プロパンガス・一戸建て~マンション、アパート解説一戸建ての生活が始まってから生活に必要なものの一つは、電気やガスなどの熱源です。使い勝手からガスを選ぶ人は多いでしょう。
そこでガスに掛かる費用が気になりますが、都市ガスが普及している場所であれば、給湯器やコンロは都市ガスで決まりでしょう。
しかし、日本国内の都市ガスの普及率は、都市部でこそ100%近くあっても、地方に行くに従って、その普及率は20%など極端に低くなっているのが現状です。
そのため、都市ガスが使えなければ、ガスを使うための選択肢は、プロパンガスしかありません。
プロパンガス自体は熱量も高く、ガス器具も豊富にそろっていますので、とても便利なエネルギーです。
プロパンガスの料金を下げるために必要な知識を身に着け、賢くガス会社を選ぶ方法をお教えします。
1.プロパンガスの供給方式
プロパンガスを利用している一戸建て住宅では、ボンベの設置によるガスの供給が一般的と言って良いでしょう。
しかし、ガスの供給には他にもいろいろな選択肢があります。設備費が高くても良い、使うガス量が多いなどの理由によるところが大きいです。
例えば、集合住宅用にバルク貯槽を設置する方式は、個人の一戸建てでは、設置する場所の確保、高い設備費用など、この方式を取り入れるメリットはありません。
しかし、毎日何十m3のプロパンガスを消費する場合には、ボンベを常に取り換えるという手間を省くことができるメリットがあります。
それでは、プロパンガスの供給方法について見てみましょう。
(1) 個別プロパン方式
家の近くの壁際のような場所に、ボンベとガス調整器・ガスメーターを設置し、ガスメーター以降はガス配管によって、給湯器やガスコンロまで配管を敷設し、ガスを供給します。
ガスボンベからガスメーターまでを供給設備と言い、ガス販売会社が設備の責任範囲となります。
一方、ガス―メーター以降の配管やガス器具と付帯設備は、消費設備と言い、消費者の責任範囲となります。
(2) 集中プロパン方式
マンションやアパートのような集合住宅では、ガスボンべを複数台設置し、それぞれの住宅用のガスメーターが設置され、各部屋にガスが供給されます。
上の図では、アパート住人へのガス供給のために、ボンベが設置されました。 次の図では、ボンベの代わりにバルク貯槽を設置する方式です。
バルク貯槽のあとにそれぞれの住宅用のガスメーターが設置され、アパートの住人それぞれにガスが供給される方式です。 バルク貯槽の場合は、一定期間ごとにローリーでガスを補給すればよく、ガスボンベのように、いつもボンベ交換のために人が動き回る必要がありません。
(3) 簡易ガス方式
簡易ガス事業は、プロパンガスの供給先が団地のように70戸以上ある場合には、事業として認められます。 図が、簡易ガスの供給体系の模式図です。
簡易ガス方式は、70世帯以上の団地やまとまった戸建て住宅に対し、集中プロパンと同じようにガス管を地下に敷設して、ガスを供給する方式です。 70世帯を超えると簡易ガス事業となり、この事業のガス料金は、国の認可制ですので、ガス会社が勝手に値段を決めて販売することはできません。
2.都市ガスとプロパンガス供給方式別の料金差
いろいろなプロパンガスの供給方式を見てきました。 この章では、供給方式ごとの料金を比較するため、公表されているガス会社の参考価格を一例として紹介します。
(1) 簡易ガスの価格【地域:東京都・荒川区】
料金項目 | ガスの種類 | ||
一般ガス (都市ガス) |
簡易ガス | プロパンガス | |
使用量 | 22m3 | 10m3 | 10m3 |
基本料金 | 1,026円 | 1,404円 | 1,673円 |
従量料金 | 2,872円 (単価 287円) |
3,727円 (単価 372円) |
5,392円 (単価 539円) |
計 | 3,898円 | 5,131円 | 7,677円 |
注意) 都市ガスの使用量は、プロパンガスと熱量を合わせるため、2倍の使用量としています。
