えば、タンカーの輸送ルートで紛争があって保険料が跳ね上がれば、ガスの小売価格、すなわち家庭のガス料金が変わってしまいます。
また、プロパンガスの料金は、日本地域の場所でも料金に差が出ます。プロパンガスは、船やローリーによって運ばれることを思い出せば、港から遠い地域ほど、料金に影響することが予想できます。
図5では、日本各地域のプロパンガス料金を紹介します。
* このグラフは、*一般財団法人日本エネルギー経済研究所石油情報センター 「LPガス公式資料 全国統計」のデータに基づき作成しています。
料金はその地域の平均を示していますが、同じ地域でも料金に差があるのは、家庭まで運送しやすい場所かどうかの差もあります。
例えば、関東と北海道の10m3当たりの平均料金では、およそ2,500円の差があります。
都市ガスの料金
次に、都市ガスの料金を見てみましょう。都市ガスも地域によって差があります。都市ガスは導管で移送されるため、同じ地域であれば供給ガス会社が同じであるため、料金の差はありません。
表1で、都市ガスの地域を代表するガス会社の料金を紹介します。
給湯器種類 | 基本料金A | ガス料金A | 基本料金B | ガス料金B |
東京ガス | 0~20m3 | 20~80m3 | ||
759円 | 142円 | 1,056円 | 127円 | |
大阪ガス | 0~20m3 | 20~50m3 | ||
759円 | 174円 | 1,364円 | 144円 | |
西部ガス(福岡) | 0~15m3 | 20~30m3 | ||
913円 | 246円 | 1,133円 | 232円 | |
東邦ガス(東海) | 0~20m3 | 21~50m3 | ||
759円 | 210円 | 1,588円 | 169円 |
プロパンガスと都市ガスのランニングコストとは?
プロパンガスの1ヶ月のランニングコスト
では、いよいよ、プロパンガスと都市ガスを使ったときのランニングコストはどうなるかについて、ご紹介しましょう。 はじめに、以下条件の確認です。
- ガスの熱量:プロパンガス 24,000 kcal/m3、都市ガス 10,750 kcal/m3
- 4人家族の一般家庭:東京都在住家庭
- 1ヶ月当たりのガスの使用量:プロパンガスとして「11.4m3」(関東の平均)
※ガスの使用量は、日本エネルギー経済研究所石油情報センター「平成18年度プロパンガス消費実態調査」報告書を参照としています。
東京都のプロパンガスの料金は、都平均で、
基本料金 : 1,719円
- 5m3:2,657円(0~5m3までは531円/1m3)
- 10m3:5,275円(5m3~10m3までは527円/m3)
- 320m3:10,425円(10m3~20m3までは521円)
※一般財団法人日本エネルギー経済研究所石油情報センター 「LPガス公式資料 全国統計」によります。
プロパンガスの1ヶ月平均の料金は、
1,719円+531円×5m3+527円×5m3+521円×1.4m3=7,738円
プロパンガスの1ヶ月のランニングコストを見てきましたが、この計算で使用した料金は平均料金です。東京都の場合、次の表のように料金に差があります。
基本料金 | 5m3の単価 | 10m3の単価 | 20m3の単価 | |
最高値 | 2,160円 | 837円 | 745円 | 723円 |
平均値 | 1,719円 | 531円 | 527円 | 521円 |
最低値 | 1,296円 | 442円 | 421円 | 384円 |
この表にしたがって、1ヶ月のランニングコストを計算してみます。
最高値の場合は、
1,719円+837円×5m3+745円×5m3+723円×1.4m3=10,512円
最低値の場合は、
1,296円+442円×5m3+421円×5m3+384円×1.4m3=6,148円
となります。
住んでいる場所によっては、高くなったり、安くなったりするケースが出てきますので、いま契約している販売会社より、ガス料金が安い会社を見つけることができる可能性があります。
都市ガスの1ヶ月のランニングコスト
はじめに、プロパンガス11.4m3に相当する都市ガスの量を算定します。
プロパンガス11.4m3の熱量は、
11.4×24,000=273,600 kcal
です。
都市ガスの熱量は、10,750 kcal/m3ですので、都市ガスの量は、
273,600÷10,750=25.5m3
です。
都市ガスの料金は、表1の東京ガスの項から、基本料金1,056円、ガス料金127円/m3ですので、都市ガスの1ヶ月当たりの料金は、
1,056円+25.5m3×127円=4,294円
プロパンガスと都市ガスのランニングコストを比較
これまで見てきたプロパンガスと都市ガスのランニングコストから、コスト的には都市ガスの方が有利です。
しかし、都市ガスに変更するときに考えなければならないことは、都市ガス配管から自宅まで配管の敷設と接続の工事が発生することです。
近くに配管がないときは、配管工事に数十万円掛かるでしょう。
さらに、プロパンガスから都市ガスに切り替えるときには、ガス器具はプロパン用ですので、都市ガス用に交換する必要があります。
そのため、都市ガスに切り替えるタイミングとして、プロパンガス器具が旧くなって買い替えを検討するときが、良いタイミングかもしれません。
プロパンガスと都市ガスについてまとめると次の表2のようになります。
プロパンガス | 都市ガス | 備考 | |
1ヶ月平均料金 | 7,738円 | 4,294円 | 差=3,444円 |
1年平均料金 | 92,856円 | 51,528円 | 差=41,326円 |
設置費用 | 5万円 (ボンベとガスメータを設置する工事とします) |
数十万円 (やや離れた都市ガス本管からガスメータまでの接続工事を行なう場合) |
ガスメータ以降はどちらも同じ工事となるためコストはほぼ同じとします。 |
維持管理費用 | 基本料金に含まれます | 基本料金に含まれます |
表2で注意する点は、この数値は東京都においての平均料金としての比較です。
図5や表1で紹介したように、ガスの料金は地域の格差が大きいため、その差も変動します。
また、ガスの使用量も平均として前提に挙げましたが、ライフスタイルによっては、はるかに少ないガスの使用量も考えられますので、都市ガスとのガス料金の差も気にならないこともあるでしょう。
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まとめ
以上、このコラムの前半では、プロパンガスや都市ガスの料金と、原油価格との関係について紹介してきました。
また、後半では、プロパンガスと都市ガスのランニングコスト、工事コストを比較してきました。
ガスの料金は原油価格だけでなく、為替変動の影響も受けます。
原油価格や為替変動は、一般家庭の人にはどうすることもできません。また、近くのスタンドのガソリン料金が下がったからガスの料金も下がるだろうと思っても、すぐに逆の現象が起こるのは、原油価格が常に国際情勢に左右されているからです。
家庭で原油価格を見ながらガスの使用量を変える節約術は意味はなく、それよりいつもガスの無駄遣いをしないように、小まめなガスの節約術が功を奏すると言えるでしょう。
また、プロパンガスと都市ガスの違いについても見てきましたが、都市ガスのランニングコストの価格的優位性は変わりがありません。都市ガスが普及しているのは、日本国内ではまだ少ない状況です。
そのため、ガスの本管が数百メートル先まで来ていると言っても、都市ガスに変えることはコスト的に無理があります。
そのうち近くまで来たら考えようか、それまでプロパンガスの料金が安いところが出れば乗り換えを検討しようか、ということで良いのではないでしょうか。
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