3つのガスの種類から、都市ガス、簡易ガス、一戸建てのプロパンガスの順に料金が高いことが分かります。ただし、プロパンガスの価格は自由価格のため、単価を400円近くまで下げることができれば、簡易ガスとの差は相当縮まります。 簡易ガスの事業区域に設置されたアパートやマンションの集合住宅は、一戸建てよりも安いプロパンガス料金で生活ができます。
(2) 集合住宅の価格
TNプロパンガス会社の参考例(1ヶ月当たり)
一戸建て住宅料金 | 集合住宅料金 | |
基本料金 | 1,600円 | 1,900円 |
従量料金【0m3~】 | 460円/1m3 | - |
従量料金【0~10m3】 | - | 530円/1m3 |
従量料金【10m3~】 | - | 460円/1m3 |
計(税抜き) | 基本料金+従量料金×使用ガス量 |
このように集合住宅の場合は、一戸建てに比べ、ガスの料金が高いと言えます。
(3) バルク貯槽使用時の価格
Nプロパンガス会社の参考例(1ヶ月当たり)
ボンベ使用時 | バルク貯槽使用時 | |
基本料金 | 1,500円 | 2,500円 |
0~10m3 | 527円/1m3 | 385円/1m3 |
10~20m3 | 480円/1m3 | |
20~50m3 | 460円/1m3 | - |
20~70m3~ | - | 327円/1m3 |
50m3~ | 440円/1m3 | - |
70m3~ | - | 308円/1m3 |
(4) ボンベとバルクの料金比較
ボンベとバルクのガス料金の比較をしてみましょう。
① ガス使用量を1ヶ月、10m3使ったとすると……
(a) ボンベの場合
(b) バルクの場合
ボンベとバルクのガス料金の比較をしてみましょう。
② ガス使用量を1ヶ月、50m3使ったとすると……
(a) ボンベの場合
(b) バルクの場合
以上のように、少ない量であれば1ヶ月のその差はそれほど大きくありませんが、使用量が増えるにしたがって、その差は大きくバルクが安くなります。
しかし、バルク貯槽を設置するには、法的な手続きや設置条件・設置工事費用など厳しいことが多いため、アパートにバルク貯槽を設けて、ガス料金を下げようと考える大家さんは、ほとんどいないでしょう。
ボンベ方式でアパートにプロパンガスを供給しても、大家さんが負担する費用はほとんどなく、ガス会社からアパート住民に少しづつ設備や工事の負担分が割り振られることになります。
3.ガス会社を選べるのは一戸建てのみ
プロパンガスを供給する方式をみてきました。アパートやマンションの集合住宅と、集中プロパン、簡易ガスでは、入居者はガス会社と交渉することができず、自分の部屋だけを別のガス会社に変更することはできません。
一戸建て住宅のプロパンガスを使う利点は、安いガス会社に変更しガスの価格を下げることができることです。
問題は、どのようにして安い価格のガス会社を見つけ安全に契約できるかということでしょう。
それが、なかなか簡単にいきません。
4.プロパンガスは自由価格
プロパンガスの価格は昔から、ガスの販売事業者が自由に価格を設定できます。
そのため、プロパンガスの価格は、販売事業者ごとに高い金額から安い金額まで幅広い金額となっています。
ただし、地域のガス会社が集まって、プロパンガスの価格を決めると独占禁止法に触れるため、公式には数社が集まって価格を決めることはありません。
プロパンガスの料金は、「 基本料金 + 従量料金 」と、2つの料金で構成されます。 基本料金は、ガスを消費者に届けるまでに掛かる経費と運用に要する経費で構成されます。 従量料金は、ガスを製造するのに掛かる費用で、原油価格や為替レートと連動するため、ガス代が上がる仕組みができています。 もちろん、原油価格が下がれば、ガス料金も下がるはずですが、反映するガス会社はほぼなく、高いガス料金のままになっている構図ができています。
東京のプロパンガスの価格帯を、次の表に示します。
基本料金 | |
最高値 | 2,160円 |
平均値 | 1,719円 |
最低値 | 1,296円 |
*適正価格 | 1,500円 |
単価 | 5m3まで | 5~10m3 | 10~20m3 |
最高値 | 837円 | 745円 | 723円 |
平均値 | 531円 | 527円 | 521円 |
最低値 | 442円 | 421円 | 384円 |
*適正価格 | 260円 | 260円 | 260円 |
この表の最高値から最低値の価格は、公表されている統計情報からの値です。
*適正価格は、**協会会員のガス会社の価格の一例として、ホームページ上での参考価格です。したがって、この価格の保証はありません。
20m3/1ヶ月使用している人が、平均値・最低値・適正価格でガスを購入した場合、1ヶ月と1年での支払い料金差を試算してみましょう。(全て税引きとします)
20m3当たりの料金 | 1年後の支払い | |
平均値 | 1,719+20×521 = 12,139円 |
12,139×12 = 145,668円 |
最低値 | 1,296+20×384 = 8,976円 |
8,976×12 = 107,712円 |
*適正価格 | 1,500+20×260 = 6,700円 |
6,700×12 = 80,400円 |
ここでの比較は価格のみの比較です。販売価格のみでは大きな差があると分かります。
しかし、プロパンガスを使うに当たっては、料金だけでなく、サービス、保安検査、ガス漏れなど異常事態発生時の対応などが、ガスの販売会社には求められます。 したがって、ガス会社を変更するに当たっては、これらの条件がすべてそろっているかを契約書や基本事項説明書などで確認し、納得のいったガス会社を選ぶべきです。
5.新築や中古物件の注意点
(1) プロパンガス会社の確認
新築や中古物件を購入するとき、ガスがプロパンガスだと分かっても、最初からガス会社をどこにしようかと、考える人はいないでしょう。 もちろん、前に住んでいた住宅で、プロパンガスを使っていて、ガスの価格で散々苦労した人は別ですが。
住宅に関わる多くの契約の話が、建築会社、不動産屋からされます。ガスの契約もその1つに含まれるはずですが、購入時点ではガスの契約や料金がどうなっているかなどへの関心は、全くないと言っても過言ではないでしょう。
(2) プロパンガス会社を見極める
プロパンガスについてしっかりと見直す機会は、最初にガスの請求書が届いた時でしょう。
それまで都市ガスを使っていれば、都市ガスの請求書には、丁寧な説明があります。
それに対し、プロパンガスの請求書が、使用量と料金の請求額が主な記載だけであれば、ガス会社を疑う必要があります。
その時点で、契約や料金について、会社への問合せ、ホームページ上の記載などから、現在のガス会社がどのようなガス会社か、を調べることが重要です。
もし、疑うことがあれば、その地域のガスの料金体系がどうなっているか調べ、自宅のガス料金が平均より高いと分かれば、ガス会社の変更を考えるべきでしょう。
ガス会社を変更するに当たって、問題となるのは、次で述べる無償貸与契約です。 解約することで、思いもしない工事費用を要求されることになるからです。
6.建物とガス会社の無償貸与契約
一戸建てを新築、またはリフォームなどされると、プロパンガスに関して次のような工事が発生します。
プロパンガス工事 | ||
基本工事費 | 1式 | 35,900円 |
標準ガス栓配管工事 | 1式 | 19,800円 |
フレキ管ユニットカバー | 1式 | 2,200円 |
地中配管(ポリエチレン管) | 6m | 27,000円 |
継手強化ガスホース | 1本 | 4,200円 |
接続工事費 | 1式 | 1,200円 |
貫通用箱入れ | 2か所 | 10,000円 |
諸経費 | 1式 | 9,000円 |
合計 | 109,300円 |
さらに、給湯器を設置すれば、次のような費用も加算されます。
給湯設備工事 | ||
給湯器 | 1台 | 210,000円 |
被覆銅管 | 1式 | 6,500円 |
被覆銅管継手・支持金具 | 1式 | 2,500円 |
消耗品・雑材料 | 1式 | 3,000円 |
配管工事 | 1式 | 20,000円 |
追炊き配管工事 | 1式 | 21,000円 |
運搬交通費 | 1式 | 5,000円 |
合計 | 268,000円 |
これらのプロパンガスに関わる費用は、一括して工事費・設備費として消費者に請求されず、次のようにして支払い・請求されます。これが、配管や給湯器等の無償貸与契約や分割支払い方式です。しっかりと明記して請求してもらえる場合もありますが、明記されないまま月々の請求に乗せされているケースもあります。
a.ケース1
毎月のガス料金に含まれる10年契約とすれば、60回の分割払いとして、毎月のガス料金の中で支払われます。
b.ケース2
15年契約として、15年解約せず契約を続ければ満了となります。
c.ケース3
15年契約としても、10年で解約すれば、残り5年分の残金を解約金として請求されます。
d.ケース4
新築時に工事費として一括支払います。したがって、無償貸与契約や分割支払いはゼロです。
ガス会社変更とガス料金の差額
ここで、簡単な試算をしてみましょう。
現在のガス料金は、次のようになっているとします。
ガス会社を変えたときのガス料金は、次のようになるとします。
家庭では1ヶ月当たり20m3のガスを使うと想定します。
現在のガス料金で、1ヶ月、1年、15年ごとに支払う金額です。
→ 141,600円/1年間
→ 2,124,000円/15年間
そうすると、15年間では、2つのガス料金での差額は、
2,124,000円/15年間
です。
この試算から、現在のガスの設備や工事費の全額を一時的に払っても、不当な高いガス料金を払い続けたくないと思う人は多いでしょう。
無償貸与契約といっても、本当に完全無料となるかは定かではありませんね。
7.不動産屋、建築屋のガス会社
一戸建て住宅の建設は、不動産会社から建築会社が紹介されます。 建築会社は、基礎工事から骨組み、天井・壁、インテリア、電気、ガスなどの工事関係者を下請け・孫請けとして使い、統括会社として住宅を完成させます。
どのような工事関係者を使うかは、発注者に対し説明を行いますが、建築会社がそれまで使ってきた工事関係者であれば信頼できるため、発注者から工事関係者はどこにしたいという注文があれば調整しますが、ほとんどないでしょう。 さらに、建築会社とガス販売会社とは、工事のし易さから長い付き合いにあり、(安く受発注できるなど)金銭的な関係も否めないでしょう。
不動産屋、建築会社にとっては、さまざまな業種の工事関係者と付き合う必要があり、ガス関係は、ガスの協力会社に工事・設備・ガス料金をすべて任せきりにしていると予想されます。 したがって、ガスに関しては、ガス販売事業者の独断場と言って良いでしょう。
発注者にとって問題になるのは、ガス料金が地域平均に比べ高いこと、または、価格の根拠が不透明な点があった場合でしょう。 さらに悪いことは、ガス料金が高いということは、半年~1年経たないと分からないことです。
不動産屋、建築屋は、ガス会社から紹介料をもらっているので、ガス会社を紹介してくれます。 ガス会社も、契約を取る為に初めは安い料金を提示してくれますが、プロパンガス会社も、工事費、設備費がかかっているため、料金は値上げされる事がほとんどですので、建築屋さんや不動産屋さんから紹介されるガス会社には注意しましょう。
まとめ
プロパンガスを使う一戸建ての消費者さんの利点は、ガスの価格が高ければ、安いガス屋を探して変更できることです。 ガス料金が高いということを知らないまま使っているというケースが、多く見受けられます。 また、高いから解約しようとすると、違約金という名目で、解約時のリスクを迫られます。 しかし、そのように迫るガス事業者は、長く付き合うに値しないガス会社と割り切って、安く友好的なガス会社に切り替えるべきでしょう。一時的には出費したとしても、長い目で見れば、得をしたと言えるからです。
ガス会社を切替えるには、直接ガス会社へ連絡するのではなく、第三者機関から良心的なガス会社を紹介してもらうことが一番安全です。
専門の第三者機関を通せば自分で探す時間も省け、良心的なガス会社を紹介してもらえるので、とても簡単に変更する事ができます。
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